カルチャー
新緑の芽吹きを感じながら訪れたい展示4選。
さーて、5月はどんな展示に行こうかな。
2025年5月8日
text: Ryoma Uchida
黒の芸術 グーテンベルクとドイツ出版印刷文化
@印刷博物館
小説家・京極夏彦氏の第4代館長の就任も話題となった「印刷博物館」。京極先生の「鈍器本」とも形容されるほどの分厚さをもった作品とイメージを同じく、この博物館の収蔵品も重厚&大量。印刷の歴史や文化を辿り、体験できる常設展の充実ぶりはもちろん、企画展にも注目だ。本展「黒の芸術 グーテンベルクとドイツ出版印刷文化」では、印刷史の大事件「グーテンベルクによる活版印刷術の発明」にフォーカス。産業の領域で過去のものとみなされている活版印刷術と活字書体が国の文化形成に大きく影響を与えてきた様子を紐解きながら、グーテンベルクの何が“事件”だったのか、その偉業の核心に迫る。1000年以上続く印刷文化が「オールド」と称されるいまこそ、その存在の意義について学べることが多いはずだ!
インフォメーション
黒の芸術 グーテンベルクとドイツ出版印刷文化
会場:印刷博物館
会期:2025年4月26日(土)~2025年7月21日(月・祝)
休み:毎週月曜日(ただし7月21日は開館)
時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
料金:一般1000円、学生500円、高校生300円、中学生以下無料
Official Website
https://www.printing-museum.org/collection/exhibition/t20250123.php
ライアン・ガンダー:ユー・コンプリート・ミー
@ポーラ美術館

Closed systems, 2024 Courtesy the artist and TARO NASU, Tokyo. Photo:Ryan Gander Studio

You Complete Me, or I see things you can?t see (A Frogs Tale), 2025
Courtesy the artist and TARO NASU, Tokyo. Photo:Ryan Gander Studio

Centred on the periphery, 2023 Courtesy the artist and TARO NASU, Tokyo. Photo:Misako Misako
気候もほどよく過ごしやすい時期になってきた。自然と美術をどっちも楽しみたい、なんて願いを叶えてくれるのが神奈川県箱根町にある「ポーラ美術館」。5月末からは英国サフォークを拠点に活動するアーティスト、ライアン・ガンダーの個展を開催する。東京オペラシティアートギャラリーの「ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展」「ライアン・ガンダー われらの時代のサイン」展でも鮮烈な印象を残した、国内でも高い人気を誇る作家だ。ユーモラスで奥深く、楽しく考えさせられる作品が特徴。本展では、家族とともに生み出された作品やポーラ美術館のために生み出した動物をモチーフにした作品など、新作が多く展示される。制作のみならず、展覧会のキュレーション、大学や美術機関での指導、子どもたちを支援する活動、テレビ番組の制作・出演など、活動の幅を広げ続ける作家の「今」を見にいこう。
インフォメーション
ライアン・ガンダー:ユー・コンプリート・ミー
会場:ポーラ美術館(アトリウム ギャラリー、展示室4、ロビー)
会期:2025年5月31日(土)〜11月30日(日)
時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)
休み:会期中無休
料金:大人¥2,200(シニア含む)、大学・高校生¥1,700、中学生以下無料
Official Website
https://www.polamuseum.or.jp/
ラーメンどんぶり展
@21_21 DESIGN SIGHT
ラーメンの味が多様なように、どんぶりデザインも様々で、そのデザインを見るのも食事の楽しみの一つ。そんなラーメンどんぶりの90%は、岐阜県の東濃地方西部(多治見市、土岐市、瑞浪市)を中心とした地域でつくられる陶磁器「美濃焼」でできているのだとか。そんな「美濃焼」の1300年以上(!)の歴史や背景、つくり手たちの活動を伝えるため、2012年に始まったプロジェクトがきっかけとなった本展「ラーメンどんぶり展」では、プロジェクト開始から続く、さまざまなジャンルのデザイナーやアーティストらがラーメン丼とレンゲをデザインする「アーティストラーメンどんぶり」に新作10点を加えた、全40点のオリジナルラーメン丼を展示。横尾忠則、田名網敬一、LiSA、土井善晴など、多彩な顔触れの作品が揃う。また、建築家・デザイナー3組の設計による「ラーメン屋台」やデザインの視点で「ラーメンと丼」を解剖し紹介するなど、展示も面白さもマシマシでお届け!
インフォメーション
ラーメンどんぶり展
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2
会期:2025年3月7日(金)~6月15日(日)
時間:10:00~19:00(入場は18:30まで)
休み:火曜日
料金:一般 1,600円、大学生 800円、高校生 500円、中学生以下無料
Official Website
https://www.2121designsight.jp/program/ramen_bowl/
望月桂 自由を扶くひと
@原爆の図 丸木美術館
日本でもっとも早いアンデパンダン展(無審査・無賞・自由出品を原則とする美術展)のひとつとされる「黒耀会」を結成した芸術家、望月桂(1886-1975)。アナキズム運動の中心人物であった大杉栄や、社会主義運動の指導者となる堺利彦、民俗学者の橋浦泰雄、演歌師の添田唖蝉坊などが参加し、誰もが参加できる自由度の高い展覧会を開催。ときに一膳飯屋を営んで社会運動家や労働者の集う場を形成し、ときに犀川凡太郎の筆名で読売新聞に漫画を描き、とにき農民運動に尽力しつつ、信州の自然を題材に数多くの風景画を残した。そんな望月の多岐にわたる活動と、その活動に貫かれた自由と扶助の精神を紹介する本展。特筆すべきは開催にあたって結成された「望月桂調査団」の存在。風間サチコ、卯城竜太、松田修といった現代アーティストも加わり、美術・文学・社会運動などの研究者、アーキビスト、ジャーナリスト、編集者ら業界の垣根を越えて望月の資料調査を進めたそう。作家の足跡が、現代にどのような視座をもたらしてくれるのか学んでみよう。9月28日(日)をもって長期休館(リニューアルオープンは2027年5月5日頃)が決まった同館と、しばしのお別れの前に訪れてみてはいかが。
インフォメーション
望月桂 自由を扶くひと
会場:原爆の図 丸木美術館
会期:2025年4月5日(土)〜2025年7月6日(日)
時間:9:00~17:00
休み:毎週月曜日(祝日にあたる場合は翌平日)
料金:一般 900円、中高生または18歳未満 600円、小学生 400円
Official Website
https://marukigallery.jp/8527/
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