カルチャー

今年は1万5千人動員! ニューヨーク単独ライブ「将来の夢」インタビュー。【前編】


漫才とコントで魅せる、年に一度の人気ライブ。

2025年6月15日

photo: Kai Naito
text: Neo Iida

今年もこの季節がやってきた。ニューヨークの単独ライブ「将来の夢」が、夏から秋にかけて開催されるのだ。8月15日(金)の東京公演からスタートし、福岡、大阪、新潟、静岡、宮城、愛知の全国7都市、全23公演を予定。動員は15000人を見込んでいるという。年々動員数を伸ばし続ける人気ライブの意気込みを、本番3ヶ月前、まだまだ準備段階の二人に聞いた。

全公演全席、完売を目指して

――今年も単独ライブ開催決定、おめでとうございます! 今回のタイトルは「将来の夢」ですが、どのような経緯で決まったんでしょう。

屋敷裕政(以下、屋敷) 毎年一緒なんですけど、オンラインサロンのメンバーにアイデアをいただいてるんです。なんとなくそこで出たものから決めるのが、ここ2〜3年の恒例になってるんですけど、その中に歴代のマネージャーもいて、去年辞めた小賀くんという元マネージャーが結構いろんなタイトルを出してくれて、彼の案から決まりました。

嶋佐和也(以下、嶋佐) あるようでないタイトルというか。今こういうタイミングで「将来の夢」ってなんかいいなと思って。

屋敷 まあ今までとタイプが似てないというのが一番デカかったんですよね。

嶋佐 ちょっとダサい感じ。逆に。それがいいなっていうか。

――確か去年は小賀さん「ウェルカムアンチ」とか出されてましたよね。

屋敷 ありましたね(笑)。「コンプラアレルギー」とか。

嶋佐 あれは攻めてた。

屋敷 小賀くんはいろんな種類のアイデア出してくれるんで。去年の「そろそろ、」はチーフマネージャーの神崎さんの案でした。

――今年は小賀さんの後任の新マネージャー、倉持さんもアイデアを出されたそうで。皆さんで作っていくのがいいですね。今回の開催地は東京、福岡、大阪、新潟、静岡、宮城、愛知の全国7都市で、全部で23公演、15000人動員とのことですごいボリュームですね。昨年が大阪、愛知、宮城、福岡の全国5都市全13公演12000人動員だったので、規模がさらに増しました。

8月からスタートする単独ライブ「将来の夢」キービジュアル。コロナ禍の2020年をのぞき、2013年から欠かさず年1回の単独ライブを敢行しているニューヨーク。漫才、コント、幕間VTRで構成され、二人の世界観を存分に楽しめる。

嶋佐 ありがたいです。今年こそは全公演全席、完売目指してね。毎年ほぼほぼ来てくれるんですけど、実はソールドアウトしたことないんですよ。本当にあとちょっとで。

――そうだったんですね。

嶋佐 そうなんですよ。仙台とかね、半分以上残っちゃったりして。

屋敷 去年は地方も平日に開催してたんです。『ラヴィット!』終わり飛び出しで、名古屋の木曜14時とかにやってて。ちょっともう今回そういうのやめようって話して、とにかく金曜夜とか週末にしようって。

――前回はチケットの売れ行きが芳しく無くて、緊急動画を出されてましたもんね。

2024年の単独ライブ「そろそろ、」開催時、追加で行った東京凱旋公演のチケットが余ってしまう辞退が発生。7月の東京公演では「チケットが取れない」という声もあったのになぜ。ニューヨークは緊急で動画を回した。

嶋佐 追加公演が激余りしちゃってね。緊急でYouTubeで情けない動画をあげて、それでなんとか。そしたら一気に1200枚くらい買ってくれて、それはそれでびっくりしたんですけど。

屋敷 あれは謎でしたね。「チケットまだあるんや」みたいな感じやったんですかね。 

――興味はあるけど、追加公演の存在を知らなかった人がいたのかもしれないですね。

屋敷 そう。もうちょいちゃんと告知せんと、届いてない気がして。

嶋佐 気づいてない人がいっぱいいるんだろうな。どうしたらいいんですかね? こうやっていろんな媒体に取材していただいてるんですけどね。やっぱりビラ配り? 

屋敷 難しいよな。

嶋佐 リベンジですね。ソールドアウトしたら嬉しいなって。

ネタを見たことがない人に見てほしい。

――単独への意気込みといっても、まだまだ準備の段階ですもんね??

屋敷 そうですねえ、いつも取材の時期はそんな感じですね。もう不安すよ。今年こそできひんのちゃうかって。

――今の作業としては、まず打ち合わせですか?

屋敷 そうですね。作家の今井(太郎)さんと関野(樹)とオンラインで話し合ってます。でもわりとVTRとかフライヤーとかは固まっていて、グッズもいい感じになりそうな雰囲気はあります。

――楽しみです! ネタが固まってくるのは大体いつぐらいなんですか

屋敷 本番の3日前とか4日前じゃないですかね。で、2日3日練習に充てれたらええなみたいな。

2024年の単独ライブ「そろそろ、」より。コント「しごできサラリーマン」のひとコマ。嶋佐さん扮する仕事のできる先輩が実はギャンブル狂だったことを知り、屋敷さん扮する後輩は衝撃を受ける。©吉本興業

――そんなにギリギリなんですね。ベースは決めておいて、細かいところを詰めていくみたいな感じですか? 種みたいなものがあって……。

屋敷 ……あって、で何週間か前ぐらいから細かく台本にして、技術さんに対してきっかけが必要なコントから先に仕上げていって。こんなキャラクターやからこういうヅラがいるな、とかははっきりさせておかんと。漫才が最後です。

2024年の単独ライブ「そろそろ、」より。KREVAや卓球の水谷隼選手など、実在の人物が登場する漫才も多いニューヨーク。漫才「あっちゃん」は“売れなかった世界線のオリエンタルラジオ中田敦彦”が登場する。©吉本興業

――コントはセットやキャラの作りこみも大事ですもんね。去年の単独「そろそろ、」もめちゃくちゃ面白かったんですが、DVDとかデータ販売はされてないですよね。

屋敷 はい、まだです。

嶋佐 いまいち売れないんですよね。

――ぜひ動画やDVDになったら嬉しいですが、テレビのネタ番組でも披露されていますよね。そのたび、SNSなどで高く評価されているように感じます。

屋敷 賛否両論ですね。

――あれ、否もあります?

屋敷 否もありますよ。

――でも、ニューヨークさんのことは知っていてもネタを見たことがない人に、地上波で広く知ってもらうのって大きいなあと。昨年末の『THE CONTE』では「メンズアイドル」のネタを披露されてましたし。

屋敷 そうですね。『ザ・コメデュアル』でも「神社」のコントをやらせてもらったりしましたしね。

――漫才もコントもニューヨークさんならではの視点が感じられて、毎回膝を打つんですよ。2022年の「田舎の社長」とか、田舎の粗野なおじさんの描写が面白いんですけど、ただ失礼な人じゃないという。人間の描き方が分厚いなあと。一回ぜひ生で見てほしいなと思いますね。

「田舎の社長」。2022年の単独ライブ「Last Message」で披露したコント。東京に住む高橋(屋敷)は結婚の挨拶をしに田舎に住む彼女の父親(嶋佐)に会いに行くが、その言動や行動にカルチャーショックを受ける。荒っぽくも愛情深い、人間をまるっと描いた名作。

「ニューヨークチャンネル」にUPされているコントと漫才をまとめた一気見用動画。人間の醜さ、泥臭さ、感動、優しさ、風刺、エモなど、ハッとしたり共感したりできるニューヨークのネタを堪能できる。

嶋佐 ありがとうございます。(最新号をめくって)『POPEYE』の読者ってどういう層が多いんですか?

――20代が中心で、30代、40代くらいまで幅広いです。

嶋佐 そっか。ファッションが好きで、お笑いのことあんまり知らない男の子とか、ぜひ見てほしいですねえ。

屋敷 そうっすね。

――取材をしていると、ニューヨークさん好きっていう20代の方に結構会いますよ。ラジオ毎週聴いてますとか。

嶋佐 本当ですか? 嬉しいな。

屋敷 嬉しい。でもそういう子らが単独に足を運ぶことはなかなかないと思うんで、来てほしいなと思いますね。

――漫才とコント、今のニューヨークの最新作が見られるってすごく貴重な機会だなと思いますしね。

嶋佐 そうですね。配信チケットもあるし、見たことない人にぜひネタを見てほしいです。それに尽きますね。

プロフィール

ニューヨーク

屋敷裕政と嶋佐和也によるお笑いコンビ。NSC東京校で出会い、2010年にコンビを結成。ヨシモト∞ホールで活躍後、2019年と2020年の『M-1グランプリ』に2年連続で決勝進出。『キングオブコント2020』準優勝。2019年1月から公式YouTubeチャンネルを開始し、週1回の生配信「ニューヨークのニューラジオ」をスタート。『ラヴィット!』(TBS系・木曜レギュラー)、『ニューかまー』(同)、『ザ・グレイテスト・ヒッツ』(NHK)、『ニューヨークジャック』(X)などに出演中。


インフォメーション

今年は1万5千人動員! ニューヨーク単独ライブ「将来の夢」インタビュー。【前編】


ニューヨーク単独ライブ「将来の夢」

〈開催日程〉

・東京(IMM THEATER)
8月15日(金) 18:00開場/19:00開演
8月16日(土) 13:00開場/14:00開演、17:00開場/18:00開演
8月17日(日) 13:00開場/14:00開演、17:00開場/18:00開演
 
・福岡公演(よしもと福岡大和証券劇場)
8月30日(土) 13:00開場/14:00開演、17:00開場/18:00開演
8月31日(日) 13:00開場/14:00開演
 
・大阪公演(COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール)
9月12日(金) 18:00開場/19:00開演
9月13日(土) 13:00開場/14:00開演、17:00開場/18:00開演
9月14日(日) 13:00開場/14:00開演
 
・新潟公演(りゅーとぴあ)
9月15日(月祝) 15:00開場/16:00開演
主催:サンライズプロモーション北陸
 
・静岡公演(静岡市清水文化会館マリナート)
9月23日(火祝) 15:30開場/16:30開演
主催:サンライズプロモーション北陸
 
・宮城公演(電力ホール)
10月5日(日) 13:00開場/14:00開演
 
・愛知公演(中日ホール)
10月12日(日) 18:00開場/19:00開演
10月13日(月祝) 13:00開場/14:00開演、17:00開場/18:00開演
 
・東京公演(有楽町よみうりホール)
10月17日(金) 18:00開場/19:00開演
10月18日(土) 13:00開場/14:00開演、17:00開場/18:00開演
10月19日(日) 13:00開場/14:00開演、17:00開場/18:00開演

〈チケット情報〉
前売 6,000円/当日 6,500円/高校生以下学生料金 3,000円(税込・全席指定。FANYで販売中)
※未就学児童不可
※当日券に関しては要問い合せ

オンライン配信あり
10月19日 東京・有楽町よみうりホール公演
料金:2,000円
販売:6月14日(土)10:00~10月26日(日)12:00(FANY Online)
配信:10月19日(金)18:00〜
※見逃し視聴は10月26日(日)23:59まで