トリップ
「MIDNIGHT PIZZA CLUB」座談会【後編】
仲野太賀×上出遼平×阿部裕介
photo: Kanta Torihata
text: Ryoma Uchida
2025年4月26日
俳優の仲野太賀、TVディレクターの上出遼平、写真家の阿部裕介。3人の旅サークル「MIDNIGHT PIZZA CLUB」による前代未聞の旅本が発売された。真冬のニューヨークに始まり、“世界で最も美しい谷のひとつ”と言われる、ネパールのランタン谷を目指し歩く一週間の旅の模様を文章と写真に収めた『MIDNIGHT PIZZA CLUB 1st BLAZE LANGTANG VALLEY』。この日は『ネパリコ駒沢店』にて、旅を振り返る座談会の後編です。
日本中から嫌われるかも。
POPEYE
今回は本だけでなく、音声メディア「Audible」でも配信が始まっていますが、内容についてご紹介いただけますか?
上出遼平
旅の模様は朝から晩まで全て録音してあり、今回は本の発売と同時にAmazon「Audible」で旅の様子を配信するんです。基本的には1日を1時間ぐらいにぎゅっとまとめたものと、その前後で僕らのトークが入ります。この前、Amazonのスタジオで3人のトーク部分を収録したのですが、阿部ちゃんの様子がいつもと違って萎縮していて。
阿部裕介
太賀が僕の声を良い声だって言ってくれていたから、ちょっとだけ期待し収録に臨んだのですが、いざ自分の声を聞いてみたらあまりに恥ずかしくて……。
上出遼平
俺は自分のダサい部分は全部カットしています。
仲野太賀
権力が上出さんに集中しているんですよ。編集権は譲らないんです。
上出遼平
編集や文章の仕事をやっていてよかったと思いましたね。最終的にこの2人をどうにでもコントロールできるのは俺だと気づいて、しめしめ、と思ってやっております。
POPEYE
本の内容と音声ではまた印象も変わりますか?
仲野太賀
補完し合う形になるんじゃないかな。
上出遼平
使っている部分が違うので、できれば両方とも楽しんでもらいたいです。寝る前に音声を聞けば、いい夢を見れるかも。
阿部裕介
いやー、太賀への態度とか知ったら、日本中の人が俺のことを嫌いになるかも。
上出さんに復讐!?
POPEYE
逆に仲野さんと阿部さんからみて、上出さんとの旅はいかがでしたか。
仲野太賀
すごくいいところばっかりでした…。
POPEYE
なんだか権力を感じます(笑)
仲野太賀
でも、ちょっと言わせていただきたいのですが、本編では俺らのことをいじり倒して「やれやれ…」と一歩引いている描写が多々あるじゃないですか。まるで俺らが何にも考えてないトンチンカンみたいなね。でも俺だってちゃんと心が動いてるし!(笑)
阿部裕介
僕もありますよ。なんか、話せることが色々なんか。ちょっと考えますけど。うん……。
上出遼平
もうだめそうじゃない。
阿部裕介
悔しい!
仲野太賀
俺たちの感情の機微も文章で拾ってくれ!
上出遼平
発露された感情しか拾えないからね。
仲野太賀
話変わりますけど、今日は朝から取材があったのですが、インタビュアーさんが女性のときは、この人はあからさまにカッコつけるんですよ! そこがシティな振る舞いじゃありませんよね。
阿部裕介
ははははは!
上出遼平
ひどくないですか?(笑)。たしかに東京のど真ん中育ちの 2人とは違って西東京出身ですけど。
仲野太賀
ニューヨークに引っ越して、マンハッタンで遊んで。キラキラしてっていうカッコつけ方がね。上出さんのこういう部分もちゃんと記事に書いてください!
POPEYE
「心の機微」でいうと、本書には仲野さんのフィルムカメラで撮られてる写真に関して、「現像の喜びを考えれば、2度旅ができるということかもしれない」と上出さんが書かれていたのですが、仲野さんのカメラに対する気持ちはいかがですか?
仲野太賀
おお! まさにその通りだ。
上出遼平
ほら、書いてあげてるじゃない。
仲野太賀
すみません。まさに思っていることでした。フィルムってタイムカプセルみたいだから、時間が経ってから現像した時の、もう一度旅を味わえる感じが楽しくて。
ただ、フィルムとデジタルのどちらも使う阿部ちゃんと一緒にいると、デジタルもいいなあと揺らぐのですが、やっぱりフィルムの美しさがどうしても好きで。手間もかかるし、フィルムの値段は高すぎるんですけど、だからこそ、その瞬間を大事にして、撮るべきものをしっかり選んで上がってきた作品の方が、僕自身はすごくその作品を愛せるなと思うんです。1枚1枚をすごく大事に撮りたいなと思っているんです。
人生はMがいい?
POPEYE
本、音声、写真というそれぞれの取り組みが、帰国して初めて全てまとまり、一つの形になったと思うのですが、お互いの成果を見た感想はありますか?
仲野太賀
そう考えてみると、見事なバランスだと思います。性格もバラバラで、いつだって解散の危機になり得たはずだけれど、奇跡的に調和がとれているんじゃないかな。
上出遼平
作り方もすごく珍しいパターンだと思いました。3人が旅をして、それぞれ別々のアウトプットを1冊にバランスを取って収録していく。実は今日(取材日の12月9日)、完成したばかりで。お互いの写真の話を聞く度に驚きがある。まだまだ味わえるんです(笑)
阿部裕介
今回は本を作るにあたって、どうやってレイアウト組もうとか、どういう写真をセレクトしようとか、結構悩んだのですが、次のアメリカ編やニュージーランド編でのセレクトやレイアウト組みは太賀にやってもらいたいなと思っています。やはり写真に関しては自分が思うように組んでいるので、また新たな目線で編集してくれたら、新しくその旅が見えてくるのかなって思うんです。
POPEYE
次の旅も考えているのですか?
阿部裕介
実は2冊目の旅はもう終わっています。アメリカのアパラチアン・トレイルというロングトレイルを歩きました。来年からはニュージーランドへ行こうと詳細を計画していて、それが第3弾になる予定です。
仲野太賀
ニュージーランドは、旅をちゃんと終えられるのか不安なほど、過酷なトレイルになりそうなんですよ。
上出遼平
マゾですから……。元々、太賀くんは楽しい旅が大好きだと思うのですが、僕はやっぱり過酷な旅じゃなきゃもう満足できない体になっちゃっていて。今回のネパールは阿部ちゃんプレゼンツで、第二弾のアメリカ編は上出プレゼンツでいいってことだったので、つい“マゾい”旅になってしまいました。途中、太賀くんは本当にしんどすぎて、ずっとキレていました(笑)。でも、その旅を終えたらハマっちゃっているんです。私が扉を開いたのでしょう。
仲野太賀
第三弾のニュージーランド編では、ニュージーランド史上最も辛いトレイルになると聞いて。もうよだれがとまらない(笑)
上出遼平
ひいひい言わせてやろうかな! 阿部ちゃんはどうなの。
阿部裕介
そこに関しては結構ハイになってしまうので、楽しくて仕方がないです。でも、事前にちゃんと調べておくのは大事ですね。雪がない前提で旅を始めたら、どんどん雪が深くなっていったりするトラブルがキツかったし。徐々に学んでいます。
POPEYE
それでは最後に、読者の方にメッセージをお願いします!
仲野太賀
僕自身も『地球の歩き方』や『深夜特急』を読み、本に感化されて旅が好きになり、いつかこんな旅をしてみたいと思ってきました。この本を手に取った人にも旅に出てほしいなと思いますし、そんな気持ちを誘発する一冊になってくれたらいいなと思います。読者の方をどんどん過酷な旅に誘っていくかもしれませんが(笑)
上出遼平
マゾの方が人生楽しいと私は思うんですよね。自分で苦しみを喜びに変換していけるなんて、素晴らしいことじゃないですか。だから先ほどバイブルみたいな話がありましたが、文字通り聖典になってくれれば!
仲野太賀
よくわからない締め方しないでください!
インフォメーション
MIDNIGHT PIZZA CLUB 1st BLAZE LANGTANG VALLEY
「ミッドナイト・ピッツァ・クラブ(MPC)」――真冬のニューヨークで天啓がごとく授かった名に導かれるようにして旅立った3人。ネパールはランタン谷を歩く一週間がはじまった。カトマンズを爆走する四輪駆動車、激痛を生む毒の葉、標高2440mにあるホットシャワー、地震で一度壊滅した村で韻を踏み続ける青年、ヒマラヤの甘露「アップルモモ」、回転するマニ車、見え隠れする陰謀の影(!?)数々の危機を乗り越え、出会いと別れを繰り返した先、3人を待ち受けていた光景とは――?
食って歩いて歌って寝て、泣いて笑って怒り狂う男たちの、汗と泥と愛にまみれた旅物語。
発売日:2024年12月12日(木)
価格:2,750円
著者:仲野太賀、上出遼平、阿部裕介
出版社 : 講談社
判型:四六変型・仮製
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