From Editors

いざ、久しぶりの海外へ! やっぱり楽しいなぁ。

2024年7月8日

 ポパイが海外への旅の特集を大々的にやるのは、実に2018年の秋以来。予期せぬ出会いを求め異国へ飛び立つなんてすっかりご無沙汰で、編集部にも「パスポート切れちゃった」「パスポート作ったのにすぐコロナでどこにも行けなくなった」っていうスタッフがちらほら。ペーパートラベラーと化した僕たちに追い討ちをかけたのは円安と物価の高騰。でも、2024年を迎えた僕らにはご近所のアジアこそ最高の旅先かもしれない、という謎の期待と確信があったのです。そうして編集部のメンバーは思い切って5つの国へと散りました。各地で待っていたのは、連綿と続くエキゾチックな空気だけじゃなく、東京とは一線を画すモダンなシティライフ&カルチャーだったのでした。

 その詳しい様子は本誌を読んで頂きたいのですが、僕が今回の旅でもう1つ楽しみにしていたのは乗り物です。各地で、旅情を感じる体験がやはり待っていたようで。

 チェンマイでは往年のトゥクトゥク、シンガポールでは快適なメトロ、ハノイではGrabを使って街を埋めるバイクの大群に飛び込み、サパではギネス認定のロープウェーで標高3000mまで決死の宙吊り。30両超えの大蛇のような夜行列車で宇宙のパワーを感じに行ったのはモンゴルチーム。インドネシアを担当した僕は、新幹線を優に超える350km/h近くでぶっ飛ばす高速鉄道「Whoosh」に乗ってきました。

Whooshと家族で記念撮影! ジャカルタ側の始発・Halim駅の広大さよ。乗務員さんの制服も素敵。

 Whoosh(ウーシュ、と読みます)は昨年の秋に運行をスタートしたばかりの、現代における最新型の電車です。首都ジャカルタから文化の街バンドンまで、今まで車で4〜5時間かかっていたけれど、これを使えばわずか1時間ほどで行けます。「そんなの、乗るしかないじゃん!」っていう思いはインドネシア国民も同じようで、真新しいホームにはローカルたちがWhooshと記念撮影をしているハッピーな光景が。思わず笑顔になってしまうワクワク感が、広い広ーい駅に充満していました。走るWhooshの窓からは、インドネシアの牧歌的な田舎の風景が見られほっこりします。お米の国に思いを馳せる間、耳はずっとキーーーン。実際の乗車時間はわずか30分ほど。そしてあっという間に、灼熱の大都会から山間部の涼しい田園都市に到着します。この速さと、雰囲気の劇的な変わりように、まるで夢のなかへ遊びに来たような気分でした。

ローカル線と並走するWhooshから、ジャカルタを眺める。

WhooshはHalim駅から30分ほどで到着するPadalarang駅で降りて、専用のフィーダー電車と呼ばれる列車に乗り換えて、バンドンへ行きます。

 車内アナウンスがまた、名物のようです。ご案内の最後に必ず、「Whoosh, Whoosh, Whoosh, Yes!」と言います。これが耳にこびりついて離れません。つい油断して口にしたら、バンドンの友達に苦笑いされました。この旅は音楽を存分に堪能することが目的だったし、それはバッチリ達成したけれど、これを書いている今でも頭の中でリフレインするのは、ウーシュウーシュウーシュ、イエス! 2023年のインドネシア流行語大賞を受賞したと聞きました。

車内アナウンス、聞こえますか?

(本誌担当編集)榎本健太