ライフスタイル
【#3】同じ釜の飯を食う/Studio lunch
執筆: 〈Gohar World〉Yukimi
2023年9月22日
photo & text: Yukimi
edit: Eri Machida
外食ももちろん好きだがわたしは結構な頻度で自炊をしている。パートナーの彼はほとんど料理をしないが、それがわたしのストレスになることはない。作ったものはなんでも食べてくれるからというのもあるが、むしろ料理がストレス発散の一貫なのと、もう自炊が習慣になっているのであまり苦ではないのだ。
コロナの影響でのロックダウン(都市封鎖)による外出禁止や移動制限規制の最中、わたしとパートナーはニューヨークのブルックリン、ウィリアムズバーグというエリアの小さなアパートメントで一緒に暮らしていた。普段買い物しているファーマーズマーケットはもちろんオープンしていないし、スーパーマーケットに行けるようになっても開店前から何時間も待ってやっと入店できても卵も牛乳もパスタも何にもない、すっからかんな状態で途方に暮れて店を後にすることにも慣れてくるような日々か続いた。
世紀末ってもしかしたらこんなんなんかな?と思ったりもした。
いろんな不安が押し寄せるそんな中だからこそ少しでも楽しく過ごすには、と考え工夫しながら毎日、本当に毎日、寝食を共にした。
餅は餅屋での精神で、自分がつくるそれよりも絶対にパン屋で買ったものの方が美味しいから普段はほとんど作らないパンやケーキ作りにも手を出した。お米が尽きた時のことを考え、比較的手に入りやすかった小麦粉でできるものだったから。

つい先日パートナーとその頃の話になった際、不安だったな大変だったな、などと思い返しながら当時の写真を見た。
大概の写真でわたしはご飯を作りながら、食べながら大笑いしていた。お世辞にも、全然大変そうに見えない。楽しそうで何よりやわ、と自分のことながらなんとも言えない気持ちになった。
Gohar WorldではLailaがランチを作りみんなでスタジオランチを共にする。テーブルを囲んだり、ミーティングを兼ねたり、時にはスタジオ前の道に椅子を出して外で食べることもある。彼女が不在の時や日本食が食べたいとリクエストされた時などにわたしが担当することもあるけれど、誰よりもわたしが彼女が作ってくれるスタジオランチを楽しみにしているのを知っているので、わたしがいる日は忙しくても作ってくれる。


Gohar Worldが出来る数年前、とあるプロジェクトのランチタイムに彼女が作ってくれたサワークリームを最後にポトンと落とし、Malenaがブルックリンの自宅近くで買ってきてくれたサワードウブレッドと一緒に食べた豆のスープ、またある日のマーケットに一緒に行った帰りにパッと作ってくれたオープンサンドウィッチ。特にこの二つは思い出深く、わたしにとってスペシャルなのだ。

Gohar Worldでは毎週木曜日にレシピを配信していて、アーカイブはウェブサイトにも掲載している。今年の年末あたりにレシピブックかカードなど、なんらかの形で今までのレシピをまとめてお届けできないかと計画中。もし日本で手に入らない食材があったら、何に置き換えられるかを知りたい方もいるかななどと思ったり。
そんなわたしが今無性に食べたいのは街のお弁当屋ののり弁だ。
プロフィール
Yukimi
ニューヨークをベースに、主にフードやテキスタイルをメディアとしたアーティストとして活動する傍ら、テーブルウェアブランド〈Gohar World〉の企画・デザインに携わる。
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