TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

ファッションの概念を広げてくれたエア ジョーダン 1

執筆:甲賀加純

2025年2月14日

高校一年生の冬、初めて出合ったエア ジョーダン 1。それは、地元の静岡にある古着屋で買ったエア ジョーダン 1のROYAL。
そのときの価格が12000円位で、思ったより安かったので、えええ本当に?と思い、当時お手伝いしていたセレクトショップの先輩に相談して購入した思い出。
そもそもエア ジョーダン 1を知ったのは、そのセレクトショップに立つようになってから。そのお店には音楽やファッションを教えてくれた先輩がいて、その人が着用していたのを見ていたから、私もエア ジョーダン 1がいつか欲しいなと思っていた矢先にゲットできた、今でも大切に保管している一足。

当時は、エア ジョーダン 1を履いている女の子は周りにいなくて。
好きだった音楽は海外のブラックミュージックで、だからケンドリック・ラマーが着用していた服を買ってみたり、それからもっと面白いものはないかと自分で探してみたり。
実は小学生の頃から海外のオンラインストアで購入したりと、もともと洋服は好きだったけど、そのとき流行っていたカルチャーに影響され、さらにファッションの概念がどんどん広がっていった。
そんななか、エア ジョーダン 1の持つスポーツ要素は、自分のファッションカテゴリーを増やしてくれた。

エア ジョーダン 1が好きな理由として、スポーツシューズとは思えない綺麗な形と、バスケットシューズのアイコンなのにファッションアイテムとしても存在していることの格好良さ。そして、1人のスーパースターの存在があってこそ、このシューズが誕生したという歴史。自分の中では〈エルメス〉の名作バッグや、ポルシェの911と並ぶ、ヒストリーを感じる名品。

トラヴィス・スコットなど偉大なアーティストが履くなど、ファッションを越えて人々を魅了するエネルギーを持っている。なにより、履くことのステータスを感じるシューズだと思う。

私は完全にファッションの観点からエア ジョーダン 1を知ったので、ヴァージル・アブローやスパイク・リーがテーラードジャケットやスラックスパンツに合わせていたのを見てしびれました。自分のスタイルに取り入れるときも、「なんでそれにエア ジョーダン 1を合わせたの?」みたいな意外性のある格好が好き。スーツやファーマルなドレスの足元はエア ジョーダン 1とか。とても貴重とされているスニーカーだけど、敢えてボロボロのデニムにヨレヨレのTシャツと合わせてさり気なく履くとか。
‘80年代からあるクラッシックなアイテムだからこそ、誰よりも渋くクラッシックに自分に取り入れたい。

エア ジョーダン 1との出合いは、私がファッションをより深く広く探すきっかけとなり、 “kowgaのスタイル”を確立する一つの大きな要素になった。
だから、今でもエア ジョーダン 1を見つけては、コレクションを続けている。
高校一年生の冬からこれまで、そしてこれからもずっと“23番”を追いかけ続けるのかもしれないですね(笑)。

高校1年生で購入した最初のエア ジョーダン1となるロイヤルブルーを筆頭に、3カラーを所有。近年の復刻はもちろん、年代物も含めてジャストサイズを見つけたら速攻ゲット。

プロフィール

甲賀加純

こうが・かすみ|〈KOWGA〉デザイナー。1996年、静岡県生まれ。2021年秋冬に、音楽やスポーツやミリタリー、そしてサブカルチャーを軸に自身が思い描く女性像を打ち出すブランド〈KOWGA〉をスタート。ベーシックでエイジレス、カジュアルながらもクラッシックなスタイルを提案。

Official Website
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Instagram
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