TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#3】キノコ日記

執筆:菅原徹

2026年10月27日

キノコハンターたちはそれぞれ、自分のテリトリーである秘密のスポットを順番に巡りながら秋のハンティングを楽しむ。そして今年もまた、収穫と発見を日記に書き記していくのだ。

ふと、「みんな一体どうやって自分のテリトリーを増やしているのだろう」と考えることがある。その答えはシンプルで、キノコが豊作の時期にいつもの倍以上、山を歩き回ることだ。
キノコが出ていない時期にいくら歩いても新規の場所は見つからないが、発生が盛んな年なら話は別だ。
「キノコは4年に一度のペースで大豊作になる」——昔、おじいちゃんがそう教えてくれた。だからこそ「今年はいつもより出ているな」と感じた年はチャンスだ。少しずつ足を伸ばし、新しいポイントを開拓していく。

しかし、2026年の今年は完全な「ハズレ年」だ。

夏の終わりから秋に入った途端に急激な冷え込みが襲い、キノコたちは一斉に顔を出したと思ったら、あっという間にシーズンが終わってしまったのだ。こうなると季節はもう冬のキノコへと移り変わり、秋の終わりを感じざるを得ない。

それでも山を見渡せば、トチノミや栗、ドングリといった木の実が豊かに実っている。クマたちの食べ物が山にたっぷりあるのは救いだ。山の恵みをお腹いっぱい食べて、どうか無事に冬眠に入ってほしいと切に願う。
昨年からクマのニュースが絶えず、今年も決して油断はできない。

実はそんな私も、以前山の中でクマに遭遇したことがある。
距離にして、およそ50メートル。 目の前に現れたのは、3頭の親子連れだった。ちょうど親が見守る前で、子クマが木にするすると登ろうとしている、まさにその瞬間だった。一瞬で全身の血が引いていくような緊張感のなか、刺激しないよう慎重に距離を取り、なんとか事なきを得たのだった。

クマの専門家ではないので詳しいことまでは分からないが、昔に比べて山に入ることの危険度が増し、より一層の注意が必要になったのは確かだ。
これからも大好きな山と共に生きていくために、私たちはクマの気配を感じ、敬意を払いながら、上手に付き合っていかなければならない。

プロフィール

菅原徹

すがわら・とおる|1987年生まれ。地元岩手県矢巾町で18歳の時から祖父、父と山に入り、「キノコや山菜は生活の一部」という環境で育つ。キノコ・山菜歴は18年。岩手菌類研究同好会所属。岩手県・住田町でのきのこ講座、盛岡つどいの森での採取会、県内各地の緑化センターなどで、きのこの見分け方指導や展示などの活動をする。

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