バンド

インドネシア・スラバヤのネオ・ソウル。 Thee Marloesの来日を待っていたんだ。

2024年10月10日

バンド特集・Web特別編!


illustration: Shinji Abe
text: Miho Nagaya

photo: Deby Sucha

 NYの粋なレーベル、ビッグ・クラウン・レコードから登場したインドネシアのスラバヤ出身の3人組、ジ・マーローズ。彼らのホームタウンの港の名を冠したアルバム『Perak』は、甘いソウルや躍動的ファンクに色付けられた曲の数々に、風通しの良いヴォーカルが映え、ときおりサイケデリックな妖しさが醸す違和感にじわっとくる。愛や日常のリアルな想いについて、英語とインドネシア語で歌うのだが、ヴィンテージな感触の楽曲の中に、新たな表現への挑みが見える。彼らが影響を受けているチカーノ・ソウル、ラテン・ソウル、ロックステディはソウルへの深い憧憬を進化させ、何にも代え難い音世界を創ったが、彼らの音にも同様のきらめきを感じるのだ。

photo: Kenny Soesilo

中央/NATASSYA(VOCAL&KEY)
情感あふれる透明な声が魅力。音楽一家に育ち、幼稚園の頃から現地のゴスペル楽団に所属。スティービー・ワンダーから多大な影響を受けている。
左/TOMMY(DRUMS)
叩き出されるファンキーでダイナミックなリズムのグルーヴはバンドの要。レコーディングのために70年代のドラムセットを探すこだわりも。
右/RAKA(GUITAR)
バンドを牽引するプロデューサーでもある。ソウルから70年代のインドネシア伝統音楽ダンドゥットのギター・ファズ風まで変幻自在に演奏。

プロフィール

Thee Marloes(ジ・マーローズ)

2020年にスラバヤで結成。70年代のインドネシア音楽から、新旧のR&B、ジャマイカやブラジルの音楽、山下達郎まで異なる時代や文化から幅広く影響を受けた、独自のソウル、ポップスを奏でる。今年10月に東京と大阪で初来日公演が決定。公演の情報はこちらでチェックを。

YouTube
https://www.youtube.com/channel/UChsO4mj1wOKTL4PI0-dZKIg

LISTEN now!

インドネシア・スラバヤのネオ・ソウル。 Thee Marloesの来日を待っていたんだ。

Perak(2024)

今年8月にリリースされた、スイートでソウルフルなデビュー作。12曲中4曲はインドネシア語で歌われていることからもわかるように、随所に彼らのアイデンティティーが盛り込まれている。躍動の合間に覗くメロウさがたまらない。