TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#1】21歳 はじめての1人旅

執筆:加藤紀子

2024年12月14日

加藤紀子


text: Noriko Kato
edit: Fuya Uto

 初めまして、タレントの加藤紀子です。
ご縁あって12月の連載を担当させていただくこととなりました。忘年会にクリスマスなど、どなたもお忙しい時期かと思いますが、お付き合いいただけたら嬉しいです。

 そう年末。ギリギリ今年中にやっておきたいことと会っておきたい人、セールだからこそ買い足しておきたい物、来年の計画などいつも以上にソワソワしがち。だからこそ気を引き締めておかないとね!と思っていた矢先、やっちゃいましたよ置き忘れ。旅が終わる目前に最寄り駅でバックパック丸ごと、電車の座席下に置いたまま降りちゃいました。

 私が旅に目覚めたのは、21歳のパリ一人旅。小学生の時、教室にあった占い本の「水瓶座のあなたの前世はフランス人です」という一文が忘れられず(なんなら信じていた)、1週間のお休みをもらって里帰りかのように出掛けてみたら、宿泊させてもらう予定だった方が出産のため緊急入院! 

「だから今夜しか泊めてあげることが出来ないんだ、ソーリー」と、ブラジル人パートナー。
スマホもネット予約も翻訳アプリもない時代、翌朝スーツケースを片手にホテルを一軒ずつまわって何語で交渉したのか、なんとか空き部屋をゲット! 眠れる場所が確保出来た安心を祝うべく、観光ブック『地球の歩き方』で見つけた『友和』という和食のお店でメニューを開くと、お寿司ばかりのラインナップ。

「生魚苦手と言えたなら……」、涙目でシャリとガリだけを食べてホテルまで歩いていると、
「どうしたのですか、マドモワゼル?一緒に歩いてあげましょう」なフランス人紳士がどこからか登場。
到着してまだ2日しか経っておらず、なんならエッフェル塔やフランスのエスプリにすら触れていないのに、想像を超えてくる出来事ばかりの連続は大きな刺激(あるいは衝撃)となり、いかに普段の暮らしが優しく平和で、守られているかを知る経験となりました。

 旅の面白さに気づき、これまで仕事や旅行で出掛けた国は36カ国。「実力つけたい!」との思いからフランスに2年間、語学留学へ出掛けた時期もありました。
「人生は旅」。こんな言葉があるのなら、未開の地へと出掛けていきたいと願い、一方で未だ目的地から帰ってくる気配のない私のバックパック……どこー?

留学したい気持ちを抱えて再び渡仏したものの、言葉が分からなさすぎて頭痛になり、一旦諦めた26歳の冬、メトロにて。

プロフィール

加藤紀子

かとう・のりこ|タレント。1973年、三重県生まれ。1992年に歌手デビュー後、CM、ドラマ、バラエティ、執筆活動の傍ら、ライフワークとして都内での野菜作り、また「お豆腐親善大使」を務めるなど食に関する興味が多岐にわたる。オフィシャルブログ「加藤によだれ」では日々の出来事を発信している。TBS「ふるさとの未来」レギュラー出演中(毎週水曜24:58~)

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