TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
【#3】メキシコ 死者の日 – 黄金の花
執筆:Momoca
2025年1月23日
死者の日に欠かせない花、センパチシルについて詳しくお話したいと思います。この黄金色の花がもつ意味や、死者の日で果たす役割を探ってみましょう。
死者の日(Día de Muertos)の象徴ともいえるセンパチシル(Cempasúchil)の花。この鮮やかなオレンジや黄色のマリーゴールドは「死者の花」と呼ばれ、その生命力にあふれる色彩とハーブのようなフレッシュな香りで、霊魂を家に導く役割を果たします。
センパチシルを積んだトラックが街へと運び込まれる様子は、まさにメキシコならではの季節の風物詩です。メキシコシティ近郊からトラックいっぱいに溢れんばかりに積み込まれたセンパチシルを見かけると、思わず心が躍ります。ハイウェイ沿いでは農家たちが直売を行い、遠目からでも目に飛び込むその黄金色の花々が、まるで祝祭の始まりを告げているかのようです。
ソチミルコ:水上庭園とセンパチシル
メキシコシティは面積も大きく、東京都23区の面積の約2.5倍ほどで、世界で最も人口の多い都市圏の一つでもあります。そのメキシコシティの南部に位置するソチミルコは、歴史的な地域で、センパチシルの主要な生産地の一つでもあります。このエリアでは、かつてアステカ時代に発展したチナンパ(浮き畑)という農業技術が用いられてきました。今日でも、ソチミルコの農家たちはチナンパを活かしてセンパチシルを栽培し、国内外へと供給しています。センパチシルが咲き乱れる季節に訪れると、まさに死者の日の魅力を五感で体験することができます。
ソチミルコの水上庭園は、その独特な水路と多種多様な植物が生み出す豊かな景観で知られ、ユネスコの世界遺産にも登録されています。
ここでは、自然と文化が融合した美しい風景が広がり、伝統的なトラヒネラ(カラフルなボート)に乗って水路を巡ることで、花畑や浮き畑を間近に楽しむことができます。週末には地元民や観光客で賑わう、人気の名所です。
文化と自然が織りなす水上の舞台
昨年、原宿の大人気うどん店『麺散』と千駄ヶ谷に路面店を構えるアイウェアブランド『ayame(アヤメ)』がコラボレーションした際、ビジュアル撮影の場所としてソチミルコを提案させていただきました。この企画では、うどんのクリーム色とネギのグリーンカラーをイメージしたサングラスが発売され、その魅力をメキシコの地で表現するという、なんともユニークな撮影が行われました。
撮影当日は、早朝3時に市内を出発し、4時には現地に到着しました。私はアートディレクターとして、既にとてもカラフルなトラヒネラをさらにメキシコらしく、鮮やかで遊び心あふれる装飾に仕上げました。
朝靄に包まれたブルーマジックの光が広がる中、水上庭園を手漕ぎの棒でゆったりと進み、ちょうど朝日が水平線から顔を出す瞬間、クリエイティブディレクターの源馬大輔さんがトラヒネラの上でDJパフォーマンスを披露しました。その光景はまさに、ここでしか見られない特別な瞬間でした。
このように、ソチミルコは、死者の日を象徴するセンパチシルの美しさを体感できるだけでなく、文化と自然が一体となる特別な場所です。センパチシルが咲き乱れるこの季節に訪れるソチミルコでの体験は、訪れる人々にとって忘れられない思い出として心に残ることでしょう。
左から〈ayame〉代表の今泉さん、モデルのハラさん、私、歌手のTxBONEさん、『麺散』代表のしげるさん。ソチミルコでのビジュアル撮影を無事に終え、みんなで〈ayame〉さんのサングラスをかけながら、ほっとひと息。
死者の日にとってセンパチシルの花は、その鮮やかな色と香りで故人の魂を迎え入れ、道を照らす重要な役割を担っています。この花が祭壇や墓を飾ることで、死者の日がさらに特別で神聖なものとなり、生者と死者の絆を深める象徴となっています。
プロフィール
Momoca
ももか|ペーパーアーティスト / 祭壇クリエイター。カリフォルニア州バークレーで約25年暮らした後、2021年にメキシコシティへ拠点を移す。紙を主素材としたオブジェや絵画を制作し、旅で得たインスピレーションや内なる世界を表現する祭壇アートも手掛ける。その活動は、メキシコの「死者の日」と日本の「お盆」の祭壇を並べた作品がニューヨークタイムズに掲載され注目を集めている。かつては自身の洋服ブランドをバークレーで立ち上げ10年間店舗経営、〈Adidas〉や〈Red Bull〉といった大手ブランドとコラボレーションを実現。また、『シェ・パニーズ』のアリス・ウォータースや〈Apple〉社のデザイン部副社長エヴァンス・ハンスキーのイベント装飾を手掛ける。モロッコ・マラケシュにあるイヴ・サンローラン美術館からデザイン賞を授与される。
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