TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#1】レシピとエッセイの本「うまっ」制作秘話

執筆:原 太一

2025年11月15日

10代後半からの夢であった自身のお店を2011年に開いた。
それからというものの、急斜面を転げ落ちているかのようなスピードで毎日が過ぎていく。
そんな中でも常に自分自身で「判断」や「決断」をすることに追われることになる。

どんな料理を作るのか、どんなワインを仕入れるのかなどは勿論。
「この仕事受けたいけど、この時期人手足りるかなー」とか「コロナで自粛要請って言われてもどこまで自粛するべきかなー。誰も先行き分からない事決めるの無理でしょ!」とかの経営的な決断や「ハンガーラックにかけていたコートの中にあったI podが無い!弁償しろ!」とお客様に言われ弁償するべきか、しないべきかとか、「料理に髪の毛が入ってる、食べて死んだらどうするんだ!もう帰る!飲み食いしたお代は払わない!」これってそれまで飲食した分のお代は頂くべき?など、お店を運営していく中で起きる問題の対処に対する瞬時での判断など。
それ以外にも足りなくなったお皿の補充に何のお皿を買うのか、それを何枚買うのか、などの細かい判断まで。他にも毎日毎日大小はあるが数え出したらキリが無い。

自分のお店なのだから当たり前なのだけど、判断と決断の宿題が山積みになって、
1日が終わる頃に全ての宿題がスッキリ終わっている事はほとんど無い。
それなのに人に任せる事ができず、自分のお店の魅力は自分が1番分かっていると思い
込んでいるものだから全てを自分で判断するのが正しいと思っていた。

2023年3月2日にKontaktの川島君を夜ご飯に誘った。

川島君とはそんな忙しない毎日を送っている頃にある知り合いの紹介でWebメディア用
の取材を受けたのがきっかけで知り合った。
日々の「判断」に限界が来ていた僕は、その取材以来何かと連絡をくれたり、一緒に飲んだりする中で築かれてきた信頼と物事に対してユニークな視点を持っていると思っていた川島君に大きな「判断」を任せることにした。

「このくらいの予算で何かしたい!いつもお店のほとんどの事を自分で決めてきたけど、自分以外の人に自分のお店を表現してもらうっていうことをしてみたい!」

#2につづく

プロフィール

原 太一

はら・たいち|1981年、東京生まれ。学生の頃、音楽や家具、デザインなど総合的な演出にこだわったカフェカルチャーに影響を受ける。その空気感とレストランのように美味しい料理を提供するお店を作りたいと、料理の道へ。大学卒業後、レストランやビストロでの経験を経て、ミシュラン二つ星を獲得した『キュイジーヌ[s]ミッシェル・トロワグロ』で修行する。現在は、2011年にオープンした渋谷の『BISTRO ROJIURA』や2015年に後藤祐一氏と開いた代々木八幡の『PATH』、2019年からスタートした多種多様な音楽と中国料理をベースに多国籍な料理をサーブする『LIKE』のオーナーシェフを務める。また店内にあるステージで不定期開催している「LIKE SOUND」をYouTubeで配信。さらに自身がプロデュースする家具ブランド「Haa Jime Studio」も運営している。

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