TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
【#2】創作意欲
執筆:光石研
2025年5月16日
ボクは何故だか、子供の頃から、チームを作って、名前を考えるのが好きだった。
そして、デザインを考え、ユニフォーム、グッズを作るのも好きだった。中学生の時は、スケートボードチーム「〇〇スケートボードクラブ」を作った。〇〇は固有名詞で記載できないが、小さな看板を手描きして、自宅の玄関先に掲げていた。因みにメンバーはボク一人。
高校に入ると、地元黒崎の喫茶でタムロする親友の平尾君と、映画「ワンダラーズ」的な街の不良に憧れて、「グリース・フードラム・クラブ」と云うチームを作り、名刺を作って配った。もちろんメンバーは平尾くんとボクだけ(笑)。そして、まったく不良なんかではなく、ちゃんと夕食の時間には帰ってた。
上京して、その平尾君と草野球チーム「ザ・ハーレム・ベルベット・エンジェルス」を作り、ダブダブのユニフォームをオーダーメイドで作った。数年後、たけし軍団のみなさんの野球チームがダブダブユニフォームを着てらしたが、僕らの方が早かったと、みんなで喜んだ。その後、2番目の草野球チーム「ザ・ソウルパートナーズ」、草サッカーチーム「バルデラマ」を作って遊んでた。
大切に保管してた、40年前作ったユニホーム!
’90年代に入り、俳優業と向き合う時間が増えて、なかなか「チーム作り」「グッズ遊び」が出来なかった。ずいぶん時が流れ、そんな遊びをすっかり忘れた頃、出版のお話しを頂き、本を出すことになった。
「書籍の名前どうしますか?」「表紙のデザインとかって、どうしますか?」
「書籍の名前?」「デザイン!」
じわじわと昔の遊びが蘇ってきた。部屋を見渡し、何気に目に入ったレコードラック。端に数枚のサウンドトラック。ん?サウンドトラック! 映画を彩り盛り上げる。ボクも俳優としてそうありたい。願望を込めてこの名前にした。「サウンドトラック」。我ながら、いい名前だと思ってる。
そしてまた次に出して頂いた書籍は、「リバーサイドボーイズ」。九州の新聞社に連載したエッセイをまとめたもので、九州に纏わるお話しを多く書いた。ボクらは、福岡の北九州地区でも、博多でも無く小倉でも無い、なんともニッチな地区だ。近くに流れる遠賀川。その界隈で生まれ育ち俳優業をやってる、でんでん先輩、野間口徹君、鈴木浩介君なんかをイメージした名前、「リバーサイドボーイズ」。これも良い名前! と自画自賛(笑)。
その名前が気に入ったボクは、自前でスタジャンを作った。ただのスタジャンじゃ面白く無いので、ベトジャンスタイルにしてみた。胸の左右に、でんでん先輩と浩介君の干支の虎と、ボクと野間口君の干支の牛を入れた。背中には、遠賀川周辺の地図と地区名を、札幌の刺繍屋さんにお願いして、こだわりのチェーンステッチで入れていただいた。題して「ベトスタジャン」。
ヤバい、楽しい!創作意欲は増すばかり。
これもそれも、ポパイさんの影響だと思ってます。はい。
リバーサイドボーイズ、ベトスタジャン。
プロフィール
光石研
みついし・けん|1961 年生まれ、福岡県出身。高校在学中に曽根中生監督『博多っ子純情』(78) のオーディションを受け主演に抜擢される。
以降、映画・ドラマを中心に様々な役柄を演じる。
映画『フロントライン』6月13日公開
映画『でっちあげ』6月27日公開
映画『夏の砂の上』7月9日公開
テレビ東京『失踪人捜索班 消えた真実』毎週金曜日21:00〜放送中。
Official Website
http://dongyu.co.jp/profile/kenmitsuishi/