TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
【#4】26 歳の種
執筆:Keigo Okazaki
2025年7月1日
私にとって本物のインスパイアとは、教育や経験、記憶の先にあるもの。
たとえそれらに導かれてきたとしても、最終的には一度“脱ぎ捨てる”必要がある。
たとえば、美しい景色を見て心が動き、曲を作ったとしても、それはただの記録。
同じ景色は二度と現れない。
本当の「核」は、記録のさらに奥にある種にあたる。
それは技術や知識に包まれ、静かに息をする。
妻と出会ってから、自分の中にある“正しさ”とよく向き合うようになり、文化の違い、言葉のズレ、概念の衝突が起こった。
そのたびに、私の中の土壌は交換され、種は必ず影響を受ける。
そして、芽を出すころには音楽も変わっている。
私にとってのインスパイアとは与えられるものだけではなく、種をどう育てるかというところだ。
何を受けてきたかではなく、種に何を与えられるか。
モノを作るときは、無心に近い集中状態で感覚的になりつつある。
その無の境地に種の姿は現れるが、考え込むとまたそれは姿を消す。
だから私は、土壌を常に変化させ、耕し続ける。
新しく進化した芽に、出会うために。
インフォメーション
Keigo Okazaki
おかざき・けいご|
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