TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
LIFESTYLE

【#3】「度し難い人」

2021.12.23(Thu)


illustration & text: Shizu Mizuno
edit: Yukako Kazuno

 人によってはそれなりにショックを受けるかもしれません。よくある適職診断テストで 「芸術家」と出た場合、それは「無職」の円滑表現であるという社会的ニュアンスをご存知でしたでしょうか? 私は知りませんでした。というか、適職診断で「芸術家」という円滑表現が表示されるような人間に対して、本当に円滑表現が通じるかどうか、一度でいいから考えてみてほしいものです。このように現代の実社会は「芸術家」が適職ではない方の目線、おそらくは「プランナー」「ディレクター」などが適職である人物の目線によって、既にまかり通っているから怒られない偏見のヴァリエーションが量産されているだけで、むしろ偏見のヴァリエーションがより詳細に量産されればされるほど、その背後にい る「プランナー」「ディレクター」の目線、特権意識は強固に塗り固められていくという矛盾した状況にあります。女性や性的少数者の差別の解消に対しては消極的な企業や団体が「多様性」がテーマとなると俄然張り切りだしてしまう現象の背後にはこのように難儀 な特権的合理性が機能しているのでした。そんなに多様性に見えますでしょうか。私は私にとっては平凡ですが。

 他にも、度し難い偏見のヴァリエーションとしては「星座」があります。許せるな…… と感じるのは「ひしゃく座」くらいのものです。実際に、ほんとうのところどのような場で公的な「星座」が決定されていったのかは知る由もありませんが、ベロベロに酔った権力者が

「これは棍棒を振り上げる人やん♪」

などと言って調子に乗り、側近が

「ヘヘエ 汗」

とかしこまり、説得力のある画家に問答無用の絵を描かせてご満悦。むしろ星座はでたらめであればあるほど権力を誇示できるという風潮すらあったのではないか。というくらいに考えないと不自然な程に、星座のイラストは元の星の配列から想起できる範囲のイメージを逸脱しすぎています。

 「多様性」という概念を星座に例えて考えるとするならば、へびつかい座を12星座に入れてあげて「ちょっとレアやん♪」みたいな特別扱いしてあげているよ扱いをするよりもそもそも「変に説得力があり言わせない感じを出している謎の絵」を無視して星を見る訓 練を積んだ方がよいでしょう。先入観がないと人間は他者を認知できないのだとしても、せめてもう少し絵柄をシンプルな雰囲気のものに変えるとかね。

プロフィール

【#3】「度し難い人」

水野しず

みずの・しず| 1988年生まれ、岐阜県多治見市出身。コンセプトクリエイター、ポップ思想家。武蔵野美術大学映像学部中退。ミスiD2015グランプリ受賞後、独自性が高いイラストや文筆で注目を集める。新しいカルチャーマガジン『imaginary』編集長。著書「きんげんだもの」。

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