
なんとなく行き先を決めた旅から思いもよらない展開となったプーアル茶の旅は、お茶の神様からのサプライズプレゼントのようでした。
書を捨て山へ行こう。
溢れる情報を読んだだけでは絶対にわかり得ない現地の空気や人々の暮らし、そこにある自然の中から考えさせられる事は多く、また新たに出てくる疑問は尽きません。

あれから、幾度と訪れました。
「あなた達は友達です。商売とは関係ありません。こんな遠い所まで何度も来てくれるなんて、本当に嬉しいです。」と言ってくれました。
ある時は、お茶農家の少数民族の家に泊まらせて頂きました。到着した時のお昼ご飯の美味しい事と言ったら…。料理上手なお母さんのご飯ほど贅沢で貴重なものはないなと思いました。

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骨付きミニトンカツ。
倒れる美味しさ。 -
ももちちとした食感のとうもろこしと豆の塩炒め。 -
烏骨鶏のスープ。
お茶の木に宿るやどりぎ入り。 -
お茶の新芽を摘んできて玉子とじを作ってくれる。
噛むと爽やかな香りと苦味が美味しい。

ある時は、お茶屋さんで働くアイニー族のお宅でお昼ご飯のお誘い。一年に一度旧正月の時にだけ飼ってる豚をみんなで頂戴するという貴重な豚を私達の為に差し出してくれ村人が集まり大宴会となった事もありました。
ある時は、突然のスコールの様な雨。隣の人の話声が聞こえない程の雨音にゾクゾクとする大自然の怖さを感じました。ある時は、山道での車の接触事故や大雨でぬかるんだ細い山道、車がずりっと傾き始めた時は死ぬかも…と一瞬本気で思った事などもありました。
全てが愛おしい旅の思い出です。
お茶が好きという純粋な思いは、国境も人種もまるで関係がありません。尽きることない、飽きることのないお茶への好奇心。美味しいお茶の冒険は続きます。

終わり。