TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#3】ヘニャパ族と暮らした話②

執筆:加藤紀子

2024年12月28日

「言葉が通じない国に行ってみたい」との願いは、南米ベネズエラでの“ヘニャパ族”でのホームステイで叶うこととなり喜んだものの、右を向いても左を向いても見たことも経験したこともない事ばかり。
「どう暮らし何を食べているんだろう?」
目に映るヘニャパの世界は、改めてこんなふうでした。

 暮らしているみんなが纏っているのは、男性は樹皮で茶色く染めた布の細めのふんどし、女性はエプロンスカートのように巻いた布一枚と、至ってシンプル。
村には土壁と藁で作られた小屋があって、それぞれのお家もあれば、台所として使う小屋、会議などをする小屋(初日に挨拶させてもらったのがそこ)に分かれている様子。基本、家の中で過ごすというより、太陽が出たら外で木にもたれてお喋りしたり、子供と遊んだり。日が暮れるとみんなでご飯を食べて、そして家に戻って眠るスタイル。睡眠場所は、蚊帳の下に吊るされたハンモック。「絶対夜中に落ちるだろうなー」と思っていましたが、実際落ちることなく、慣れた頃には寝返りが打てるまでに。あ、ちなみにトイレは特別あるわけではなく、誰もいなさそうな場所で静かに……と学びました。

 食事はというと、スーパーや冷蔵庫は当然見当たらず、田んぼや畑もなさそう。初日、楽しそうな水浴びかと男子に混じって入った川から、魚を抱えて上がってくる姿を見て、自給自足?と思った二日後。村長をはじめとした男性たちがワラワラと集まり、見ると腰布にカマが引っ掛けてあり「?」と様子を伺うと、これから行く狩りで使う道具のよう。そう、狩り。未体験の身としては「怖いからお留守番・・」だなんて言うわけもなく、是が非でも参加の心。せっかくならみんなにならって素足で・・と思ったら、「ソレ必要」と靴を指差され出掛けて納得、歩き始めるとすぐさま、「ここ本物のジャングル!」の景色に。生い茂った木々と鳥の声ばかりの道なき道に見える中を、誰もが慣れた足取りでぐんぐん前に。道中、行く手を阻む枝などを用意してきたカマで切り落としたり、自販機のボタンを押すかのよう、木の皮を剥いで中から滲み出る水を口にしたり。巧みで見事なカマ捌きには「さすが」の声が漏れました。

 みんなのしゃべり声の中に時折「ノリコ」と唯一理解できる言葉が聞こえ、少しは仲間入りさせてもらえたのかな?なんて嬉しくなったりしながら、村を出てから2時間が経った頃。村長が突然、若者男子に何かを指示。すると彼らは倒れていた木の穴に棒を突っ込み、ゴソゴソ探っている様子。すると穴の中からドタドタ逃げ回るような音が聞こえると「アックイン!アックイン!」と声を上げて嬉しそう。

「アックイン??」正体が分からぬまま「食べる?」のジェスチャーで尋ねると「うん!」と笑顔で頷いたと思ったら、「ノリコ!」と呼びかけられ、持っていた二本の棒を私の手に。恐る恐る受け取り、棒の先で挟んでいる感触の何かがモゾモゾ動く中、力を入れて棒をゆっくりとクロスさせて…!

ーーまだまだ綴りたい気持ちは山々なのですが、またしても長くなりそうなので、続きは新年にお届けします!

みなさま、良いお年を〜!

こちらはブラジル、アマゾン奥地で体験したカニ漁の写真。泥の中から必死に探り当てつかんだのはカニ。「採れた!」と喜んだら「それはオス、はいリリース」とメスのみを捕まえるそう。初心者には見分けつかずの漁。

プロフィール

加藤紀子

かとう・のりこ|タレント。1973年、三重県生まれ。1992年に歌手デビュー後、CM、ドラマ、バラエティ、執筆活動の傍ら、ライフワークとして都内での野菜作り、また「お豆腐親善大使」を務めるなど食に関する興味が多岐にわたる。オフィシャルブログ「加藤によだれ」では日々の出来事を発信している。TBS「ふるさとの未来」レギュラー出演中(毎週水曜24:58~)

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