フード

豆腐にダンスさせる、麻婆豆腐。

定番料理のニューディール。Vol.17

定番料理のニューディール。

photo: Haruki Anami
illustration: Cari Vander Yacht
text: Ryota Mukai
web edit: Miu Nakamura
2025年9月 941号初出

2025年8月10日

『BEARD』店主・料理人の原川慎一郎さんによる本誌の連載「定番料理のニューディール」。みんなが好きなお決まりのメニューを再考し、カンタンに、そしてちょっとお洒落に作る方法を料理人の原川慎一郎さんが提案します。POPEYE Webではそのレシピをムービーでご紹介。第17回は麻婆豆腐!

ふわっと立ち上がる花椒の香りとしびれる味で、一気に本格的に。茹でてから餡と和えて煮た豆腐のプリプリ食感は新感覚。より現地の味に近づけるなら、味噌を豆豉(トウチ)に替えよう。合い挽き肉を羊にするのもアリ。ライスとスープを添えればお店のような定食が完成だ。

– 材料(2人分)-

・豆腐 1丁(400g)
・牛・豚の合い挽き肉 100g
・ネギ 80g
・花椒 小さじ1
・豆板醤 大さじ1
・甜麺醤 大さじ 1
・にんにく 1片
・生姜 小さじ 1/2
・黒胡椒 適量
・ラー油 大さじ1
・味噌 小さじ1
・酒 大さじ1
・醤油 大さじ 1
・塩 大さじ1
・片栗粉 大さじ2
・菜種油 大さじ2
・鶏ガラスープのもと 大さじ1
・水 150㎖と大さじ2

– 作り方 –

1. 花椒の果皮をフライパンで炒る(小さな黒い種は取り除く)。焦がさないように注意しつつ、香りが出てきたらすり鉢などに移して擦り潰します。

2. フライパンで菜種油をよく温め、合い挽き肉を加えて木べらで崩します。パチパチと焚き火のような音が鳴るまでじっくり焼いてください。

3. 水分が飛んで油がクリアになったら、酒、醤油、黒胡椒を加え、焦げを擦り取り火を止めます。

4. 合わせ調味料を作ります。すりおろしたにんにく、豆板醤、甜麺醤が基本です。あれば生姜のすりおろし、ラー油(ごま油でもOK)、味噌も加えます。3に入れて炒めながらよく混ぜます。

5. 鍋で湯(分量外)を沸かし、塩を加え、ひと口大にカットした豆腐を入れます。再び沸騰し、豆腐が湯の中で跳ね始めたらザルに上げます。浸透圧で豆腐の水分が抜け、最高の状態に。

6. 熱々の豆腐、鶏ガラスープ(水150㎖)をすぐに4のフライパンに加えて中火で煮込み、刻んだネギを入れ、木べらを押すように使って混ぜます。

7. 水溶き片栗粉(水大2)を2度に分けて入れ、とろみを出しながらよく和える。火から外して作業したらひと煮立ちさせましょう。お皿に盛って1の花椒を全体に振って完成です。

– 中華スープ –

材料

・青菜 適量
・ネギ 適量
・ごま 適量
・黒胡椒 適量
・鶏ガラスープのもと 大さじ2
・水 400㎖

小鍋に水と鶏ガラスープのもとを入れて火にかけます。温まったら、小口切りした青菜、ネギの青い部分を加えてさっと煮ます。お好みでごまと黒胡椒を振りかけてください。

– 今月の古来種 –
雲仙冬菜

約30年にわたり、種採り農家・岩崎政利さんが育ててきた長崎県の野菜。「この地で細々と守られてきた青菜の一つ。いわば“さりげない青菜”です。茎は甘く、葉は苦味が感じられる、滋味深い味わいが魅力」

古来種野菜とは? 品種改良されず、日本各地の畑で長きにわたり受け継がれてきた種のこと。在来種とも。「野菜の民芸品のようなものです」

– 小さな流儀 –
フライパンにハンドルカバー。

今回のように挽き肉にじっくり火を入れると、気がつけばフライパンの取っ手がかなり熱くなっている。アルミ製ならなおさら。そんなときのためにシリコン製のハンドルカバーを。大抵1000円以下で手に入る。

プロフィール

豆腐にダンスさせる、麻婆豆腐。

原川慎一郎
『BEARD』店主

はらかわ・しんいちろう|1978年、静岡県生まれ。長崎県雲仙市でレストラン『BEARD』を営む。北海道函館市のカフェ『cafe water』のオーナーでもある。

Instagram
https://www.instagram.com/beard_shin_harakawa/