フード

【#3】台北の市場と町で見かけたプロ

2021年8月26日

 40年前に初めて行った台北を気に入ってまた来るはずが、2018年になった。美味しかった楽しかったあの時と同じことをするのはやめようと、今回の旅のテーマも市場と働く人々。

吉拉多口號

 フランス産ギラルドーオイスターは見事な味だった。大晦日に開いていた台湾魚市の上引水産で、温度と品質管理が徹底された新鮮な魚を見る。入り口で義務付けられたアルコール消毒。ウイルスを持ち込ませない姿勢に驚いた。

ハタの酒蒸し

 一度は適当に電車に乗って終点で降りてみる。海沿いの町、淡水に着いた。取れたばかりの新鮮な魚を並べる店で、料理人の夫が「まだら模様の魚を食べてみたい」と店のおばさんと話して料理方法と値段を決めた。次の日カフェで会った台湾の人に聞いたら、その魚は石斑だとわかった。中華と和食の間のようなあっさりとした味で、魚の美味しさを感じた。

下水湯と米血䊏湯

 ぶっきらぼうな親子が働く店で食べた下水湯と米血䊏湯のスープ。下水湯はあっさりして出汁が効いたスープに、鶏のレバー心臓と砂肝が。米血䊏湯は、豚の血をお米に混ぜて固めたおもちのようなものが入っていた。昔パリでブーダンノワール(血のソーセージ)を作っていた夫の話を思い出して、どんなものか食べてみたかった。「美味しかった」というと、自分の仕事に忠実な2人が初めて笑ってくれた。多分そういうもんなんだろう、私もそうする。

プロフィール

中尾敦子

なかお・あつこ|1959年生まれ。北九州出身の料理人の夫と結婚してヨーロッパから帰国。銀座で店を経営後、ジェイクックを開店して今年で35年目。旅のテーマは都市と食事と音楽。知らない世界を旅できるという意味で映画好き。

インフォメーション

J-COOK

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