illustration: MAGDRON

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Hello, New Air Max! #3

2023年3月27日

illustration: Yoshifumi Takeda
text: Keisuke Kagiwada

今年で37年目を迎えるAir Maxシリーズに新メンバー「Air Max Pulse」の登場だ。
1987年に「Air Max 1」が発売された3月26日にちなんだAir Max Dayでの発売を記念して、「Air Max Pulse」の魅力を3回に分けてお届け!

第3回は、数々のアーティストにも愛されたAir Maxシリーズの歴史を紐解いていこう。

Air Max History with Musicians.

1987
2PAC with Air Max 1

Air Maxの記念すべき第1作が誕生したのは、1987年3月26日のこと。画期的なエアテクノロジーをクッションに取り入れるだけでなく、可視化させるというお馴染みのビジュアルは、デザイナーのティンカー・ハットフィールドのアイデアで、「ポンピドゥーセンター」の建築が着想源だ。ラップ界のレジェンドとして名高い故2PACは、とあるヒップホップブランドのキャンペーンにモデルとして参加した’94年、真っ白のAir Max 1を着用し、ダークな色合いのルーズな服に白いスニーカーを合わせるという、ギャングスタの定番スタイルを世に知らしめた。革命的スニーカーと革命的ラッパーのクロスオーバーは、時代の必然だったと言えるだろう。

1990
Iggy Pop with Air Max 90

Air Max1よりさらに増量しTPUパーツで強調されたAirテクノロジーと、大きなレザーのパネルで半分隠れたスウッシュロゴが特徴のAir Max 90は、技術面でもデザイン面でも”モア&モア”という言葉がしっくりくる。”インフラ・レッド”と呼ばれるそのオリジナルカラーを発売当時に履いていたのが、NYパンクのゴッドファーザーことイギー・ポップだ。意外な組み合わせだと思うだろうか? しかし、’90年代初頭といえば、彼がドラッグ依存症から立ち直り、鍛え上げられたヘルシーな肉体を獲得しつつあった頃。トレーニングにも最適な機能性を誇るこの一足が、”モア&モア”なワークアウト道を邁進する彼のライフスタイルに適合していたとしても不思議じゃない。

1991
Dizzee Rascal with Air Max 180

180度のビジブルAirクッショニングを取り入れたAir Max 180は、ウレタン製のアウトソールとAirユニットを接着させることで、Nike Airが路面と直接触れるようになった初めてのモデル。’92年に開催されたバルセロナオリンピックの際、マイケル・ジョーダンがコート外で着用していたことでも知られる。そんなAir Max 180が、音楽カルチャーの中で頭角を現したのは、’00年代に入ってから。きっかけの一つは、’05年にUKガラージの俊英ディジー・ラスカルとのコラボAir Max 180が、60足限定でリリースされたことだ。以後、エミネムがオリジナルモデルをチャリティオークションに出品するなど、音楽シーンでの存在感を高めていくことになった。

1993
Canadian Brass with Air Max 93

270度のブローモールドエアを初めて搭載し、それまでのAirバッグの常識を鮮やかに塗り替えたAir Max 93。大きなAirユニットは、デザイナーのティンカー・ハットフィールドが、ミルクジャグの持ち手にインスピレーションを得て考案したものだ。”史上最もシックなモデル”と呼ばれることもあるAir Max 93を、誰より小粋に履きこなしたミュージシャンといったら、Canadian Brassをおいて他にいない。フォーマルなスーツに白いスニーカーを合わせたステージ衣装で知られる、”世界第一級の金管アンサンブル団体”だ。彼らの着こなしは、Air Maxがストリートなスタイルはもちろん、エレガントなそれにも馴染むことを教えてくれる。

1995
LL COOL J with Air Max 95

日本における第1次スニーカーブームの火付け役となったAir Max 95は、肋骨をモチーフにしたアッパーがクールで、愛用者が発売当時から後を絶たない。ヒップホップ界におけるスニーカーヘッズの最古参、LL COOL Jもその一人。実際、’95年に放送開始したとびきりピースフルなファミリードラマ『In the House』シーズン2で主役を務めた彼は、劇中でしばしばAir Max 95を履いている。とりわけ印象に残るのが、LL COOL J演じるマリオンがバスケ大会を開催するエピソード。チームメイトはみんなバスケシューズなのに、彼だけなんとAir Max 95なのだ。しかし、クッショニングの効果か、コートでの彼は軽やかなプレーを披露。意外にいいチョイスだったのかも。

1997
Da Brat with Air Max 97

Air Max 97をひと言で表現するなら“未来”に尽きる。まるで宇宙空母のようにフューチャリスティックなデザインもそうだし、ソール全体にAirを搭載するというAir Maxの“その後”を予見させる当時の最新技術にもそれは当てはまる。だから、女性ソロ・ラッパーとして初のミリオン・セールスを獲得し、まさに“THE FUTURE IS FEMALE”を体現してみせたDa Bratと相性抜群なのは、言わずもがな。ちなみに、同時期のイタリア(芸術運動「未来派」の震源地だ)では、Air Max 97が“シルバーズ”という通り名で、クラブキッズたちのユニフォームになっていたというから、とりわけ音楽カルチャーと親和性が高い一足と言えるかもしれない。

1998
Jennifer Lopez with Air Max Plus

“マップラ”の愛称で知られるAir Max Plusは、ヤシの木と海に沈む夕日のイメージを落とし込んだ、アッパーの幾何学的デザインがニクい。Airクッショニングに新技術“チューンドエア”を用いることで、以前より衝撃緩和力が向上しているのも特徴だ。その機能性の高さは、翌年にドロップされた「If You Had My Love」のMVで、激しいダンスを踊るジェニファー・ロペスの足元をサポートしていることからもうかがい知れる。モテ男の彼氏に「浮気しないで」と釘を刺すという歌なのだが、誰からも愛されるAir Maxに捧げられている……というのはもちろん深読み。確かなのは、当時の彼女は雑誌の撮影なんかでも履くくらいお気に召していたということだけだ。

2023
Kendrick Lamar with Air Max Pulse

じゃあ、Air Max Pulseは、どんなアーティストが履くんだろうか。もちろん、まだ誰も履いてないから妄想を膨らませるしかないけど、現在のヒップホップシーンにおける若き重鎮、ケンドリック・ラマーだったらありえるかもしれない。彼は歌詞に登場させちゃうくらい〈ナイキ〉のファンだし、この前のグラミーの授賞式でも全身に〈マーティン・ローズ〉を纏い、同ブランドと〈ナイキ〉がコラボしたShox MR 4を履いていたが、コーディネートはそのままで、足元だけAir Max Pulseに替えてもばっちりハマりそうだから。そんな期待を込めて、イラストでは勝手にケンドリックに履かせてしまった。“You gon’ be alright!”と笑って許してくれることを祈ろう。

インフォメーション

特別冊子を作ったよ!

「Air Max Pulse」の発売を記念した特別冊子が3月26日より『代官山 蔦屋書店』『Nike Harajuku』『Nike by Shibuya Scramble』で数量限定配布予定!

Official Website
https://www.nike.com/jp/nike-app/