ファッション

チロルのレトロスキーコレクター。

2024年1月13日

STYLE SAMPLE '24


photo: Hubert Bachnetzer
text: Koji Toyoda
cooperation: Yusuke Mizusawa
2024年2月 922号初出

ウィンタースポーツの本場、オーストリアのチロル地方で、クレイジーすぎるスキーウェアマニアを発見! 膨大なコレクションをもとにその歴史を紐解いてみよう。

 インスタで偶然見つけたアカウント名は〝retro_skifluencer_tyrol〟。その直球すぎるネーミングは伊達じゃなく、589件に及ぶ投稿(’23年12月現在)は、何十本も並んだ年代物のスキー板をはじめ、ウェアやブーツで埋め尽くされる。ヨーロッパやアメリカでレトロスキーファッションが密かに盛り上がっていることは知っていたけれど、ここまで〝愛〟に溢れた人ってそういない。一体、彼は何者?

「グーテン・ターク! 僕はトーマス・バッハネッツァー。チロルに住む氷河考古学者だよ。1890年代~1990年代までのアイテムを趣味で集めていて、板は約1,300組、ウェアやギアは5,000~6,000点くらい。6年前に祖母にもらった’70年代のビンディングがきっかけでこの世界にハマったんだ。なぜスキーか? それは僕たちの生活に根ざした身近なスポーツだからだ。デザインの変遷も面白くて、’50年代頃までは天然素材のウェアに木製の板。’60~’70年代はスポーティでシック、’80~’90年代にはポップなネオンカラーがその象徴だね。今はオーストリアものが中心だけど、まだまだ集めたいよ」

 そんなスキーウェア〝考古学者〟のトーマスさんに、今回は’30~’90年代のスタイルを再現してもらいスナップ。70年に亘るスキーファッションをおさらいしてみようじゃないか。

プロフィール

Thomas Bachnetzer

トーマス・バッハネッツァー︱1978年、オーストリア・チロル生まれ。地元インスブルック大学に勤める考古学者。チロルではレトロスキーおじさんとして知られ、地元のTVや新聞に載ったことも。スキーの腕前はインストラクター級。

Instagram
https://www.instagram.com/retro_skifluencer_tyrol/