ファッション
品質が良ければ長持ちするのです。
〈マリメッコ〉クリエイティブディレクター・レベッカ・ベイに聞いた服のこと。
2024年9月24日

僕らのチープシック2024
photo: Maya Matsuura
hair & make: Isabel Fjerlking
coordination: Chieko Tomita
text: Shimpei Nakagawa
2024年10月 930号初出
「かれこれ30年ほどスタイルは変わってません」。そう語るのは、数々のグローバルブランドを渡り歩いた後、2020年にフィンランドの国民的ブランド〈マリメッコ〉のクリエイティブディレクターに就任したレベッカ・ベイだ。
写真家である親父さんが持っていた『Femmes de Paris』というモノクロの写真集に写る働く女性たちのスタイルを食い入るように見ていたのは、小学1年生の頃。お気に入りのヴィンテージのボートネックをユニフォームのように毎日着ていた中学生時代。建築や家具、プロダクトなどダーニッシュデザインに囲まれて育った。「これがチープシックだったとは思いませんが、小さな頃から〝仕立ての良いもの〟に対して興味がありましたし、心地よいものであれば同じものをずっと着ていました」。アウターは〈マッキントッシュ〉やクロンビー社の生地を使ったウールコートなど、白Tは〈スタジオ・ニコルソン〉を買い足し、ニットは〈ジル・サンダー〉や〈セリーヌ〉などでネイビーかチャコールグレーのもの、シャツやデニムは白とブルーという感じで、シンプルなクローゼットで事が足りる。「引き出しにTシャツやニットなどが入ってるので、ここにある服だけではないのですが、ポリシーは1枚購入したら1枚処分すること。といっても、古くなったものはサマーハウスで着ているので処分とは違うのかもしれませんが。
「新しい服を買うときには、今自分が持っているアイテムと組み合わせやすく、シルエットや素材、カラーリングがタイムレスなものを選びます」。ベーシックが綺麗に収まるコンパクトなクローゼットには、〈プラダ〉のブルーストライプシャツ、〈セリーヌ〉の白シャツ、〈マッキントッシュ〉のゴム引きコートなどが並ぶ。

70年近く前にデザインされたのに、赤とブルーの濃淡のストライプのバランスが新鮮だなと選んだのはヴィンテージの〈マリメッコ〉。ブランドの代名詞の一つである「Piccolo」パターンを使ったストライプシャツ「Jokapoika」は、メンズもの。「製造年代は不明ですが、使い込まれた感じが気に入っています」

10年以上前からTシャツはイギリス発のブランド〈スタジオ・ニコルソン〉のLeeというタイプのもののみを買い足してきたという、レベッカのベーシック。生地が厚めで、ボックス型のシルエットが気に入っているという。「着込むほどに風合いが出ていい感じになるんです。ボロボロになったらサマーハウスで着る用にしています」
ここにあるもので、着用しないアイテムは一枚もありません。クローゼットにあるもので最近買ったものはなく、ほとんどが数年から10年近く愛用しています。私にとってのチープシックとは、高額でもトレンドに左右されないシルエットと適度なボリューム感、良質な生地が使われていて、長く使える品質の良いものを選ぶこと。着られる年数で換算すると結果的に安上がりですよ」。品質が良く長持ちするものを、必要最低限に。長い年月をかけて選りすぐられたベーシックが並ぶそのコンパクトなクローゼットには、彼女の個性が表れていた。

「1枚だけで着ることはないですが、〈ザ・ノース・フェイス〉の薄手のダウンはお気に入りのコートのインナーとして使います。コートとダウンという異なるスタイルや素材感のバランスも気に入っていて、冬の定番のスタイルです」。合わせる白のデニムは近年スタートした〈フィービー・ファイロ〉のもの。

ヒールの靴は持っていないというレベッカは「フラットシューズは女性が自由に動けるワーキングウェアだと思っています」と語る。スニーカーは〈セリーヌ〉、パーティでも履ける黒のシューズと赤いブーツは〈ザ・ロウ〉。サンダルは〈ミュウミュウ〉で、ブラウンも持っている。「気に入ったものは色違いで揃えるのもルールかも」

「デザインが好きなフィービー・ファイロ時代のもので、ポケットが多いし、いいボリューム感なのでダウンやジャケットの上に羽織ったり、組み合わせもしやすいです。高かったのですがよく着ているので買ってよかったです」と話すのは2014年に購入した〈セリーヌ〉のコート。〈マッキントッシュ〉と同じ生地が使われている。
プロフィール
Rebekka Bay
レベッカ・ベイ|1969年、デンマーク生まれ。グローバルブランドのディレクターを歴任した後、〈マリメッコ〉のクリエイティブディレクターに。今回お邪魔した自宅のあるコペンハーゲンとヘルシンキの2拠点で活動する。デイハイクが習慣。
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