トリップ

ヨセミテ、セコイア&キングスキャニオン国立公園、モデストのアグリカルチャーを通して知る“優しいアメリカ”。

カリフォルニア2000kmの旅。

2025年9月6日

photo & text: POPEYE
cooperation: カリフォルニア観光局、バイセリア観光局、モデスト観光局

巨木が立ち並ぶセコイア国立公園。

レイク・タホ、ヨセミテ、セコイア、キングスキャニオン、マンモスレイク……。カリフォルニアのネイチャーサイドを巡る2,000kmのロードトリップに行ってきた。南北に伸びる広大な自然を有するカリフォルニアには車でしかたどり着けない景色がある。日本でいえば、北海道から九州までのほぼ同じ距離を移動しながら、絶景を浴び続けた旅の記録。

ヨセミテ国立公園の名物ハーフドームを東側から眺めるスポット。

マンモスレイクのひんやりした気候を惜しみつつ、ハイウェイを西へ。ヨセミテ国立公園の東口から標高3,000m近い峠に位置する夏シーズン限定の道、ティオガ・パスを通り抜けるルートを走る。ヨセミテは通り抜けるだけだが、絶景の連続なのでドライブだけでも充分楽しめる。国立公園の広さと豊かさに「自然を保護する」というアメリカ人たちの強い気概を感じて、見習いたくなる。

ヨセミテを抜け、谷を下り2〜3時間ドライブすると現れる街がモデストだ。出迎えてくれたのは、「モデスト観光局」のCEOトッドさん。農業が盛んなカリフォルニアの中でも特に多くの農産物を出荷しているアグリカルチャーの中心地であること、世界の80%のアーモンドはカリフォルニア産で、その1/3はモデスト産ということ、他にもオリーブ、アプリコット、ぶどう、トマトなど多くの農産物をアメリカ全土、そして世界に輸出していることなど、熱心に教えてくれる。そして、その後は地元のワイン農家さんとクラフトビールの造り手が用意してくれたピクニックをご馳走になった。説明を聞いた後だからなおさら沁みる。

ミルクシェイクにアーモンドバターが入っているアーモンドバターミルクシェイク。甘さ×甘さ。めちゃくちゃおいしい。

入り口の看板で食べごろの果物をわかりやすく表示してくれているので、狙い撃ちしよう。

受付でバケツをもらい、農場へ。あとは自由行動。

ブルーベリー大好きなお客さんのカゴ。

延々に続く。

午後はフルーツピッキングへ。バケツをもらったら好きなだけ取っていいスタイルで、その場で食べるのもOK。桃、ブルーベリー、アプリコットの中にいくつもの品種があり、日本に入ってきているネーブルオレンジなどは、カリフォルニアフルーツ界のほんの一握りだと知る。

夕食は地元の農園の中のレストラン『Richard’s Ranch』へ。畑の横に長いテーブル、ワイン、そしてビュッフェスタイルの料理が用意されていた。どこからかシェフが現れて、野菜も肉もワインも100マイル圏内で仕入れた物を調理していることを説明してくれる。自然を軸にしたホスピタリティにアグリカルチャーの中心地としての誇りを感じながら、おいしいご飯とワインを身体に入るだけ味わって、泥のように眠った。

翌朝、再び車を走らせさらに南へ。目指すはセコイア&キングスキャニオン国立公園だ。道中、ワイン畑、アーモンド畑といった果樹園が延々と続き、モデストで聞いたカリフォルニアの食料自給率の高さを身を持って知る。景色に飽き始めたころ、セコイア&キングスキャニオン国立公園のゲートに到着。入った瞬間から明らかに空気が変わり別世界になった。

標高の上昇とともに木の種類が変わり、やがて視界に現れるのがジャイアント・セコイアの森。最大の見どころは「ジェネラル・シャーマン・ツリー」。樹齢2200年以上、高さ83m、幹の太さは11m。世界で最も体積の大きい木だ。カリフォルニアで暮らす人たちの自然に対する畏怖の念や生態系を保護する姿勢を象徴するような風景を見ていたら、ニュースで垣間見る”強いアメリカ”のイメージとは違う親しみやすさを覚えた。

旅の始まりから6日目、いよいよ大自然から離れて街へと戻っていく。