カルチャー
夏休みに訪れたい展示4選。
さーて、8月はどんな展示に行こうかな。
2025年8月8日
text: Ryoma Uchida
第46回夏休み塩の学習室
「海と塩のハテナ2025 〜いろんな見かたで考えよう!〜」
@たばこと塩の博物館
夏といえば自由研究。子どもはもちろん、大人も楽しめるこちらはいかが。かつて政府の「専売品」であった「たばこ」と「塩」の歴史と文化をテーマとする博物館『たばこと塩の博物館』で開催中の「海と塩のハテナ2025 〜いろんな見かたで考えよう!〜」。「海はなに⾊?」「海はどこまで?」「塩ってどんなもの?」など、海と塩についての8つの質問と、それぞれの「⾒かた」で答える⼈物・動物が並ぶ。身近な疑問から広大な答えへと繋がる、知的好奇心を満たしてくれる展覧会だ。休館⽇を除く毎⽇、事前Web予約制で「実験イベント」も開催中で、⾃由研究や探究学習のヒントとしてもぜひ訪れてみよう。常設展示室『塩の世界』(2F)、『たばこの歴史と文化』(3F)、図書閲覧室なども充実しているので、大人になってからの自由研究としても、この夏はぜひ活用すべし!
インフォメーション
第46回夏休み塩の学習室 「海と塩のハテナ2025 ~いろんな見かたで考えよう!~」
会場:たばこと塩の博物館(2F特別展示室)
会期:2025年7月19日(土)~8月24日(日)
時間:10:00~17:00(入館締切は16:30)
休み:月(ただし8月11日は開館)、8月12日(火)
料金:大人・大学生¥300、小・中・高校生¥100、満65歳以上の方¥100
Official Website
https://www.tabashio.jp/exhibition/2025/2507jul/index.html
アレックス・カッツ個展「Four Seasons」
@SCAI PIRAMIDE

アレックス・カッツ
Summer 17
2023
麻に油彩
121.9×182.9 cm
協力:SCAI THE BATHHOUSE
Alex Katz is represented by GRAY Chicago/New York
ニューヨークから離陸したチャールズ・リンドバーグがパリに到着し、大西洋単独無着陸横断飛行を成し遂げた1927年。場所を同じくニューヨーク・ブルックリン、ペインターのアレックス・カッツが生まれたのもこの年。絵画、ドローイング、彫刻、版画など多岐にわたる作品は、戦後アメリカの歴史と重なるように、テレビ、映画、広告など、ミッドセンチュリー期のアメリカの文化や社会の様々な側面からインスピレーションを得て、独自の表現を模索してきた。新写実主義(アメリカンリアリズム)、ポップアートといったジャンルで確固たる地位を築いてきたカッツだが、本展で並ぶのは2022年に始まった「Seasons」と題された最新シリーズ。98歳の巨匠が鋭敏な感性で映し出す景色からインスピレーションを受けること間違いなし。さすがに暑すぎるこの頃だけど、夏もちょっといいなと思えるかも?
インフォメーション
アレックス・カッツ 「Four Seasons」
会場:SCAI PIRAMIDE
会期:2025年8月29日(金)〜10月18日(土)
時間:12:00〜18:00※予約不要
休み:日、月、火、水、祝日
料金:無料
Official Website
https://www.scaithebathhouse.com/ja/
「よりみち展~美術のみかたが広がるよもやま話~」
@諸橋近代美術館
夏のお散歩がてら「よりみち」して訪れたいのがこちら。暑さランキングでは常連の福島県にあって、昨年の平均気温は約21度ほどと「猛暑日知らず」としてもニュースになることもある避暑地、北塩原村。ここに“中世の馬小屋”を想起させるような美しい美術館が「諸橋近代美術館」だ。現在開催中の企画展「よりみち展~美術のみかたが広がるよもやま話~」では、サルバドール・ダリやアルフレッド・シスレー、ポール・セザンヌなどの、作品の本筋だけではない雑談や裏話といった、知られざる“よもやま話”にスポットを当てつつ充実の作品群が並ぶ。章立てといった展示室ごとのテーマや見出しはあえてついていないから、美術の広い森を自由に散策するように、行ったり来たりしながら深い鑑賞体験を堪能できる。常設のダリ・コレクションも必見です!
インフォメーション
よりみち展~美術のみかたが広がるよもやま話~
会場:諸橋近代美術館
会期: 2025年7月19日(土)~11月9日(日)
時間:9:30〜17:00(最終入館は16:30まで)
休み:会期中9月17日(水)のみ展示替え休館
料金:一般¥1,300、高校・大学生¥500、中学生以下無料
Official Website
https://dali.jp/exhibition
総合開館30周年記念「ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ」
@東京都写真美術館
『ヴァンダの部屋』(2000)『コロッサル・ユース』(2006)『ホース・マネー』(2014)などなど、唯一無二の映像世界を築き上げてきたポルトガルの巨匠、ペドロ・コスタ。暗闇と光の強いコントラストと、静謐かつ緻密な画面構成。現実の断片をすくい上げ、社会構造に鋭く切り込み、新たな視座を提示してきた監督の、日本最大規模&東京で初めてとなる美術館での個展が開催。展覧会タイトルの「インナーヴィジョンズ(Innervisions)」はコスタが10代の頃に出会い深い影響を受けた、スティーヴィー・ワンダーのアルバムから。音楽を通して社会と個人の関係に迫ろうとしたこのアルバムの精神性はコスタの映像制作の方法論とも共鳴する。本展では、彼の映像表現を読み解く上で欠かせない、作品の背景にある歴史的・社会的文脈を紹介しつつ、コスタ自身が選定した映画を紹介する上映企画「カルト・ブランシュ」(ラインナップが素晴らしい!)や、代表作の特別上映も予定している。ペドロ・コスタの映像の奥行き、映画の力を感じられる大充実の展覧会だ。
インフォメーション
総合開館30周年記念「ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ」
会場:東京都写真美術館(B1F展示室)
会期:2025年8月28日(木)~12月7日(日)
時間:10:00~18:00(木・金曜日は20:00まで、9月26日までの木・金曜日21時まで。図書室を除く)※入館は閉館時間の30分前まで
休み:月(月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館)
料金:一般¥800、学生¥640、高校生・65歳以上¥400
Official Website
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-5093.html
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