TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
【#3】わたしの愛車遍歴
執筆:イモトアヤコ
2025年7月25日
鳥取に住んでいたわたしは、高校を卒業してすぐに免許を取った。
車社会である田舎町では、ほぼ一人一台といった感覚で育ってきた。
というのも、車を買うのはお金がかかるが、駐車場代というものがほぼ皆無なのである。
車を駐めるだけでこんなにもお金がかかるという事実は、上京して驚いたことベスト3くらいに入る。
そんなわたしは、当たり前のように18歳の春休みに免許を取った。
取ったはいいが、上京後はほぼ身分証明書代わりに使っていた。
そんなある日、街で見かけたチョイノリという原付バイクに一目惚れしたのだ。
気がつけばバイク屋さんを探し、約4万円のチョイノリを手に入れた。
このチョイノリ、ガソリンの残量メーターがないので、なんとなくの計算で入れなくてはならないのが少々やっかいなところで、購入して寮まで帰る途中でまさかのガス欠。
ガソリンスタンドまで押して歩いたことも、チョイノリとの良い思い出だ。
そんな大学生活でお世話になったチョイノリと別れてからは、電車やタクシー移動が主だった。
そして28歳の時、ついに学生時代から憧れだった赤色のミニクーパーを手に入れた。
この頃、なんだか格好よい女性像みたいなものを考えていた時期だった。
自分で運転して仕事場に行くというのがかっけー
レインボーブリッジとか自分で運転して通ったらかっけー
という安易な発想だったのかもしれない。
しかし、こういうのは勢いが大切だ。
ペーパードライバーだし、都会なんて運転したことないし、といった不安はあったが、こういう時は何かに紐付けたほうが良いと思い、ちょうどマッキンリーという北米最高峰に登ったので、そのご褒美だということにして念願のミニクーパーを迎えた。
真っ赤なボディに白の屋根。
可愛い見た目とは裏腹に、パワーのある走り。
バランスのいいフォルム。
ヨーロッパの石畳で見かけた、憧れの車だ。
しかし運転には不安があるので、ペーパードライバー講習に通い、納車した。
その日から子供が生まれるまで約8年。
ずっと相棒だった。
運転の楽しさを教えてくれたミニクーパー。
富士山行ったり、
裏磐梯の紅葉見に行ったり、
キャンプ行ったり、
こいつとならどこまでも行けそうな気がしていた。
このミニクーパーには思い出がたくさん詰まっている。
単純に性能だけではない。
物語があるし、その物語をずっと見守ってくれた空間でもある。
車とはただの移動手段ではないことを教えてくれた、今でも大好きな相棒です。
次回は、そんなミニクーパーの次に出会った車達のお話し。
プロフィール
イモトアヤコ
いもと・あやこ|1986年、鳥取県生まれ。2007年より日本テレビ系バラエティ『世界の果てまでイッテQ!』に出演。2009年には日本テレビ系チャリティー番組『24時間テレビ32 愛は地球を救う』でチャリティーマラソンランナーを務め、話題に。バラエティ番組を中心に、TBSラジオ『イモトアヤコのすっぴんしゃん』(水曜23:00〜)や、エッセイ本『棚からつぶ貝』『よかん日和』(ともに文藝春秋)を刊行するなど、活動は多岐にわたる。
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