TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
【#1】それぞれの街、愛しい暮らしのなかで
執筆:畳野彩加
2025年3月15日
生まれ育った石川県での生活。
憧れの一人暮らし、京都で出会ったたくさんの人とカルチャーとご飯。
そして今住んでいる東京のこと。
自然な流れでいろんな街を転々としてきて見つけた、自分にとって今でも大切な場所や音楽、映画、お店。そして、それぞれの暮らしの中での寂しさ。
部屋の窓からぼーっと外を眺めているときのような気持ちで、移り変わっていく景色のこと。
高校を卒業して最初の一人暮らしは京都だった。
家族旅行で何度か京都観光をして、街の雰囲気が少し石川の街並みに近い部分もあったりして(金沢は小京都と呼ばれもする)、なんとなく京都に住むことに憧れがあった。最初に住んでいた場所は京都市営地下鉄の端っこ、大学にほど近い国際会館駅が最寄りの場所だった。京都の中心地からはかなり離れた場所で大学もほぼ山の中にあった。家の近くにはマクドナルドやスーパーのライフ、大きなホームセンターがあり地元の景色とそれほど変わらなくて、想像していた華やかな京都での暮らしとは少し違ったけど、あの頃の私の胸の中はそれでもあまりあるほどに初めての一人暮らしのワクワクに溢れていた。もちろん引越しも初めてのことだったので両親が石川から手伝いに来てくれて、家具や電化製品を揃えてくれた。特にこだわりはなかったのでお姉ちゃんのお下がりの物もあった(今でも使ってる物もあるからそろそろ買い替えなきゃ……)。
大学は基本自転車で雨の日はスクールバスで通っていた。
学内には情報館という、本はもちろん大量のCD、DVDやビデオを自由に観たり聴いたりできる図書館のような建物があった。授業の合間や一日の終わりにそこに寄ってCDを何枚かレンタルしたり、映画を観たり、情報館で半日以上過ごしてしまった日もあるくらいだった。今でも大好きなソフィア・コッポラの作品や授業の合間で観た『かもめ食堂』や『ジョゼと虎と魚たち』。
The Sea and CakeやTortoiseを知るきっかけにもなった。
そんなあの頃の暮らしの中には今にもつながっている大切な味がある。
『グリル宝』という洋食屋のチキンコルドンブル。チキンカツの間にハムとチーズが挟まっていてトマトソースがかかっているとんでもない料理。学校終わりに友達とゆったりとした夕方の時間を過ごした。大きな窓がある店内にはたくさんの西陽が差し込んで、なんとなくお店のイメージはオレンジ色だ。
それともう一つ、学校から家まで自転車やバスで帰る帰り道、夜になるとひんやりとした空気が流れるあの街の寂しさがすごく好きだった。
急に辺りがしんとしてこの街には私しかいないような気持ちになった。
思えば生まれ育った石川の街もそうだった。
プロフィール
畳野彩加
たたみの・あやか|Homecomingsのボーカル・ギターを担当。また、弾き語りでのソロライブや、様々なアーティストの楽曲にゲストボーカルとして参加するなど活動の幅を広げている。
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