TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
LIFESTYLE

【#2】ザ・ディスカウント

2022.03.16(Wed)

筆者には、オシャレに纏(まつ)わる異能が備わっている。
漫画『ジョジョの奇妙な冒険』でお馴染み、幽波紋(スタンド)風に命名すると、“ザ・ディスカウント”。といっても、“値切るのが上手”とかそういう話ではない。

たとえば、テレビのトーク番組で「うわー!今日のお召し物も素敵ですねー!」と大騒ぎするMCに「いや、全然ですよー!だってこれファストファッションですし―……」と謙遜と自慢がリバーシブルとなったコメントを返す売れっ子女優。彼女には周囲から、「ウソ―!?見えなーい!」と賛辞の拍手が送られるが、その逆である。

別にコレクターでもないし、SNSに写真を上げたりもしないが、我が家の靴箱にだって値の張るスニーカーがいくつか鎮座している。時折、自慢の一足を履いて現場へ赴き、マネージャーや相方など近しい人間に「これ○○と△△がコラボしたやつだよ?」などとアピールしてみるのだが、彼らのリアクションは「えー!?……見えなーい!」……台詞こそ“売れっ子女優”のケースと同じだが、込められた意味は正反対。

「そんなに高価だとは思わなかった!」
「“それ”に大枚はたいたの?もったいないなー!」
といったニュアンスになる。

要するに、筆者が履いた靴は、もれなく安く見積もられるのだ。
ちなみに、独自に算出した値下げ幅は、平均マイナス2万円。
これほどコストパフォーマンスが悪いオシャレもあるまい。

“靴”辱……もとい、屈辱である。

プロフィール

山田ルイ53世(髭男爵)

1975年生まれ、兵庫県出身。ルネッサーンスのフレーズと乾杯漫才でお馴染みのお笑いコンビ・髭男爵のツッコミ担当。主な著書に『ヒキコモリ漂流記完全版』(角川文庫)、「一発屋芸人の不本意な日常」(朝日新聞出版)、「パパが貴族」(双葉社)、「一発屋芸人列伝」(新潮文庫)がある。ラジオ局bayfmで、2022年4月から新番組「シン・ラジオ」木曜日担当のヒューマニスタとして登場。
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