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山の味覚の王様・サマーポルチーニを探せ!/料理編

photo: Masaru Tatsuki
text: Fuya Uto
cooperation: Kei Sato (Shateki Inc.)

2025年9月17日

 岩手県八幡平市の山で「キノコ狩り」のフィールドワークを行った前回。山の成り立ちを学びつつも、お目当てのサマーポルチーニは残念ながら雲隠れ。主役の味覚はお預け……と思いきや、後日、同行していたシェフ・平塚章延さんから「昨年収穫した薫り高い乾燥ポルチーニがありますよ」との嬉しい知らせが! ということで、下処理の方法はもちろん、どの料理にも万能の「クリームソース」のレシピを教わってきました。当日採れたチチタケ料理も教えてもらったので、冷蔵庫にキノコがある方は応用してお楽しみください。

※サマーポルチーニは夏の始まりに収穫される「ポルチーニ」全般を指し、岩手県ではヤマドリタケモドキ、ススケヤマドリタケ、ムラサキヤマドリタケの3つが見つけやすい。中でも今回は本家と謳われるヤマドリタケを使用。

ヤマドリタケのクリームソース

ヤマドリダケは、裂いて天日干しをして乾燥させる。使うときはグラム数の10倍くらいの水で戻す。この戻し汁も後から使うので捨てないこと。

具材は戻したヤマドリタケ(20g)、玉ねぎのみじん切り(4分の1)、ニンニク一片を用意する。調味料は塩、胡椒、生クリーム。これで4〜5人前。

熱したフライパンにオリーブオイルと玉ねぎとニンニクをいれて軽く炒める。

水気を切ったヤマドリダケを入れる。

戻し汁を投入。砂が入っている可能性もあるので、目の細かいクッキングペーパーで濾過しながらだとベスト。ザルでも可。

フライパンを揺すって乳化させる。中火で水分を飛ばす。

生クリームを約100g投入。火はつけっぱなしでOK。

全体を混ぜ合わせて完成! ミキサーにかけてペーストにしても美味しい。余った分はジップロックに小分けして、冷蔵庫で保存する。

ここからは、「クリームソース」を使った2つの料理をご紹介!
まずは不動のパスタから↓

ヤマドリタケのクリームソースパスタ

パスタにはペースト状にしたものを使用。後から追加できるので、自分が思う適量を小鍋に入れて熱する。同時に麺も茹でておく。

表記された茹で時間より1分ほど前に麺を取り出し、素早く和える。

味見して「重い」と感じればパスタの茹で汁を入れる。

チーズと黒胡椒をかける。

完成!

チチタケと亜麻豚(あまぶた)の薪焼き
withヤマドリタケのクリームソース

栃木の郷土料理「ちたけうどん」に使われる高級キノコ、チチタケ。出汁としても優秀だけど、焼くとナッツのような食感になる。今回は焼いて使用。

一口台に縦に切る。手で裂く方が美味いという流派もあるけど、それはお好みで。

少し油をひいて、焦げ目がつくくらいこんがり炒める。塩を振らないことがポイント。火を止めて余熱を取る。

続いて肉を準備する。この日は遠野市の銘品「亜麻豚(あまぶた)」の肩ロースを使用。リンゴの薪でじっくり焼いていく。

肉を切る。

温かいクリームソースを回しかけ、チチタケを添える。

完成! お好みで黒胡椒を。

POPEYE

基本的に野菜を炒めるときは水分を出したいから同時に塩を振る。しかし、新鮮なキノコはそのまま熱することにまず驚いた。そうしてぎゅっと閉じ込められた旨みは格別。噛むごとに芳醇な香りが口いっぱいに踊り狂う。菅原さんの「天然ものはズバ抜けて香りがいい」という言葉の意味がようやくわかった。また熱の通し方も、「ヤマドリタケのようにキノコがメインであれば浅く、チチタケのように添え物として食感を楽しみたいのであれば焦げるほど炒める」というのも面白い。香りの変化はもちろん、ムニュムニュした柔らかい食感だけでない、奥深しキノコワールド。その大きな可能性に気づけただけでも、キノコ狩りに来て良かったと実感する。

ちなみに、種類に限らず、採れたてのキノコには虫が入っていることもある。一晩冷蔵することで退場してもらえる。生の状態でも3日間くらいは保存できる。

・ここからは、イベントを運営する「くらしごとユニオン」の「キザシONLINE SHOP」に移行します。
・イベントの運営に関するお問い合わせは「祭り法人射的」宛にお願いいたします。

教えてくれた人

山の味覚の王様・サマーポルチーニを探せ!/料理編

平塚章延

ひらつか・あきのぶ|1979年、宮城県生まれ。高校卒業後、アジアや南米など世界中を約8年間放浪する。実家が広島風お好み焼き店を営んでいたこともあり自然と料理の道へ。現在は『the campus』のシェフとして地元の食材と向き合う日々を送る。