TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#2】あ〜涼しい〜

執筆:飯尾和樹(ずん)

2025年8月20日

今年の夏もちゃんと立派に暑いですね〜。
外にいると、上から毎日ご苦労様な宇宙からの恵み太陽と、下から人間の知恵アスファルトから両面焼きのホットサンドな毎日ですね。

こんがりホットサンドの気持ちって、こんな感じなんでしょうか?
ホットサンドに気持ちがあるとするならば、多分ホットサンドは具のチーズを溶かして、ハムやベーコンを温めて旨みを出して、自身が『おいしくなりたい!』と思っているでしょう。
その姿は海の上でロンTも着ず、『日焼けこそが夏の証』と果敢にパドリングしている、前向きな南国サーファー気分なんでしょう。
サーフィンじゃ夏を満喫できない、正確に言うとサーフィンができないです。

以前ロケでサーフィンをした時に、奇跡的にボードが波に乗れて、スウィ〜。
しかし立てずに、正座の形のまま風を感じながら、ゴール!
相方のやすやスタッフから、「綺麗な正座姿だった」と讃えられ(?)笑われ(?)たのか、とにかくボードの上で小噺を一席する様なサーフィン落語だったんです。
サーフィンも落語もできない自分は料理が好きで、といってもうまいかまずいは気にせず、気持ちで作るタイプです。

ちなみに、料理デビューは小2の祖父母宅で作ったゆで卵。
もちろん茹でるだけですから、失敗しました。し、し、失敗!?
もしThe New York Timesの記者さんがいたら、「Please say that again」とくるでしょう。
それに対して飯尾は、「幼き頃は特にせっかちで、茹で時間2分で殻を割って、その場でビチャ!いやぁ〜、子供の時に失敗しておいて良かったですよ。アハハハハ〜」とどこが笑いどころなのか、この暑い中、ただただ聞き手を惑わすだけの誘い下手な誘い笑いを添えて、翻訳家の戸田奈津子さん(トム・クルーズからも信頼されていて、箸を綺麗に使えそうな品の塊の方)に通訳してもらうでしょう。

そんな料理好きを活かして、涼しげな避暑地や清流に海と、なかなか出かけられない時には、よく料理番組や雑誌などを見て、気持ちを避暑地や水辺にもっていきます。
冷やしうどん、ざる蕎麦、冷やし中華を作る工程にある、麺を冷水でシャシャシャ〜と冷やし流しているシーンを見ていると、爽快でスカッと猛暑のベタつきまでシャシャ〜と洗い流してくれるんですよ。
髪を気持ち良くシャンプーしてくれている様に写っているんでしょうか?(知らないよ!という返しは禁止させてください)

豚肉の冷しゃぶサラダも必ず冷水シャシャシャ〜シーンがありますねぇ。
魚好きの方におすすめは、カツオのタタキですよ、藁で炙った鰹を氷水にシュウと…あ〜最高!
戻してもう1回見よう!となるわけです。
カツオのタタキはサウナ好きの整うってこんな感じなのか?
サウナに興味のない自分がサウナの扉を少し開けて、暑がりの自分が12〜3秒で扉を静かに閉めます。

もっとゆっくりと涼んでいきたい方はいなり寿司だって!
炊いたお米を涼しげな桶に移して、団扇で扇ぐ、これだけで風が当たり涼しくなっていき、そして寿司酢をかけながら、しゃもじでシャリを切りながら広げている所作を見ているだけで、ベッタリくっついた人の密集からパラパラと解放され、ゆっくり涼しくなっていきます。
ある程度、冷めたシャリを迎え包み込んでくれるのが、ひんやりと味のしみた油揚げです。
包まれていくシャリ、いやぁ〜快適だろなぁ〜。
「今日も炊飯ジャーは、暑かったですね〜」と労いながら涼んでいるんでしょうか。

『暑い中並んで、やっとベストな室温の東京ドームに入れた時の気分ってこんな感じなんでしょう〜』なんて思いながら、夏の日は暮れ、お腹が空き、『夕飯は天ざるといなり寿司にでもするか!』と思った1時間後に、お好み焼きとソース焼そばを食べている飯尾でした。(蕎麦屋さん満席ゆえ!)

みなさん、平和な良い夏を!

プロフィール

飯尾和樹

いいお・かずき|お笑いコンビ「ずん」のボケ担当。1968年、東京都生まれ。『さんまのお笑い向上委員会』『飯尾和のずん喫茶』他、数々の番組にレギュラー出演中。
近著に『キャイ〜ン ずん 作文集』がある。

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