カルチャー
今年は1万5千人動員! ニューヨーク単独ライブ「将来の夢」インタビュー。【後編】
ニューヨークの持つ、好奇心と聞く力。
2025年6月15日
photo: Kai Naito
text: Neo Iida
1年ぶりとなるニューヨークの単独ライブ「将来の夢」が開催。東京、福岡、大阪、新潟、静岡、宮城、愛知の全国7都市を巡り、全23公演、15000人動員を見込む、ニューヨーク史上最大のライブとなる。芸人としてネタ作りも欠かさず、一方でテレビやYouTubeなどでも活躍を続けるニューヨーク。昨年の「そろそろ、」開催前のインタビューから1年経った、現在の心境とは。
ゴルフにハマる屋敷、ヒゲが伸びた嶋佐。
――前回は「そろそろ、」の開催前に取材をさせていただいたんですが、それから1年経って、お互いに変化したなと感じる部分はありますか?
屋敷 いやあ〜。自分も相方もそんな変わってない感じはしますけどね、1年ぐらいじゃ。
嶋佐 こいつはベタにゴルフにめっちゃやり出したんですよ。この間もちょっといい車を買ったりして。ベタな、ちょい小金持ちおじさん、小金持ち芸人ロードを体現し出しましたね。
屋敷 本当ベタな流れになってきましたね。そう考えたら。ギリロレックス買ってないだけです。車買ってゴルフやって。



嶋佐 後輩とかでも結構ゴルフするヤツいるらしいですけど、誰よりも行ってるんじゃないですかね。
屋敷 うん、誰よりも行ってる。
――スポーツとしての楽しさもあるんですか?
屋敷 しかないです。景色が綺麗みたいなこと慣れました。あと先輩とか後輩とか、あんまり飲みに行ったことない人と行けるのも楽しいですね。今度槙野(智章)夫妻と行きます。サッカーの。
嶋佐 あれ、槙野さんて奥さん誰?
屋敷 モデルの人。
嶋佐 そっか。
――屋敷さんから見た嶋佐さんの変化はありますか?
屋敷 ほんとないなあ。ロレックスは1個ぐらい増えた?
嶋佐 いやそんなに。持ってるけど2本だけだし。安いやつだし。
屋敷 近くで見とって、めっちゃ健康に気を使い出したとかすごい早寝になったとかもないし。ヒゲ生えたくらい。見た目はめっちゃ変わったけど、それ以外は何も変わってないですよ。俺の方が変わってきたかもしれないです。
――安定し始めたんですかね。
屋敷 そうかもしれないですねえ。
居場所としての「ニューヨーク公式チャンネル」
――今、やっていて楽しい仕事はなんですか?
屋敷 どれも楽しいですよ。楽しくない仕事の方が珍しいです。
嶋佐 飽きずにやれてます。
――年々お仕事の幅が広がってますよね。先日も嶋佐さんがNHKの『MUSIC AWARDS JAPAN 2025』のコメンテーターをされていて。
嶋佐 呼んでいただいてね。ありがたいです。
屋敷 楽しいって難しいですよね。現場に行く前は楽しみと思ってないですけど、例えば1日じゅう14時から23時半までYouTubeの撮影とかラジオとかやってたら、信じられないくらい笑ってたみたいな時もあります。ゲストいっぱい来てくれて、全部めっちゃおもろかったなあって。結果として会社員の1ヶ月分以上笑ったんじゃねえか今日? みたいな。
嶋佐 まだ新鮮なんですよね。今日もさらっと番組に片岡鶴太郎さんが来て、テンション上がりましたね。「鶴太郎さんじゃん! かっけえ!」って。そういうことがあるとやっぱり嬉しいっていうか。
――立場的にMCのポジションになることも多いですけど、ニューヨークさんは深く相手を知ろうとするじゃないですか。ゲストのいろんな話を引き出す、みたいなことをお2人はよくやっていらっしゃるなと思うんです。目の前のことを楽しむというか、好奇心がすごいんだなと感じます。
屋敷 確かにそうですね。そのへんは割と普通のコンビより強いかもしれないですね。ミーハーやし。だからNHKの音楽アーカイブを見る『ザ・グレイテスト・ヒッツ』も楽しいし、ベストヒット歌謡祭の裏配信でアーティストと絡むのも楽しめるというか。『ニューヨークジャック』もいろんなゲストが来てくれるし。
嶋佐 人の話を聞くのがわりと好きなんですよね。
――『ニューヨーク公式チャンネル』に登場するのも、らぶおじさんからGLAYのTAKUROさんまで幅広いですもんね。個性的な企画もたくさんあって。仕事が多岐にわたっても、YouTubeの存在が居場所として大きいんじゃないかなと思うんですけど、いかがですか?
屋敷 あ、でもだいぶデカいですね。YouTubeで後輩のことを知ったり、情報を仕入れたりしますから。若手との繋がりや劇場との繋がりが切れがちなところを、YouTubeで維持できてる部分はありますね。
―劇場に所属していないと、芸人同士の交流も少なくなってしまうものなんですね。この1年間の『ニューヨーク公式チャンネル』の企画のなかで気に入っているものはありますか?
嶋佐 企画っていうか、たまたまなんですけど、ドッチモドッチの栗原(まろやか)ってヤツと、きっと君はくるさのカルビさんが来てくれたときに、まだまだ日の目を見てない芸人だけがやってる、夜中にひたすら和菓子を作るだけのアルバイトの話を聞かせてもらったら、それがすっごい面白くて。
――「笑いの渦」ですね。バイト先の人間関係が少しずつおかしくなっていく、サイコサスペンスみたいな面白さがありますね……。
「笑いの渦」。ドッチモドッチの栗原まろやか、きっと君はくるさのカルビが持ち込んだ、都内某所にある和菓子製造バイトで巻き起こる芸人のリアルで歪な話。現在第3弾まで展開している。タイトルは大根仁監督の「恋の渦」へのオマージュ。
嶋佐 あれはなんていうんですかね。YouTubeならではっていうか。なんか全ヒトに聞いてもらいたいですね。
屋敷 (笑)確かにねえ。
嶋佐 テレビでもどこでもする機会がない、あそこでしか聞けない話。売れてない芸人たちの行動と言動が本当にヤバすぎて。もうめちゃくちゃ。
――バイト先のギクシャクした不穏な話を、芸人ならではの解像度と切り口で話してくれるから面白いです。
屋敷 『あちこちオードリー』じゃ絶対に聴けない。本当は、あれが10倍ぐらいの再生回数いったらいいですよね。100万回とか。
嶋佐 そういうニッチなものこそ、もっともっといろんな人に見てもらいたいんですけど。
屋敷 「エレパレ」(「ザ・エレクトリカルパレーズ」)が200万回再生いったんで、本当はああいう面白さのままで、チャンネルがもっと伸びたらいいなあと。
「ザ・エレクトリカルパレーズ」。NSC東京校17期生が作った謎のグループ「エレパレ」について、あれは何だったのか、ニューヨークがコットンやオズワルドら芸人に話を聴くドキュメンタリー作品。仕掛け人は一体誰だったのか、最後に謎が解き明かされる。「ニューヨークのニューラジオ」での二人の昔話から生まれた名作。監督はYouTubeを手掛ける作家の奥田泰。
嶋佐 でも伸びないんでしょうね。
屋敷 (笑)。ちょっとやってることが違いすぎるな、1個1個の企画が。やっぱ「笑いの渦」と堤幸彦さんのインタビューと「アトムレイジ」と俺らのラジオと、って。わけわからんチャンネルになってますわ今。
「アトムレイジ」。東京NSC20期生のあとむを中心とした、現在進行系のドキュメンタリー。おミュータンツやブラゴーリが登場する。7月6日にすべての決着をつけるイベントを無料配信。
―ちょっとした話が企画やイベントに繋がっていくし、このチャンネルを通じて知る芸人も多くて、メディアとしてものすごく魅力を感じます。いろんな色が入ってるなと。
屋敷 だからテレビ局みたいな感じですよ。笑いの総合商社っていうか。でもYouTubeに関していうと色は一個のほうが絶対いいですから。
――見ている側は楽しいんですけどね。
屋敷 俺らのチャンネルのファンになっちゃえば楽しいんですよ。だって地元のツレに「笑いの渦」をどうハメていいか分かんないでしょ? 『No No Girls』(ラッパーのちゃんみながプロデュースするガールズグループオーディション)のほうが勧めやすいじゃないですか。
嶋佐 触り方がむずいというかね、僕らはめちゃくちゃおもろかったんですけどね。
屋敷 おかしいもんな。コメント欄に「これ何が面白いかさっぱりわかんねえよっていうやつがもっとおらなあかんはずなんすよ。
――確かにまんぷくユナイテッドの改名にしても、視聴者は新しい芸名の「バリカタ友情飯」を自然に受け入れてる感じありましたもんね。そうでない一般の人には若干受け入れづらいかもしれないですけど。
以前から後輩まんぷくユナイテッドの芸名が気になっていたニューヨーク。2025年5月に改名案を考える流れが生まれ、5月25日配信の「ニューヨークのニューラジオ」上で視聴者投票を実施。ChatGPTが導き出した「バリカタ友情飯」に決定した。
嶋佐 そういうのが面白いんですよね、僕らは。せっかくのYouTubeだからこういうことができるので。
屋敷 そう。だから今は心地いいんですよね、コメントとかも。欲を言えばこのまま何も変わらず、再生数10倍になってほしいです。
嶋佐 でも無理なんでしょうね。ちゃんとポップなことをしないと。それも十分かってるんです。でもそういうのはやりたい人にやってもらって。
――我が道を行きつつ、自然と面白さが伝わっていくといいですよね。では改めて、単独の抱負を伺っていいですか?
屋敷 毎年、僕的にはいちばんおもろい単独にしたいなと思ってるんです。それは抱負ですねマジで。いちばん面白い単独にしたいです、今までで。
嶋佐 そうですね。だからまあ、とにかく、まだ僕らのネタを見たことない人にもとにかく一回見てほしい。全国回りますし配信チケットもあるので、とにかく一回でもいいんで見てもらえたら。新しく来てくれる人が一気にドーンって増えるかっていうとなかなか難しいと思いますけど、それこそいろんなジャンルの現場にお邪魔させてもらってるんで、そこで僕らの存在を知ってくれた人に、一回は単独ライブを見てほしいなって感じです。
プロフィール
ニューヨーク
屋敷裕政と嶋佐和也によるお笑いコンビ。NSC東京校で出会い、2010年にコンビを結成。ヨシモト∞ホールで活躍後、2019年と2020年の『M-1グランプリ』に2年連続で決勝進出。『キングオブコント2020』準優勝。2019年1月から公式YouTubeチャンネルを開始し、週1回の生配信「ニューヨークのニューラジオ」をスタート。『ラヴィット!』(TBS系・木曜レギュラー)、『ニューかまー』(同)、『ザ・グレイテスト・ヒッツ』(NHK)、『ニューヨークジャック』(X)などに出演中。
インフォメーション

ニューヨーク単独ライブ「将来の夢」
〈開催日程〉
・東京(IMM THEATER)
8月15日(金) 18:00開場/19:00開演
8月16日(土) 13:00開場/14:00開演、17:00開場/18:00開演
8月17日(日) 13:00開場/14:00開演、17:00開場/18:00開演
・福岡公演(よしもと福岡大和証券劇場)
8月30日(土) 13:00開場/14:00開演、17:00開場/18:00開演
8月31日(日) 13:00開場/14:00開演
・大阪公演(COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール)
9月12日(金) 18:00開場/19:00開演
9月13日(土) 13:00開場/14:00開演、17:00開場/18:00開演
9月14日(日) 13:00開場/14:00開演
・新潟公演(りゅーとぴあ)
9月15日(月祝) 15:00開場/16:00開演
主催:サンライズプロモーション北陸
・静岡公演(静岡市清水文化会館マリナート)
9月23日(火祝) 15:30開場/16:30開演
主催:サンライズプロモーション北陸
・宮城公演(電力ホール)
10月5日(日) 13:00開場/14:00開演
・愛知公演(中日ホール)
10月12日(日) 18:00開場/19:00開演
10月13日(月祝) 13:00開場/14:00開演、17:00開場/18:00開演
・東京公演(有楽町よみうりホール)
10月17日(金) 18:00開場/19:00開演
10月18日(土) 13:00開場/14:00開演、17:00開場/18:00開演
10月19日(日) 13:00開場/14:00開演、17:00開場/18:00開演
〈チケット情報〉
前売 6,000円/当日 6,500円/高校生以下学生料金 3,000円(税込・全席指定。FANYで販売中)
※未就学児童不可
※当日券に関しては要問い合せ
オンライン配信あり
10月19日 東京・有楽町よみうりホール公演
料金:2,000円
販売:6月14日(土)10:00~10月26日(日)12:00(FANY Online)
配信:10月19日(金)18:00〜
※見逃し視聴は10月26日(日)23:59まで
ピックアップ

PROMOTION
12 HOURS ADVENTURE with DEFENDER ディフェンダーが僕らの冒険心を掻き立てる。
DEFENDER
2025年6月4日

PROMOTION
「サウンドバーガー」と〈WIND AND SEA〉のコラボレーションで、’80sバイブスを持ち歩こう。
オーディオテクニカ
2025年5月8日

PROMOTION
〈adidas Originals〉とミュージシャンの肖像。#2
dodo
2025年5月9日

PROMOTION
ぼくらを繋ぐ〈KEEN〉の万能シューズ。
KEEN
2025年5月30日

PROMOTION
〈メゾン マルジェラ〉の「スプリンターズ」で高まるスポーティークラシック。
Maison Margiela
2025年5月14日

PROMOTION
見上愛さんと、春風吹く東京競馬場へ。
JRA
2025年5月16日

PROMOTION
〈ティンバーランド〉の「スリーアイ クラシックラグ」と渋谷・原宿。
Timberland
2025年6月11日

PROMOTION
初夏の準備を〈TATRAS〉と。
TATRAS
2025年5月13日

PROMOTION
〈OTAKARA NYC〉の色彩豊かな手刺繍の「お宝」を『NEPENTHES』で手にしよう。
〈OTAKARA NYC〉
2025年5月17日

PROMOTION
雨の日は手ぶらで〈エーグル〉のレインコレクションを。
2025年5月7日

PROMOTION
Tシャツがないと、僕の夏は始まらない。
無印良品
2025年5月12日