フード

【#4】ソウルのおばちゃんに捧げるリポート

2021年9月2日

もう長いこと12月31日は2人で旅をしてきました。どこの国でも、この日だけは旅人には疎外感があって。新年を迎える知らない人の空間に紛れ込んだ感じです。

美味しいホヤが食べられそうだと思って入った店は、奥のカーテンからのぞく日常やかけっぱなしのラジオのポップスに、家に帰ってきたような安心感がありました。日本にもあるまほやと赤いほや。珍しかったのは、皮が真っ黒でどう見ても石ころのような石ほや。味は忘れましたが美味しかったです。大きい紫ウニが魅力的なウニビビンバ。トッピングの酒盗も美味しかった。

羊肉の串焼き

昔連れて行ってもらった歌舞伎町の、不思議なメニューを出す中華屋で食べた羊肉の串焼きとクミンがずっと頭に残っていた。東大門を散歩している時に、それらしい店を見つけると、オープン前にもかかわらず店のおじさんが親切によさそうなものを選んでくれた。串は火が入りやすいようにゆるく刺され、クミンと唐辛子との相性が抜群。後で、中国吉林省の朝鮮族の出稼ぎに来ていた人達のための店だと知った。

羊肉をクミンと唐辛子で。

鰻のバーベキュー

ノリャンジン水産市場の水槽に鰻を見つけ、夫がうまそうだというのでおばちゃんに2匹お願いすると、芝居の早変わりのようにピンクになって、あっという間によじ登り鰻を捌いた。しっかりといい仕事をしそうなおばちゃんがいる店で焼いてもらう。蒲焼きが通じなくて、バーベキュー鋏で小さくして辛いタレがついてきた。

プロフィール

中尾敦子

なかお・あつこ|1959年生まれ。北九州出身の料理人の夫と結婚してヨーロッパから帰国。銀座で店を経営後、ジェイクックを開店して今年で35年目。旅のテーマは都市と食事と音楽。知らない世界を旅できるという意味で映画好き。

インフォメーション

J-COOK

東京都渋谷区神宮前3-36-26
03-3402-0657
8時〜20時、日11時〜18時 月休
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