ライフスタイル
第三話 – ビッグバンドとファッション –
文・吾妻光良(全4回)
2022年6月19日
text: Mitsuyoshi Azuma
edit: Yukako Kazuno
前回書いた様に、会社勤めをしていた頃はスーツの呪縛から逃れることばかり考えていたが、バンド活動の方ではかなり前から、スーツ着用も考えざるを得ない様な状況にあった。というのも、私のSwinging Boppersというバンドでやっている「ジャンプ」というジャンルではビッグ・バンドの形式が取られることも多く、そこで着られていた服も圧倒的にバンドお揃いの制服というかスーツなのだ。
結成間もない頃には、各自スーツらしきものを着てくる様に、という指令を出していたのだが、個人持ちのスーツを寄せ集めても楽団には見えず、同級生の披露宴後の二次会にしか見えない。本物はどう見えるか、という一例として1943年に制作された”Stormy Weather”という映画の中の最後の一曲を見て頂こう。
「凄い踊りだっ!」
でっすよねー!というのもあるが、何とも格好良い衣装である。ちなみにこれは元々白黒の映像をカラーにしたもので、技術の進歩は兵器ではなくこういうことに使われてほしい。で、80年代後半にやはりこれを目指そう、と決心したのだが、ここでコストの問題にぶち当たった。楽団員は全部で12名、一人一万円でも12万円、こんな費用をかけたら当時の活動では、ライヴ4回分以上がノーギャラになってしまいバンド労組がストを起こしかねない。そこで色々と安い服屋を探した結果、巣鴨のとげぬき地蔵商店街に極安洋品店がある、と聞いて視察に行ったところ、何とジャケット一着980円、というのを発見し即購入してきた。賢い経営判断だな、と自我自賛しつつ当時制作していた88年発売の二枚目のアルバムのジャケットもこの服を着て撮影した。
ところがその後、次第に楽団員達から不満が噴出してきた。
「洗濯したら子供服サイズに縮んだ」
「楽器ケースから出すとシワだらけだった」
「何で私服より格好悪いものを着るのか」
そんなこんなで、次第に着て来なくなる人間が増えて、結果、今日に至るまでライヴ時の正式ドレスコードは「白シャツ蝶ネクタイ」のみとなった。フロントの私だけはスーツだが、これも古めのスーツ屋さんで型落ちの2サイズぐらい上のものを1万円とかで買って丈だけ切ってもらうと先ほどの映画の様なスーツに見えないことも無いのである。お試しあれ。
プロフィール
吾妻光良
Official Website
https://s-boppers.com/
ピックアップ
PROMOTION
ホリデーシーズンを「大人レゴ」で組み立てよう。
レゴジャパン
2024年11月22日
PROMOTION
〈マーシャル〉のポータルブルスピーカーで巳年を祝う?
Marshall
2024年12月20日
PROMOTION
〈adidas Originals〉とシティボーイの肖像。#9
Gen Takahashi(26)_Beatmaker & Rapper
2024年11月30日
PROMOTION
タフさを兼ね備え、現代に蘇る〈ティソ〉の名品。
TISSOT
2024年12月6日
PROMOTION
〈ハミルトン〉はハリウッド映画を支える”縁の下の力持ち”!?
第13回「ハミルトン ビハインド・ザ・カメラ・アワード」が開催
2024年12月5日
PROMOTION
〈adidas Originals〉とシティボーイの肖像。#10
Tomoki Kubota(25)_Photographer
2025年1月7日
PROMOTION
メキシコのアボカドは僕らのアミーゴ!
2024年12月2日
PROMOTION
レゴ®ブロックでアートを組み立ててみない?
2024年12月19日
PROMOTION
胸躍るレトロフューチャーなデートを、〈DAMD〉の車と、横浜で。
DAIHATSU TAFT ROCKY
2024年12月9日
PROMOTION
この冬は〈BTMK〉で、殻を破るブラックコーデ。
BTMK
2024年11月26日
PROMOTION
4月から始まる大阪万博。注目すべきは、タイパビリオン!
2024年12月26日
PROMOTION
「Meta Connect 2024」で、Meta Quest 3Sを体験してきた!
2024年11月22日
PROMOTION
レザーグッズとふたりのメモリー。
GANZO
2024年12月9日