TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
LIFESTYLE

【#3】グリーン・グリーン

2022.03.23(Wed)

46歳にもなって、自分がダサいとは想像していなかった。
小学校の頃は、勉強もスポーツも優秀だった筆者。

自分で言うのもおこがましいが、(当時)関西で御三家の1つに数えられていた名門校に、中学受験を突破して潜り込むくらいの学力はあったし、サッカー部ではレギュラー、小6のときは児童会長にも選ばれた。バレンタイン・デーがくると、チョコも沢山貰っていたので、正直、モテる方だったと思う。ただし、オシャレの方は、からっきし。

映画『ザ・フライ2』の若きマッドサイエンティスト、あるいは『ドラえもん』ののび太よろしく、(今でもそうだが)いつも同じ服を着ていた記憶がある。靴は、親指の部分に穴があいても新しいものは買ってもらえず、全校朝礼の際などは、自分の足元と皆のそれを見比べ、自尊心に大きな穴があいた。

父は公務員で、神戸税関勤め。実家は裕福ではなかったが、特別貧乏ということもなかった。全ては父の教育方針だったと思われる。そもそも、彼自身、格好に頓着が無い人だった。

一張羅のスーツとネクタイは、どちらも緑色で、なぜか光沢を帯びており、授業参観に父がやって来ると、「山っち(筆者のあだ名)のお父さん、“玉虫”みたいやな!」とクラスメートからイジられ、恥ずかしかった。本物の玉虫は、その羽根を使って装飾を施した「玉虫厨子」が“国宝”の誉れを得ているが、中年親父が緑色にテカっていても仕方がない。

何の因果か、今現在、傍らに立つ相方も緑色。しかも、20年近く前、彼の衣装を選んだのは誰あろう筆者自身である。

……いや、恐ろしい。

プロフィール

山田ルイ53世(髭男爵)

1975年生まれ、兵庫県出身。ルネッサーンスのフレーズと乾杯漫才でお馴染みのお笑いコンビ・髭男爵のツッコミ担当。主な著書に『ヒキコモリ漂流記完全版』(角川文庫)、「一発屋芸人の不本意な日常」(朝日新聞出版)、「パパが貴族」(双葉社)、「一発屋芸人列伝」(新潮文庫)がある。ラジオ局bayfmで、2022年4月から新番組「シン・ラジオ」木曜日担当のヒューマニスタとして登場。
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