カルチャー

小さな店の作り方。

IT’S A SMALL SHOP.

2021年4月5日

illustration: Sigokun
edit: Neo Iida
2021年3月発売『POPEYE特別編集 こんな仕事があったのか。』掲載

いつかは自分の居場所を、自分の手で。
もし、ぼんやりそんなことを考えているなら今がはじめどきだ。

で、実際どんな作業があるの?

まずは、店を開くまでの3ステップをざっくりと。
慣れない場所に足を運んだり、申請書類と格闘したり。
大変なこともいつかはいい思い出になる……とは助言をくれた先輩たちの弁。

1、やりたいことを決める!

小さな店の作り方。

 何はともあれ、まずはここから。店作りの先輩・山本海人さんも「いい企画は言霊から生まれる。自分の中で悶々と考えるのではなく、誰かにアイデアを伝えてみて反応を見るんです」と言っている。「他の人がやっていないことをやらないと勝てない。ゼロからというのが難しいのなら何かと何かを組み合わせる」とも。自分のやりたいことの核となるものが定まったら、それに沿う店のコンセプトや店名を考える。どんなロゴにするかもけっこう大事。そして、次の段階の話にも関わるが、物件の審査にも金融機関の審査にも事業計画書が求められる。熱意だけじゃあ、ものは進まない。客観的かつクールな目線で文字に落とし込む時間も必要だ。

2、物件探し

小さな店の作り方。

 物件探しは、自分が住む家の探し方とさほど変わらない。家賃、立地、路面か否か、駅からの距離などなど、条件をもとに絞り込む。街の不動産屋さんに飛び込んでもいいし、at homeやホームズなどの不動産サイトにも商業物件はのっている。店舗専門サイトに登録してもいい。一般的に飲食可の物件のほうが坪単価は高めの傾向がある。気になる街をローラー作戦するのも手。空き物件があったら即お隣さんにヒアリングを。逆にいい物件はあれど街に馴染みがない場合、会う人会う人にその街の印象を聞いていたという店主もいた。街の名前を出して「あぁ、有名なレコ屋があるよね」とか、答えが返ってくれば可能性がある……というのが、その判断基準。物件は出合いというのも家同様。フットワークは軽く。

3、お金はどうする?

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 契約金、改装費、運転資金の確保など、挙げればキリがない。さらに敷金・礼金の他に家賃保証会社利用時の保証料が発生するケースも。賃料の1〜12か月と物件によりバラバラなので予め調べること。そして、店主が口を揃えて言うのが「内装・改装は予想以上にお金がかかる」。自分で手を動かせば愛着も湧くが、時間はかかる。内装業の友人を頼るのも一案だ。水道やガスなど、設備を追加する場合はその工事費も必要。ほとんどの物件が「要原状回復」なので、退去時は内装を撤去する費用がかかることも覚えておこう。資金の準備は、銀行や信用金庫といった民間の金融機関で借りる、貯金をするなど方法は様々。古着の新店『グールド』の井上拓也さんは、その借りやすさから“自営業の味方”とも言われている日本政策金融公庫を利用。「事業計画や借金の有無などを記した書類を提出しました」。当面の生活費も確保しておけば気持ちがラク。

飲食の場合

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 物件の契約→室内の改装→保健所等各届け出先への届け出・許可申→OPEN! 
というのが大まかな流れ。この各種の届け出や資格は、書類を提出すればいいものから、講習を受けねばならないものなどこれまた様々。なお、ケータリング業でも食品衛生責任者資格は必要だ。飲食は、水回りやダクトなど改装箇所が多いため、原状回復時の費用として担保する敷金の額が高めとなりがちでもある。

物の場合

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 何を扱うかにもよるが、各種免許が必要になるのは飲食と同様。例えば、古着は買い取りをするなら古物商の免許がいる。そして扱う商品の在庫のこと。あれもこれもとなってしまうが、店舗スペースもバックヤードも有限。在庫は多すぎず少なすぎず、適量を抱えるのがいい。そして、仕入れの場合も自分が無理なく、誠実に付き合える範囲で。京都で数々のアーティストの作品を扱う『VOU』の川良謙太さんも「十数人くらいで落ち着いている」と言っていた。