カルチャー

素晴らしきコラボレーションを堪能する展示4選。

さーて、4月はどんな展示に行こうかな。

2025年4月8日

MOT Plus サウンドウォーク・コレクティヴ & パティ・スミス|コレスポンデンス
@東京都現代美術館

メインビジュアル

Mathilde Brandi, taken at Kurimanzutto gallery NYC 2025

Mathilde Brandi, taken at Kurimanzutto gallery NYC 2025

Soundwalk Collective & Patti Smith ‘Correspondences’ – kurimanzutto NY (installation view), courtesy of kurimanzutto

Patti Smith Photo by Jesse Paris Smith

NYパンクのシンボル、パティ・スミス。『ホーセス』でのデビュー以来、1960年代後半から制作を続けている絵画と写真に加え、2010年代からはインスタレーション作品にも創作の幅を広げている。今年開館30周年を迎える東京都現代美術館の新企画「MOT Plus」の第一弾として開催される本展は、そんなパティ・スミスと、写真家ナンゴールディンを追ったドキュメンタリー『美と殺戮のすべて』の劇伴を担当したことでも話題のサウンドウォーク・コレクティヴとの共同制作にフォーカスする。原発事故や森林火災、動物の大量絶滅といったテーマを探求する映像と「音の記憶」の交差。80歳を目前に控えた生ける伝説のパンク精神を受け継ぎに、ぜひ足を運んでみよう。

インフォメーション

MOT Plus サウンドウォーク・コレクティヴ & パティ・スミス|コレスポンデンス

会場:東京都現代美術館
会期:2025年4月26日(土)-6月29日(日)
休み:月曜日(5月5日は開館)、5月7日
時間:10:00〜18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
料金:一般1,800円

Official Website
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/MOTPlus-correspondences/

ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー「Small Works」
@ ギャラリー小柳

ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー
スーツケース・シアター 2020/2023 年 ミクストメディア、樹脂製のフィギュア、スーツケース、スマートフォン
56 x 46 x 38 cm
© Janet Cardiff & George Bures Miller / Courtesy of Gallery Koyanagi

ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー
溺水のメカニズム 2023 年 ミクストメディア、アーカイバルインクジェットプリント、オーディオ
60 x 40 x 22 cm
© Janet Cardiff & George Bures Miller / Courtesy of Gallery Koyanagi

共同制作といえばこちらも見逃せない。ジャネット・カーディフとジョージ・ビュレス・ミラーによる、日本では約7年ぶりの個展だ。共にカナダ出身で、アルバータ大学在学中の1983年に出会い、次第に共同制作を開始したふたり。これまでは「音」を核とし、映像やオブジェ、機械装置を用いた壮大なインスタレーションによって鑑賞者を独自の世界へ導いてきた。新作7点を含む全てが本邦初公開となる本展では、そのスタイルの変化が読み取れる。展示タイトルにもあるように、手のひらほどのサイズのものから壁付けの小さな作品たち、スモールワークスが並ぶ。だからこそ、愛らしく、時に奇妙で少し怖い作品のひとつひとつをじっくりと味わうことができるはず。彼らのエッセンスが凝縮された作品に、壮大さはサイズのことじゃないんだな、と頷けるはず。

インフォメーション

ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー|Small Works

会場:ギャラリー小柳
会期:2025年3月22日­(土)〜6月14日(土)
時間:12:00〜19:00
休み:日、月、祝日
料金:無料

Official Website
https://www.gallerykoyanagi.com/jp/exhibitions/

センチュリー赤尾コレクション×斯道文庫
書物ハンターの冒険:小松茂美旧蔵資料探査録Ⅰ
@慶應義塾ミュージアムコモンズ

撮影: 村松桂(株式会社カロワークス)

撮影: 村松桂(株式会社カロワークス)

撮影: 村松桂(株式会社カロワークス)

「尋源抄」、貞享2年(1685)刊
慶應義塾所蔵(センチュリー赤尾コレクション)

「尋源抄」、貞享2年(1685)刊
慶應義塾所蔵(センチュリー赤尾コレクション)

被爆体験の病床で『平家納経』と出会い、東京国立博物館を経て古筆学研究所を設立、果ては古筆学を大成した小松茂美。実は「文字を書く」営みに関わる日本の古典籍を、他に類を見ない幅広さで蒐集していたコレクターでもあった。21年に慶應義塾に寄贈されたセンチュリー赤尾コレクションには、そんな小松茂美の約15,000冊(!)におよぶ旧蔵書が含まれているのだとか。その一端を紹介する本展では、珍しいもの、ありふれたもの、著名人がかつて持っていたもの、どこにもタイトルのないもの、何だかよくわからない不思議なものetc、バリエーションに富んだ書物と出合うことができる。これだけのユニークな蔵書をコレクションした小松博士の情熱と興奮、未知なる本の世界の楽しさを味わいに行ってみよう! 三田というアクセスにも優れた立地だからこそぜひ訪れたい。

インフォメーション

センチュリー赤尾コレクション×斯道文庫 書物ハンターの冒険:小松茂美旧蔵資料探査録Ⅰ

会場:慶應義塾ミュージアム・コモンズ(三田キャンパス東別館)
会期:2025年3月17日(月)~ 5月16日(金)
時間:11:00〜18:00
休み:土、日、祝日
特別開館:4月19日(土)
臨時休館:4月14日(月)、4月26日(土)〜 5月6日(火)
料金:無料

Official Website
https://kemco.keio.ac.jp/all-post/20250317/

TOKAS-Emerging 2025
@TOKAS本郷

井澤茉梨絵《巨人の化石と絞め殺し植物》 2022

奥村美海《Perspective structures of Palimpsest》 2024

高橋直宏《死出のマヌカン》 2024
Photo: 宮崎竜成

野村由香《池のかめが顔をだして潜る》 2022
Photo: 来田 猛

新進気鋭のアーティストの作品たちと出合える場がこちら。トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)が2001 年より行っている若手アーティストの活動支援プログラム「TOKAS-Emerging」。日本国内を拠点とする35歳以下のアーティストを対象に公募を行い、個展開催の機会を提供しているのだ。本展では、自己を形成する生き物をテーマに絵画を制作する井澤茉梨絵、個人の生活の中で生み出される筆跡を解体・再構成したインスタレーションを展開する奥村美海、インフラや通信技術等、システムをテーマに解体可能な人体彫刻を制作する高橋直宏、炭鉱をモチーフにした作品をとおして自然と人のつながりを探る野村由香の4名が選出。絵画、彫刻、インスタレーションなど、様々な表現による作品が並ぶが、TOKASのプログラムと注目の作家たちとの出合いがどんな化学反応を生み出しているのか、目撃しに行こう!

インフォメーション

TOKAS-Emerging 2025

会場:トーキョーアーツアンドスペース本郷
会期:2025年4月5日(土) 〜5月4日(日・祝)
時間:11:00〜19:00(入場は閉館30分前まで)
休み:月曜日
料金:無料 

Official Website
https://www.tokyoartsandspace.jp/archive/exhibition/2025/20250405-7383.html