TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#4】 Alternative Asian Only

執筆:MOOLA(YANGGAO)

2025年7月31日

韓国の伝統音楽パンソリとNEW WAVEサウンドをミックスしたバンドLEENALCHIと。

こんにちは。名古屋でタイカレー食堂「ヤンガオ」を夫婦で営んでいるMOOLA(ムラ)です。90年代半ば、中学生の頃にファッションに興味を持ち始めたきっかけは、初期のUNDER COVERと古着をMIXした着こなしをした近所の一回り年上で憧れた先輩の影響でした。自然と藤原ヒロシさんの存在を知り、雑誌の記事はもちろん、東海地方のみで放送されていた藤原さんのラジオ番組「HOME MADE RADIO SHOW」に夢中になっていきました。毎回テーマに沿ってジャンルや年代を横断してセレクトされるレコードたちは、音楽への初期衝動を強く掻き立て、自分もその音源を中古レコード店で探し回るようになりました。

当時の関心は、藤原ヒロシさん、クボタタケシさん、小西康陽さんや地元の先輩がDJするブースを覗き込んで曲を覚えてレコード屋に入り浸ることでしたが、アジアの音楽にはまったく興味を持っていませんでした。 

そんな自分が、2012年、30歳のときに仕事の都合でタイに移住することに。それまでほとんど目を向けてこなかったアジアのカルチャーと向き合う中で、かつて夢中になった音楽やファッションという自分なりのフィルターを通してタイのインディーカルチャーに触れたとき、そこにはこれまでに感じてきた「共通する面白さ」と、それとはまた少し違う「新しい面白さ」が共存していることに気づきました。

そして今、2020年代に入り、アジア各地のインディペンデントな音楽シーン“Alternative Asia”はこれまでにない盛り上がりを見せています。国や言語、ジャンルの壁を越えて影響し合い、それぞれの土地の感性が反映されたサウンドやスタイルが生まれ、SNSやストリーミングを通じて一気に世界へ広がっていく。そのダイナミックな流れに触れるたびに、あの頃、名古屋の中古レコード屋で新しい音を探していた自分とどこか重なる感覚があります。

ずっとレコードバッグに入ってる“ Alternative Asian”を感じる韓国の民謡歌手イ・ヒムン率いるOBANGSINGWAのレコード。

ローカルでありながらボーダーレスなこのムーブメントは、かつての自分の価値観を強烈に揺さぶり、そして広げてくれました。ジャンルや国籍といった枠組みを越えて、今この瞬間に鳴っているリアルなアジアの音を肌で感じられることに、FRESHなバイブスを感じています。

ここ数年継続して出店で参加させて頂いている豊田市で開催される“橋の下大盆踊り”【8月14日(木)15日(金)16日(土)】に合わせて、主催のmicroActionとYanggaoのコラボTシャツを“Alternative Asian Only”をテーマにデザインしました。今のアジアの音楽を体感できる“橋の下”でお会いしましょう!

今気になっているアジアの音楽をピックアップしました。

Komagens – Palja

White Shoes & The Couples Company – ROMAN KETIGA – 60 Menit di Vakansi STUDIO Episode 01

이날치 LEENALCHI – 범 내려온다 Tiger is Coming

Asian Spice House – Poomba Roomba

プロフィール

MOOLA

むら|タイカレー食堂“YANGGAO”หยั่งเก่า 【読み: ヤンガオ/意味: いつも通り】のオーナー。タイ・バンコクに2010年から6年半在住した経験から、タイのフード/ミュージック/ファッション/カルチャーをローカルでインディペンデントな視点で解釈し、自らデザインしたお土産も手掛ける。レコード愛好家でDJとしても活動中。

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