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【#4】締めはサテライトオフィスで

2022年12月4日

manga & photo & text: Yuuki Nara
edit: Yukako Kazuno

このコラムも今回でラスト。何について書こうか、今僕はサテライトオフィスでランチしながら考えています。サテライトオフィスと言っても事務所とかではなく、ファミレスです。

僕は週に数回、行きつけのファミレスに足繁く通い、まさに「サテライトオフィス」の如く利用しています。大体昼時にランチしつつ、2~3時間ほどプロットを練ったり、ネーム(漫画の絵コンテみたいなもの)を書いたり。または打合せで利用したりも。

昼時のサテライトオフィス(ファミレス)にはいろいろな人が来ます。学生やサラリーマンはもちろん、僕みたいに仕事をしてる人もいれば(最近は各テーブルにコンセントがある)、毎日(少なくとも僕が行く日は必ず)モーニングセットのゆで卵を美味しそうに食べながら新聞を読んでいるおじいちゃん、テニスかなにかの帰りに楽しそうにわいわいランチしているマダムたち。

僕は手を休めつつ、イヤホンのノイズキャンセリングをオフにして会話に聞き耳を立てながら、そんな人たちを観察しています。それが良い気分転換になるし、そこから何かネタを仕入れたりなんてこともあります。

そして、何気に楽しみにしているのは、スタッフさんとのやりとり。めちゃくちゃ仕事のできる中年の女性スタッフがいて、その方とのちょっとしたやりとりが何とも言えず好きなのです。料理を運んできてくれた時の「どうぞ~こちら熱いのでご注意ください」や、お会計時の「領収書の宛名は奈良様ですね! (なんと僕の名前を覚えてくれている!)」などなど。いつも仕事部屋にこもってひとりで描いている僕にとって、家族や仕事関係以外の人とコミュニケーションをとれる貴重なひとときです。

でもそれが最近、変わってしまいました……。

料理を運んできてくれるのは、スタッフさんではなくロボットに。お会計もなんとセルフレジに。たしかに人件費削減や効率化などプラスの面が大きいのだろうけど、僕みたいな客にとってはとても残念なことなのです。

今日もタッチパネルで注文した「日替わりランチ」を配膳ロボットから受け取り、ひとり食べながらこのコラムをパチパチと書いてひと段落。楽しみのひとつだったスタッフさんとのやり取りを奪われた僕は、意気消沈しながらセルフレジへ向かうのでした。

「せっかくのPOPEYE Webでの初仕事。こんな寂しい話題のコラムで締めくくりたくはなかったな……」などと思っていたら、

このひとことで、僕の心は日替わりランチのスープのように温かくなりました。

やっぱり人です。どんなに世の中進んで便利になっても、ロボットやデバイスだらけになったって、その向こう側には人がいる。そんな当然のことを忘れがちな現代、できるだけ相手(人)を意識して仕事もプライベートも生きていかないとなぁと思います。

ということで全4回。初めてコラム連載をさせていただきました。お声がけいただいたPOPEYE Webの編集さん、そして僕の拙いコラムを読んでくださった方々に、心から感謝いたします。

ありがとうございました。またどこかで!