TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#3】幻の1冊

執筆:久保圭司(まんだらけ)

2026年10月26日

今回自分がおススメする漫画それは講談社、水木プロ作品『最新版 ゲゲゲの鬼太郎』。

皆さまは存在しない漫画本を探し続けた事はありますでしょうか?
自分は、あります。

ここでピンと、そして、「あぁぁ」となる方も居られるかと思います。そうです、最新版鬼太郎は全4巻。
自分はかつてこの第5巻をずっと探し続けていました。

この最新版、他の漫画の『鬼太郎』シリーズの、仄暗くシニカルでありつつもどこか牧歌的な雰囲気とは一線を画する内容で、
鬼太郎 with ゲゲゲの森軍団と、人類の負の記憶を取り込んで異常な風体にパワーアップを果たした妖怪総大将ぬらりひょん率いるぬらり帝国の壮大かつガチンコの総力戦が描かれます。

特に物語後半~終盤にかけての双方満身創痍の盛り上がりが必見で、
鬼太郎渾身の指鉄砲全弾発射など、ドーパミン全開の見どころが目白押し。

他の鬼太郎に慣れ親しんだ方にこそ、一読を提案したい作品です。

初出は今はなき講談社の月刊漫画雑誌、『コミックボンボン』で、連載は1985年の9月号から1987年の8月号まで。
その刺激的な内容はボンボンキッズ達の、強い刺激大好き嗜好にしっかと寄り添ったものになっていました。

当時放映されていたアニメ版、通称『3期鬼太郎』(夢子ちゃんが出てくるヤツ。1985年~1988年)と、ストーリーに直接の繋がりはないものの、それと並走、タイアップする形での連載だった様子です。

当時アニメ版を熱心に視聴していた自分はその時はまだ『ボンボン』は購読していなかったのですが、同じく講談社の『週刊少年マガジン』の方を読む機会には恵まれており、
漫画版の鬼太郎と言えば、『最新版』ではなくそちらに連載されていた『新編 ゲゲゲの鬼太郎』(『最新版』より後発の1986年5月7日発行21号~1987年4月22日発行19号)の方でした。

自分が『最新版』の存在を認識したのは『新編』を連載で読了後しばらく経ってから。ふと行きつけの町の本屋さんで発見し、読んだことがない鬼太郎があるぞと思い、その時あった1・2巻を購入したのがきっかけ。
その後、普段足を運ばない地域の本屋さんまで遠征しなんとか残りの4巻までを購入。ここから長い旅が始まりました……

すごく後を引く形で終わる第4巻、気になる続きの内容。いくら本屋さんを回っても巡り合えない第5巻。
あぁ、とても読みたい第5巻!

田舎の本屋にはないのかな、等と半ばあきらめつつそれでも行く先々の書店でありそうなコーナーを覗く日々。もちろん『ボンボン』購読も開始しましたが、されども情報はナシ。

5巻が見つからないのはそれもその筈でした。

冒頭でも書きましたがこの『最新版 ゲゲゲの鬼太郎』は全4巻。なんとこの作品、最後の4話分、コミックボンボン1987年の5~8月号掲載分が単行本にはなっておらず、そもそも4巻以降は存在していなかったのです。

今思えば、店頭に無いなら黙っていないで版元に問い合わせて見るなど、渇望の日々を送る前に色々な事が出来たはずとは思いますが、なにせ当時の自分はピュアな小学生。
モジモジしてその結論には到達せず、その境地に至ったのは80年代も終わって中学生になってから。問い合わせた書店でその答えを知った自分は、一抹の残念さと無常さを感じたと共に、ちょっぴり大人になった気分になったのでした。

最終巻が出なかった理由が、1冊にするには微妙にページ数が少なかったからなのか、何なのか。それはわかりませんがこの『最新版』は後の全集にも収録されず、商業ベースでは依然未復刻。
今となっては未収録部分のみならず、1~4巻含め幻の鬼太郎となっています。

徒労には終わりましたが本屋巡りをしたあの時の、今日こそついにあの本に出会えるのではないか?という期待とワクワクは長じて古本屋に属して今もまだ見ぬ漫画を買い続ける自分の原風景。

皆さまの探し続ける漫画本、その答えは『まんだらけ』にあるかも知れません。
ご来店、お問い合わせ、お待ちしております!

プロフィール

【#3】幻の1冊

久保圭司

くぼ・けいじ|1979年生まれ。まんだらけ中野店ヴィンテージ漫画担当。大学では工学系を学んだが、方向転換し、古本業界に着地。

好きな漫画ジャンル:心がざわつく漫画
好きな漫画作品:ちいかわ


まんだらけ

漫画、アニメ、玩具などのサブカルチャー商品を取り扱う、日本最大級のコレクターズショップ。今回は、ヴィンテージ漫画を担当するスタッフ4名が、リレー形式で漫画を紹介してくれる。

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