カルチャー

「第18回アジア・フィルム・アワード(AFA)」に行ってきた!

@香港

2025年4月17日

text: Ryoma Uchida

大傑作『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』の日本公開も相まって、とにかく香港への熱が冷めやらない今日この頃。主演のルイス・クーや、サモ・ハン・キンポー御大を観て、歴史ある香港映画界への想いも高まった人も多いだろう。

近年は、アジア最大規模のアートフェア「アート・バーゼル香港」が開催されるなど、アジアの文化的、芸術的ハブとしても注目される香港だが、同地でアジア全域版のアカデミー賞とも呼ばれる「アジア・フィルム・アワード」(以下、AFA)がこの度開催された。

釜山国際映画祭(BIFF)、香港国際映画祭(HKIFF)と東京国際映画祭(TIFF)によって共同設立された「アジア・フィルム・アワード・アカデミー」が主宰する同式典。2007年に創設されたアジア映画を対象とした映画賞だ。近年、カルチャーを基軸とした開発がすすむ注目エリア、香港・西九龍(ウエストカオルーン)文化地区の「戯曲センター(Xiqu Centre)」を会場に、今年で18回目の開催となる。やはり規模もすごい!

戯曲センター(Xiqu Centre)

スターが揃う授賞式にはオーディエンスも興奮!

日本からは、特別功労賞を受賞した役所広司、AFAアンバサダーに任命されているディーン・フジオカ、ユース・アンバサダーの岡田将生、Rising Star Awardを受賞したKōkiなど、錚々たるスターたちが参加。また、『敵』『ナミビアの砂漠』『HAPPYEND』『夜明けのすべて』『ぼくのお日さま』など、昨年から日本の映画シーンで話題となった作品がたくさんノミネートしていたのも嬉しい。

ノミネート作品の上映やトークショーにはじまり、当日(3月16日)のレッドカーペット&授賞式に至るまでイベントが目白押し。「戯曲センター」には、先述した方々に加え、チャン・ドンゴン、ラウ・チンワン、タン・ウェイ、タイのTVドラマ『2gether』で話題のウィンらアジアを代表するスターたちが勢揃い。

会場付近にはポスターが掲示され、多くの観客たちが押し寄せていたほか、アジア各国から様々な種類のメディアが集まっていて熱気を感じる。レッドカーペットでは次から次へとスターたちが至近距離で歩いていて、サモ・ハンと吉田大八監督が話していたり、『トワイライト・ウォリアーズ』製作陣が楽しそうにポージングしていたり。映画に関わる人々に意外な交流が生まれるのも、こうした式典の醍醐味なのかも。前日に飛行機の中で観た『ラストマイル』に出演していたディーン・フジオカ&岡田将生も目の前に!

ノミネート作品の上映にて数々のアジア作品を堪能。

特別功労賞を受賞した役所広司によるトークイベント。

POPEYE誌の連載「POP-EYE CINEMA」でお馴染み、三宅唱監督をはじめとする『夜明けのすべて』チーム。

『トワイライト・ウォリアーズ』チームも登場。美術賞と編集賞の2冠を獲得した。

『HAPPYEND』の空音央監督と、新人俳優賞を受賞した栗原颯人。

審査委員長を務めたアジアのレジェンド俳優、サモ・ハン・キンポー&最優秀監督賞を受賞した『敵』の吉田大八監督! 日本人監督による受賞は、2023年・2024年の是枝裕和監督に続き、3年連続の快挙。

『ナミビアの砂漠』チーム

レッドカーペットの端っこをうろついていたところ、ユースアンバサダーを務める岡田将生さんと、監督賞に輝いた吉田監督と遭遇!メッセージをいただきました。

作品賞に輝いたのはインド・フランス・オランダ・ルクセンブルクの合作『All We Imagine as Light』。7月に予定されている日本公開も楽しみだ。モハマド・ラスロフが脚本賞を受賞した『聖なるイチジクの種』は日本でも公開中だし、吉田大八監督が監督賞を受賞した『敵』も絶賛ロードショー中。これからの注目作としては、香港で広東語映画の歴代観客動員数No.1を記録した『ラスト・ダンス』(原題『破・地獄』)やラウ・チンワンが主演男優賞を受賞した香港映画『お父さん』など、新たな潮流を感じさせる映画がたくさん。まだまだ知らないアジア映画がたくさんある。

ディーン・フジオカは授賞式で、「ここ香港は、私の映画制作への情熱を1つにしてくれた街」とコメント。たしかに、アジアの素晴らしき映画たちを発見し、一年の功績を称え、映画への愛を感じるアツい数日間だったし、国や地域を越えて映画人が集う豪華なイベントだった。今年もこれからどんな作品と劇場で出合えるか、益々楽しみだ。

インフォメーション

「第18回アジア・フィルム・アワード(AFA)」に行ってきた!

第18回アジア・フィルム・アワード(AFA)