
限りなく透明に近い海に、青い空と入道雲。真夏の島が呼んでいる!
この夏は、島で過ごそう。そう思ったのは、いいかげん都会の暑さにうんざりしたからか、久しぶりに椎名誠さんのエッセイを読み直したからから、理由はわからない。でも、ざぶざぶと寄せる波に揺られて、砂浜で居眠りをし、どこまでも広い星空をぼんやりと見上げる。なんて、のんびりとした1日を過ごしてみたくなったのだ。リネンのシャツに、ビーサン履いて。読みかけの本を鞄に詰めたら、あとは行き先を決めるだけ。たまには、そんな旅も悪くないなと思ったら、今月のポパイをぜひ。
北は礼文島から、南は西表島まで。編集部が気になった国内8エリア・12の島を訪ねてまとめた、旅の記録が今回の特集。ただし、ひとくちに島といっても、これだけ縦に長い日本列島。その気候や自然、文化は千差万別。なにせ日本には約1万4000の島があるっていうんだから。
八丈島
東京
島といったら、忘れちゃいけない“東京の島”。陸地から離れて南に進むこと約290km。太平洋上にあるひょうたん型の島が、今回の表紙の舞台にもなっている八丈島だ。ウミガメが泳ぎ、シダやヤシが生い茂る南の島で、ひと夏の冒険に出かけよう。
奄美大島
鹿児島
伝統の泥染めを体験し、シマ唄を歌い、名画の舞台になった離島の宿でのんびりくつろぐ。カルチャーを通じて自然と触れ合う、シティ派のための島旅が奄美にはあった。





小豆島
香川県
海運の要所で、お遍路文化もあって、訪れる人をオープンに受け入れてきた小豆島。だから島の人たちは晴れの日みたいにカラッとしてる。地元の人に聞いたおすすめの店を回りながら、移住したつもりで遊んできた。
福江島
長崎県
大小150ほどの島からなる五島列島のなかで、最大の島が福江島。隠れキリシタンの歴史と教会建築で知られるここで出合ったのは、見たことのない郷土料理と、息を呑むほど美しい夕焼け。
利尻島・礼文島
北海道
稚内からフェリーで巡る、北の果ての2つの離島。巨大な利尻山が聳え立つ“山の利尻”に、高山植物で覆われた緑の丘陵が続く“丘の礼文”。そこはとんでもない絶景の島だった。






西表島
沖縄
日本のアマゾン、なんて言われることもあるこの島は、太古の昔から続く原生林に覆われた秘境の土地。カヤックで川を進み、ジャングルをかき分け、巨大な滝を見に行こう。
与那国島
沖縄
沖縄、といっても本島からさらにぐんと南西へ。これ以上行くと台湾、というところにあるのが日本の最西端・与那国島。それだけ本州と離れているもんだから、生き物に食文化に工芸品に、見るもの聞くもの、知らないものばかりだった!
しまなみ海道
広島・愛媛
広島県の尾道から、愛媛県の今治まで。小さな島々が橋でつながるしまなみ海道。このあたりに最近、移住者や若い世代が集まって、新しいカルチャーが芽生えつつあるそうで。噂を確かめるべく、いざ4つの島を巡る自転車の旅へ。
ところで、日本の島についてどのくらい知ってる?
旅に出る前に、「島旅のしおり」も読んでおこう。
しおりと言っても、予定表や持ち物リストとはちょっと違う。例えば、新島と黎明期の日本のサーフボーイの物語、椎名誠さんの無人島探検記、島の“来訪神”のこと、音楽家たちが考える島旅のBGM、離島のローカル飲料カタログ、などなど。島の旅をよりよいものにするために、知っておきたい離島についてのよもやま話をブック・イン・ブックにまとめました。
これを読めば、夏の準備は万端。あとは旅に出るだけだ。
インフォメーション

POPEYE 2025年9月号「サマーボーイと夏の島」
今年の夏は、島で過ごさない? 巻頭の八丈島に始まり、奄美大島、小豆島、五島列島の福江島、利尻島と礼文島、西表島、与那国島、しまなみ海道まで。いま行きたい島と、その過ごし方をまとめた旅のガイドブックです。ちなみに表紙に写っている島影は、八丈島の沖に浮かぶ無人島・八丈小島。