TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#3】LIFE IS A SPIRAL 〜メキシコ・愛知・山梨編〜

執筆:久保寛子

2026年10月28日

 前話に続き、メキシコでインスパイヤされた私は人生最大サイズの作品を作った。嬉しいことに、芸術祭オープニングイベントに出演するため愛知に来ていたラッパー、shing02氏がその作品を見てくれたことをinstagramを通じて知る。アルバム「歪曲」を聴いて、その芸術性に心底感銘を受けてからずっと大ファンである氏に、作品を通して自身を知ってもらえたのは嬉しかった。

「あいち国際芸術祭2025」のオープニングで開催されたクラブイベント

 その後、山梨県にある『ガスボンメタボリズム』での個展が決まったとき、隣接する『MANGOSTEEN HOKUTO』にてパーティーをするアイデアが浮かんだ。

 個展開催に銘打って、友達のパフォーマーやミュージシャンを集めてどんちゃん騒ぎの、メキシコでのパーティーみたいな、大人も子供もみんな朝まで踊ってるやつがやりたい……と妄想はドンドンと膨らんでいき、「もしやshing02氏に出演してもらうとか?」「いや流石に無理だろ、、」「おこがましすぎるよな」と繰り返す自問自答の日々を送っていた。

 しかし2月のある日、私の中のやったれ精神が目覚め、instagramでメッセージをしてみることにした。震える手で長文を書いて送ると、なんとすぐに、前向きな返答がきた! しかも、アジアツアーを一緒にしているイギリスのバンドOMAやDJのSPIN MASTER A-1を引き連れた大所帯での参加という、思ってもみなかった方向へと進んでゆく。

 パーティーをやるにおいて、構想段階から外せない要素があった。それは我が友人パフォーマーたちである。出演オファーしたのは、2021年くらいからの友人であるタブラ奏者のタミコ、ダンサー/ゲーム作家のラショウ、千葉で出合ったラッパー/彫刻家のmetaflower、VJの岸本智也、広島時代からの旧友である山ちゃんことヤマムライッキ率いる「むかし戦隊カンブリオン」だ。

 タブラ、ラップ、ヒーローショー。ワールドクラスのshing02クルーとの相性は大丈夫だろうか? という多少の不安はありつつも、きっと来場者にとって楽しい日になるに違いない。そして、『GASBON METABOLISM』と『MANGOSTEEN HOKUTO』という広い器は全て受け入れてくれるに違いない。そんな謎の確信はあった。

 7月11日、当日。私の想像を軽く飛び越えて、200枚のチケットは完売し、イベントは大盛況。初めから終わりまで、筆舌を尽くせぬほど、感動的なパーティーとなった(自身の無茶振りに応え、このイベント実現のために尽力くださったgasbonスタッフの方々、音楽会社OURSONGSの方々にこの場を借りて感謝)。

Camera: Yuichiro Senda, Noriko Senda, Soku Senda
Editor: Noriko Senda

 会場の『MANGOSTEEN HOKUTO』は代表、齊藤大輔氏厳選のメスカル(メキシコの蒸留酒)が味わえるお店である。

 パーティーの熱気のなか、メスカルにトランスしながら、これはひとつの渦なのだと理解した。メキシコに始まり、愛知を通して、山梨に行き着いた渦。渦は留まることなくまだ拡大、移動していきそうだ。

 そして、来週から私は、中間選挙真っ只中のアメリカはニューヨーク州に1ヶ月滞在する。最終回は激動のアメリカからお送りします!

プロフィール

久保寛子

くぼ・ひろこ|1987年、広島県生まれ。テキサスクリスチャン大学美術修士課程修了。現在は千葉県旭市を拠点とし、先史芸術や民族・民俗芸術、文化人類学などにまつわる学説のリサーチをベースに、ワイヤーメッシュや農業用シート、防風ネットなどの工業製品を用いて彫刻作品を制作する。自然の脅威や遺物の破壊と再生、周縁化されてきた女性の表象などをテーマに、神話や祈りがかたちをなす偶像や、人々の暮らしの中から生まれた実用品に宿る美について、作品を通じて現代的な視点から再考を促す。Casa Wabiレジデンスアーティスト(2025年)、広島文化新人賞(2022年)、六甲ミーツ・アート公募大賞(2017年)受賞。KAMU KANAZAWA(石川)、おおさか創造千島財団(大阪)、株式会社 IZAK(富山)などに大型作品が収蔵されている。2017年より広島で『オルタナティブスペース コア』を運営している。

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