ファッション
TPOに合う服装とは? Vol.2/コナー・マックナイト
in NY
2024年1月23日
STYLE SAMPLE '24
photo: Takeshi Matsumi
illustration: Borja Bonaque
text: Shimpei Nakagawa
2024年2月 922号初出
T=Time、P=Place、O=Occasionをわきまえた服装をする、という概念は多様性の時代でも大切。状況に応じ、自分も周囲も快適でいられるような、嫌な目立ち方をしないスタイル。しかし、それだけじゃオシャレではないね。ここでは個性も上手に発揮する3人に、6シーンの装いを披露してもらいます。
1. 友人の結婚パーティ。
タキシードのパターンで作ったスーツに〈ヘインズ〉のタンクトップを合わせて。
自身のブランド〈Connor McKnight〉で毎シーズン改良を重ねリリースするほどこだわりの強いセットアップは、モヘア生地を使ったタキシードカットでクラシックだから、フォーマルな場所にぴったり。だけど新しい出会いも多い友人の結婚式では、あえてカッチリし過ぎないように意識する。「シャツや蝶ネクタイの指定がない限り、タンクトップやTシャツを合わせて、足元はバレリーナシューズでほんの少しだけカジュアルダウンさせるんだ。フォーマルな場だからこそルールを理解した上で、少しの遊び心を忘れないようにしてる」
2. クライアントとの打ち合わせ。
古着&ワークウェアといういつもの服に、〈イッセイミヤケ〉のジャケットを。
2023年の10月にNYのローワー・イースト・サイドにオープンさせたショールーム兼オフィスでクライアントとのミーティングをおこなうことが多いコナー。毎日のように着てしまうというお気に入りのThe New York TimesのヴィンテージTシャツと’70年代の〈Dickies〉のペインターパンツで自分らしいカジュアルさは残しつつ、ジャケットは羽織るようにするという。「〈Issey Miyake〉のヴィンテージジャケットはゆったりなフィット感で、気楽に着られるんだけど、それでいて少しドレスアップができるからこういう機会に重宝するよ」
3. パートナーとのデート。
「それ、どこの?」と聞かれることもない、なんでもない服装で、コミュニケーションを優先。
「ディナーデートのときはコミュニケーションにフォーカスしたいし、相手が何を着ていたかより、どんな話をしたかっていう思い出のほうが大切だから、会話の邪魔にならないシンプルで滑らかな服装が良いと思うんだ」と語るように、〈Connor McKnight〉のレザーを用いたハンティングジャケットに、ヴィンテージの〈Levi’s〉505など、ダークトーンで統一。ライフタイムフェイバリットだという〈Connor McKnight〉のニットは、第2次世界大戦時代のアメリカ海軍のモックネックをサンプリングし、ショート丈にアレンジしたもの。
4. 雨の日の外出着。
フライフィッシングのための機能を備えた自慢のジャケットと〈マルジェラ〉のブーツで。
「本来憂鬱な雨の日も、もしお気に入りのレインジャケットを持っていれば楽しみになるよね」。普段もよく着ているという〈Connor McKnight〉のレインジャケットは自信作だそう。最初は自分のために、フライフィッシングで使われるウェーディングジャケットをベースに作ったものの、背面にプリーツを入れるなどマイナーチェンジを重ね、今では機能性だけでなくエレガントさが加わった。同じように近年よく履いているという初期の〈Maison Margiela〉の名作スクエアトゥブーツは、雨でもスタイルを保持したいコナーにとって欠かせない一足。
5. ひとりの休日。
ショート丈のトップスにルーズなボトムス。自分のスタンダードスタイルを着倒した古着で。
休日のスタートは愛犬の散歩をした後、近所のコーヒーショップで一息つく。「リラックスしたい日は、普段のようにショート丈のトップスに少しルーズフィットなボトムを合わせるというサイズ感は変わらずだけど、’70年代の〈Champion〉のリバースウィーブに’90年代の〈Levi’s〉という感じで、自分の体にフィットする着古したベーシックな古着でコーディネートすることが多い」。’70年代のリバースウィーブはすでにかなりの量を持っているそうだけど、いまだにリーズナブルだから自分のサイズがあればついつい買い足してしまうとか。
6. スポーツ観戦。
足元だけ、名作のホースビット・ローファー。“ファッション”し過ぎず、応援の空気を大切に。
NBAやニューヨーク・ヤンキースの試合を観に、友人とスポーツバーにちょくちょく行くというコナー。とても満足いく良い買い物だったという’60年代のヤンキースキャップは、ネットでたまたまリーズナブルなものに巡り合い、即購入。「スポーツを観に行くときはいつもよりカラフルなコーディネートにしてる。でも気をつけているのは、スタイリッシュになり過ぎないことだね。知らない人も含め、その場にいる全員と自分のチームを応援するときは空間に溶け込めるような、カジュアルで少し地味なくらいの格好がいいと思う」
プロフィール
コナー・マックナイト
1993年、ワシントンDC生まれ。〈Bode〉や〈Kith〉を経て、2020年に〈Connor McKnight〉をスタート。自身の日常のスタイルにも多用する、ブランドの代名詞的なショート丈のトップスのシルエットは、’40~’50年代のスタイルがインスピレーション源。日課はeBayパトロール。
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