フード
飲みやすいロングカクテルって何だ?
バーの扉はこの9杯が軽くする。
2022年8月26日

シティボーイ、はじめて1人でバーに行く。
photo: Hirokazu Kobayashi
illustration: Akira Sorimachi, Yoshifumi Takeda (portrait)
text & edit: Tamio Ogasawara
2022年9月 905号初出
バーに入ることへの緊張感というのは、あの重い扉を開けること以上に、1杯目のお酒を何にすればいいかがわからないがゆえのためらいだと思われる。なので、ここでは頼むべき1杯目を考えてみようと、新宿三丁目の『ハウス オブ ペイン』の井上さんと相談して、この9杯を決めた。マティーニなどに代表されるショートカクテルはアルコール度数も高く、その1杯で撃沈の可能性もあるので、氷入りの飲みやすいロングカクテルで厳選。井上さんいわく、トニック、リッキー、モーニの3つのスタイルを覚えれば怖いものもなくなるといい、それはどのスピリッツにも当てはめられる。たしかに、ジントニックをウイスキートニックとするだけで、急にツウな飲みものになったような気がして心が躍った。
GIN RICKEY/ジンリッキー

・SODA
・LIME
『ハウス オブ ペイン』ではジントニックよりも断然出るというジンリッキー。トニック系の甘さを欲するときもあるけれど、ライムとソーダのさっぱりとした清涼感が口の中を洗い流す。ジンにはロンドンドライジンの「タンカレー」。リッキーは人名で、最初に飲んだのがリッキーさんだったとか。
VODKA RICKEY/ウォッカリッキー

・SODA
・LEMON
他のスピリッツに比べて無味無臭に近いウォッカを使うことで、よりクリアでクセのない仕上がりになるウォッカリッキー。ライムを使うのがスタンダードだが、レモンを搾るのが井上流。このカクテルを知る人は少ないそうなので、1杯目にウォッカリッキーなんて頼めたら、ちょっとお洒落だ。
WHISKEY TONIC/ウイスキートニック

・TONIC
ほぼ頼む人がいないというウイスキートニックは、ウイスキーのソーダ割りを頼んだ常連さんに、井上さんが間違えてトニックで割って出したのが存外好評だったことから生まれたスタイル。ウイスキーはトニックの甘味と合うブレンデッドモルトの「モンキーショルダー」で。2杯目にどうぞ。
PALOMA/パロマ

・TONIC
・GRAPEFRUIT
・SALT
テキーラをベースにし、グレープフルーツとトニックで割るとパロマとなる。パロマはメキシコのジントニックといわれ、同地では当たり前のように親しまれているカクテルだ。こちらはピンクグレープフルーツを生搾りした果肉入りで、マルガリータソルトが芸術的についたスノースタイル。
SOL CUBANO/ソルクバーノ

・TONIC
・GRAPEFRUIT
パロマ同様のモーニスタイルであるソルクバーノのベースはラム。訳せば「キューバの太陽」であるわけだが、このカクテルは神戸三宮のバー『サヴォイ』で生まれた一杯。ラムにはライト&スムースなキューバのホワイトラム「ハバナクラブ」の3年が使われていて、暑い日こそすっきり飲みやすい。
SALT LICK/ソルトリック

・SODA
・TONIC
・GRAPEFRUIT
・SALT
・LEMON PEEL
真夏の1杯目に塩分を摂取するならソルトリックだ。かの有名なソルティドッグにトニックウォーターを加えたものだが、井上さんはさらにグビグビいけるようにソニック割り(ソーダとトニック)。ロングカクテルだが、ウォッカ、生グレープフルーツ、塩をよく混ぜ合わせて冷やすためにシェイク。
AMERICANO/アメリカーノ

・VERMOUTH
・SODA
・ORANGE PEEL
もちろんコーヒーではない。カンパリのオールドレシピで造られた「グランクラシコビター」に、スイートベルモット、ソーダを注ぎ、オレンジピールで香りづけした薬草系のイタリアンカクテルがアメリカーノ。ドライベルモットを使えばドライ・アメリカーノ。洒落た味のする薬草系も覚えたいね。
BOSTON COOLER/ボストンクーラー

・LEMON
・GINGER CORDIAL
・SYRUP
・LEMON SLICE
アメリカーノと同じく、その名の響きがとにかく格好いいボストンクーラー。ラム、さとうきびシロップ、生レモンを搾ったものをシェイクし、ジンジャーコーディアルを加え、レモンスライスを添える。鼻をつくジンジャーの香りがたまらないね。ちなみにスタイルは、クーラースタイルとなる。
PARISTEANA/パリスティーナ

・ELDERFLOWER LIQUEUR
・SODA
・TONIC
他のバーでは飲めない『ハウス オブ ペイン』のシグネチャーがパリスティーナだ。国産のアールグレイリキュールに、フランス「サンジェルマン」のエルダーフラワーリキュールを注ぎ、ソニックで満たし、ドライレモンを添える。こんなカクテルあったんだ! ってくらい飲みやすく、女子人気も絶大。
3つのスタイルを覚えるべし。

トニックウォーターで割ったスタイル。ひととおりのスピリッツを試してみたくなる。

甘味に体が疲れたらシトラスとソーダで満たすリッキーを。お酒の味もきちんと楽しめる。

グレープフルーツとトニックで割るモーニスタイル。どのスピリッツでもゴクゴクいける。
インフォメーション

HOUSE OF PAIN/井上博登 さん
バー初級者にもおすすめしたい『ハウス オブ ペイン』。アーティスト・空山基の絵が飾られ、店主の井上さんも話しやすく、もちろん1杯目も頼みやすい。
◯東京都新宿区新宿3-10-10 Fos Bldg 3F ☎03·5315·0441 18:00~3:00、土17:00~24:00 日休
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