TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
【#4】「アメリカナイズ肉」
執筆:西森洋一(モンスターエンジン)
2025年6月4日

日々の出来事を書き留めた日記を朗読するイベント「日記朗読ライブ」を開催中。6月26日(木)には「よしもと道頓堀シアター」で開催!
休みだった。
ムスメは、夏休みも小学校で預かって貰える「いきいき授業」とかいうやつ。
プールにも入れてもらえ、しかも無料、、いたれりつくせり。
日本、ありがとう。
なのでお昼、、ヨメと、息子と、三人で外食。 近所の、ステーキ屋さんへ、入った。
下調べ無しの、初めてのお店。
なにせ、アメリカに憧れている人が作った、日本人が考えるアメリカっぽい、1980年代のアメリカになりたい店だった。
壁に、アメリカの国道の標識なんかが、貼られている。
実際のアメリカでは、そんな物は貼っていないだろう、と、思いながらも店を物色。
顔の小さな、4分の1アメリカみたいな美人のお姉さんに、、
ヨメと僕は、それぞれステーキの定食を注文。
ヨメは「イチボステーキ」僕は「ハラミステーキ」
ヨメは、生焼けの肉が食べれない、なので美人のお姉さんに、よく焼いてもらうよう伝える。
僕は、ライオンぐらい、生肉が好きなので、レアで頼んだ。
ヨメの定食は、息子と分け合って食べる様だ。
あとは、海老のアヒージョと、息子のカルピスを注文。
四歳、息子のカルピスが、初めにやって来た。
ガラスのコップだ。
何故かコップの底が、殆ど「起き上りこぼし」状態で、、まん丸。
初代の新幹線の先、みたいになっている。
少しでも横から、チョンと当ろうものなら、ゴロ〜ンと、倒れるコップだった。
カルピスを入れたのは、さっきの美人だ。
考えろや! 分かるやろ、四歳や! 考えろや!
出来ない美人だった。 ここからは急遽、悪い日記に変更だ。
悪い日記とは、とことんボロくそに書くやつです。
ほんで、初めて見たわ! そんな機能性0のコップ! 今すぐ捨てろ!
間髪入れず、コップを替えてもらった。
「あ、そうですか? 可愛いのに」みたいな顔してた。
そして、ステーキがやって来た。
僕の肉が、焼きに焼かれて、カッチカチ。
やってくれたな! しばき回したろか!
ほんで案の定、ヨメの肉、ライオン仕様!
やってくれたな! 10人がそれぞれ、個別の焼き方を注文したんちゃうんやぞ!
焼く方と、焼かない方だけを、間違うなよ!
顔面の点数を上げる為に、IQを神様に売ったんか?
悪魔の契約したんやろ?! 分かってるからな!
俺は騙されへんぞ!
元は!めっちゃブサイクやったんやろ! 騙されへんからな!
しかし、ヨメに制され、、僕、、黙って我慢して食べる。
ほんで無茶苦茶、まずいやないか! どういうつもりやねん! これは、いつの肉や!
臭すぎるやろ!
牛とディープキスしてるんかと思ったわ!
味は二の次の店だっだ。
アメリカ具合で、やばいだろうとは思っていたが、これほどとは。
まず、どれだけアメリカに近づけるか、が第一。
雰囲気と「いや〜、これ可愛い〜」を重視する、が第二。
顔面の点数だけで面接をする、が第三。
その次の第四が、味。
全部、食べ終わった。 が、アヒージョが来ていない事に気付く。
美人に確認を取る。
「え?、あ、はぁ、、」と、だけ言って、、厨房のある一階へと降りていった。
僕らの席は二階だ。 そして、客は今、僕らだけ。
ピンと来た。
あのまま厨房行って、忘れてたアヒージョを一から作り、出来あがり次第、持ってくるだろうと、予想。
「全部食べ終わっているので、もう通っていないなら、アヒージョは無しで、お願いします」、、
という、選択肢を消されるに違い無いと予想。
そして、美人は僕らの二階から、20分間もの間、消えた。
20分後、、IQを売り飛ばした美人は、、
なんの確認もなく、普通に出来上がった、アヒージョを持って来た。
この店には、二度と来ない。
この段階で、そのアヒージョをキャンセルしてやろうか! そう思ったが、、
目の前でヨメが 「うわ〜、美味しそう!」
あっち側だった。 僕とは、別次元で生きている。
僕は西森次元へ、戻って来て貰おうと必死になる。
『ほらやっぱり、なんも言わんと、いきなり持ってきたやろ!』
類稀な洞察力と、観察力での予想的中をヨメに自慢する。
「美味しい〜」言うてる。
忘れてた、、違う次元で生きてる人やった。
次元が違うから、僕の声が聞こえないのだ。
「すいませ〜ん、パンお代わり〜」
気に入ってるやん。 もう、美味しい店として、インプットしてるやん。
「パンのお代わりを後、二枚!、、いや三枚、、あ、やっぱり四枚で〜!」
めっちゃ気に入ってるやん。
「ここのアヒージョ美味しいわぁ〜、これあったらら、他なんも要らんわ〜」
また、来ようとしてるやん!
俺は、二度と行かない。
おやすみなさい。
プロフィール
西森洋一
1979年、大阪府生まれ。相方の大林健二と2007年4月に「モンスターエンジン」を結成。ネタ「神々の遊び」が話題を呼び、その名が全国区へ。「第31回ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞を獲得、「ytv漫才新人賞」第1回大会優勝。「M-1グランプリ」では2008年・2009年、「キングオブコント」では2009年・2011年に決勝進出を果たす。5月17日(土)放送の2025年「THE SECOND~漫才トーナメント~」ではグランプリファイナル出場を決めた。趣味はバイクの改造。著書に『超人間観察』(2019年)がある。
Official YouTube「モンスターエンジン西森ch」
https://youtube.com/channel/UCtWwwyWXYeTrSeYcL5opAUg?feature=shared
Official Instagram
https://www.instagram.com/nishimori_monster/
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