トリップ

湖畔の理想郷、レイク・タホとマンモスレイクにショートステイ。

カリフォルニア2000kmの旅。

2025年9月6日

photo & text: POPEYE
cooperation: カリフォルニア観光局、ノースレイクタホ観光局、マンモスレイク観光局

マンモスレイクにあるConvict Lake。

レイク・タホ、ヨセミテ、セコイア、キングスキャニオン、マンモスレイク……。カリフォルニアのネイチャーサイドを巡る2,000kmのロードトリップに行ってきた。南北に伸びる広大な自然を有するカリフォルニアには車でしかたどり着けない景色がある。日本でいえば、北海道から九州までとほぼ同じ距離を移動しながら、絶景を浴び続けた旅の記録。

2000kmの旅の始まりは『ザ・リッツ・カールトン・クラブ・レイク・タホ』。クラシックな山岳ロッジのような暖かい雰囲気にリッツカールトンの風格が加わった建物には、170の客室、フィットネスジム、温水プール、プラベートファイヤーピット、レストラン、バーなどが休暇に必要なほとんどの要素が入っている。

ホテルの中庭には温水プールもある。控えめに言っても天国。

中庭ではマシュマロを焚き火で焼いて食べる「スモア」のサービスもある。

ゲレンデに直結しているので冬はスキー、夏はハイキングやマウンテンバイクを楽しめる。静寂とアクティビティをどちらも味わえるリゾートの理想の形を見て、正直、残りの8日間をここで過ごしたいと思ってしまった。

レイク・タホはシェラネバダ山脈に抱かれたカリフォルニア州とネバダ州にまたがるアメリカで二番目に深い湖。周囲は約115km。遠くに見えるのがシェラネバダ山脈だ。

ホテルでのひと時を満喫したあとはレイク・タホでクルーズ。旅行者としての贔屓目もあるけれど、山中湖のロケーションと軽井沢の避暑地としての歴史を足した点数が10点だとしたら、200点をつけたいほど完璧なレイクサイドタウンだった。湖畔には可愛い小屋と巨大な豪邸が適度な距離感で建ち並んでいる。噂によると、ザッカーバーグも別荘を所有しているらしい。

ディナーは地元のスーパーで食材を適当に買って船の上で食べることになり、『WEST SHORE MARKET & DELI』というデリでチーズ、ハム、惣菜、クラフトビールなどを購入した。カフェも併設されていて、地元の人(おそらく)がくつろいでいる。

頼りになるガイドのデーナさんの背中。

レイク・タホの西側の果てに、
かつて人が住んでいたという一軒家がある。

寄るとわかる透明度。

ツアーはトータル2時間ちょっと。
夕陽に照らされた山脈を眺めながら帰路につく。
6月でも結構寒かったので、防寒着は必須。

大きめの遊覧船に乗るという選択肢もあるけれど、今回乗ったのはプライベートのクルーズ船。湖畔にはいくつかそういったサービスを提供している会社があり、僕らは『サニーサイドマリーナ』にお世話になった。ガイドのデーナさんがレイク・タホの歴史や地理に関する情報を教えてくれるので、2時間弱のツアーもあっという間。

山頂に向かう道すがら、木々の合間からチラッと見えるレイク・タホも美しい。

みんなほぼ普段着で気軽に歩いている。

道は舗装されているので初心者にも◎。

山頂からはレイク・タホ全景が見渡せる。

翌朝はトレッキングからスタート。ネバダ州境に近いCrystal Bayエリアのトレッキングコースを歩く。標高は約1900mで道も整備されているから、ちょっとした散歩くらいの気持ちで登頂できる。観光中は時間に追われがちだけど、少しでも歩く時間を確保できると、その土地を体で感じ取れた気がして嬉しい。

テラス席がおすすめ。

トレッキングの後は『WHITECAPS PIZZA』というローカルに人気のピザとクラフトビールのお店で湖を眺めながらランチ。ずっとここにいたいという気持ちを抑えて、午後からルート395号線でマンモスレイクに向けて南へ走る。距離は約250km、所要時間は4時間ほど。

ひたすらこのような景色を進む。片側にはシェラネバダの峰々、反対は乾いたグレートベースンが広がる。

道中に天然の温泉「Travertine hot springs」があるということで急遽寄ることに。小道を入った先に天然の温泉が点在していて、岩のくぼみに湯がたまっている。入浴は無料だが、水着を着用するのがローカルルール。先住民パイユート族が「癒しの場所」と呼んだ温泉らしい。本当に自然のままだから地面がコケらしきものでヌルヌルしている箇所があるので、要注意。

そこから30分ほどドライブを続けると現れるのがモノレイク。およそ76万年前の火山活動でできた塩湖で、湖の中に「トゥファ」と呼ばれる独特の形をした石灰岩の塔が立ち並んでいる。目に入る景色が全体的にグレーということもあり、違う惑星に迷い込んだ気分になる。砂浜を歩くと、ステップにあわせてミギワバエというハエが大量に舞い上がるのは正直勘弁してほしかった。夏には何十万羽ものカモメが渡来するバードウォッチングの聖地でもある。

4時間のドライブを終え、夕方頃にマンモスレイクに到着。マンモスレイクは標高約2,400mに位置し、冬はスキー、夏はトレッキングやサイクリングを目的にサンフランシスコやロサンゼルスなどから年間300万人が訪れる一大観光地だ。町の中心には大型のアウトドアショップや小洒落たディスペンサリーショップなどもあり、アウトドア好きの若者たちにはたまらない街なんだろうと推測する。滞在したホテル『アウトバウンドマンモス』ではカリフォルニアワインのテイスティングを体験。

ソムリエがプロデュースする違うエリアで育った同じ品種のワインを楽しむテイスティングプランが人気。

滞在した『アウトバウンドマンモス』の看板。木彫りのクマが群がっている。ディズニーランド並の遊び心とホスピタリティ。

ホテルの駐車場にはバスを改造したクレープ屋さんが。

CHEESE CREPE 10.99ドル。

小さな釣り道具屋さん、キャンプ道具店などアウトドア関連のショップが多数。

小綺麗な病院のようなディスペンサリーショップもあった。

バス停。冬は街とゲレンデを行き来するバスが走る。

翌日は街の中心から車で15分ほどの場所にあるConvict Lakeのほとりをトレッキング。一周は5.1kmで高低差が少なく、2時間ほどで歩ける。そういうのには疎い自分でもわかるくらい、ずーっと“気”がいい。

トレッキング以外にも乗馬、カヤック、釣りを楽しむ人もチラホラいる。

ランチを挟んで、午後は7つの湖をめぐるE-BIKEツアーに参加した。アメリカ製はハンドルにアクセルが付いているので、ほぼ原付。標高差があるから断然E-BIKEがおすすめだ。ガイド付きツアーに申し込むと、ツインレイクス、レイクメアリー、レイクジョージなど湖ごとの名前や成り立ちを解説してくれるので勉強にもなる。

夜はツインレイクス湖畔に佇む小さなレストラン『Lakefront Restaurant』でディナー。地元の食材をフレンチスタイルで提供してくれる。10席前後しかないから予約必須だ。湖とその周辺の自然を遊び尽くすカリフォルニアの人たちの姿勢をレイク・タホとマンモスレイクから学べた2日間。明日はアグリカルチャーの中心地、モデストへと向かう。