TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#4】図書館のこと④

執筆:箕輪はるか(ハリセンボン)

2025年4月4日

本に使われる中性紙という紙は、うまく保存すれば百年以上はもつらしい。
和紙なら千年だとか。
電子書籍やクラウドの良さもあるけれど、再生機器や規格が変わればその都度対応が必要な上に、サービスがいつまでも運用される保証はない。
いまのところ多くの情報を安全に長く残せるのは紙ということになりそうだ。

ただそれは私にとって良いことばかりではない。
まだ捨てないが残すほどではないメモ、が百年残ってしまうおそれがある。
先日見返した古いノートには、「ニュース原稿を読むアナウンサーが、道筋、と言うべきところを、ミスチル、と言い間違え、『今後の景気の成長にミスチルを…』と読んだ」と走り書きがされていた。
他者のミスをあげつらう私の卑劣さが百年以上も残るとしたら、安らかに眠れる気がしない。
このノートはできるだけ紫外線にさらし、湿度が高く通気性の悪い場所に置いて劣化を早めることにしよう。

小学生のときに書いた冬休みの絵日記も残したくない。
お年玉を誰からいくらもらったかを細かく書き留めた日記というより帳簿で、あといくらもらえたら五千円になるという報告で締めくくられている。このような幼少期のお金への執念が百年以上も残されたら、恥ずかしさに耐えかねて地獄で暴れ回るかもしれない。
この絵日記もできるだけ劣化を早めるべく、意味もなくセロテープを貼ったりクリップで挟んだりし、ホコリの多い場所で粗雑に扱っていこうと思う。

図書館の本は、以上のような扱いをことごとく免れ、図書館職員のみなさんの日々の業務によりなるべく劣化しないように適切に保存されている。
ネットの速さと手軽さの前に紙の本はだんだん読まれなくなっている。けれどいつか読まれるときを百年単位で待つことができるタフなやつでもある。

これからも図書館が人類に果たす役割は大きい。

というメモは、和紙に書いて千年残したい。

プロフィール

箕輪はるか

みのわ・はるか|1980年生まれ、東京都出身。早稲田大学卒。NSC東京校出身で2003年に相方「近藤春菜」とハリセンボンを結成。
コンビではTBS「モニタリング」、TX「にちようチャップリン」をはじめ、多数のテレビ番組に出演中。
ピンでも幅広い分野で活動している。
ニッポン放送「ナイツ ザ・ラジオショー」では木曜パートナーを務める。光文社「女性自身」では、毎月書評を連載中。