ライフスタイル

POPEYE Web編集部の日常ブログ。

2024年 11月

2024年11月27日

POPEYE Web編集部の、ゆったりブログ。
– スタッフが見たもの、食べたもの、買ったもの etc をたまに更新します。 –

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ポパイウェブ旅行団

 先日、POPEYE Webシニアエディターの井出さんと、BOOK SWAP MEETINGに参加してくれた現役大学生のTくんと3人でおでかけをしました。

 目的地は粟津潔邸。戦後日本のグラフィックデザインを牽引したグラフィックデザイナー、粟津潔の住宅兼アトリエです。

 梅田スカイビルや京都駅ビルを設計した原広司によって建てられたここは、現在アートスペースとして公開されており、この日は「小杉武久の2024 at 粟津潔邸」の展示を開催中でした。

 読売ランド前駅近くの住宅地に突如として現れる、坂道を利用した不思議な建築の佇まいに驚き。今見ても全く古びることないモダンなデザインの内装が広がり、自然光の取り入れ方とシンメトリーな配置で程よい緊張感が素晴らしかった!

タージ・マハル旅行団がイランから持ち帰った陸亀のマランダ。齢50歳以上。

「フルクサス」への参加、音楽集団タージ・マハール旅行団などで日本の即興演奏の礎を築き、ミクスト・メディアやサウンド・インスタレーションの先駆けとなる作品も多く残した小杉武久。その展示にもインスピレーションをビンビンに受けた。「ピクニック音楽会」はいつかウェブでもやりたいな。

 おでかけ楽しかったですし、とても勉強になりました。また連れて行って下さい!

2024年11月
内田(POPEYE Webライター)


ワケアリなヤツら。

 先日、POPEYE Webの編集チーム数名と雑談していたところ、みんなが普段の生活の中で図書館をほとんど利用していないということを知って驚いた。僕はと言えば、ばらつきはあるが均せば週イチくらいのペースで図書館に通っている。物心ついて以来(僕の父は図書館で働いてたので)、ずっと。それほど生活に密着した、あまりにも身近すぎる空間であるからして、他人がそこにどれだけ行っているかなんて考えたこともなかった(「昨日トイレ行った?」とか訊かないもんね)。

 まあ本という存在が苦手とか積極的に避けたいという人でなければ、図書館ほどスーパーナイスな場所もなかなかないだろう。今や街なかで小一時間ほど座って休憩するのにもそれなりの場所代を要求される時代だ。空調の効いた静かで快適な空間で、何時間でも、無料で、大量にある本の中から好きなのを探して自由に読める、そしてタダで貸してくれるとか、天国かよ! たいていの新聞雑誌も最新号が読めるし、席を予約してPCで仕事したりできるし、探してる本を他の図書館から取り寄せて連絡くれたりするし、調べ物の相談にも乗ってくれるし。こんな素晴らしいサービスを利用しない手はないぜ。

 そんな図書館に行ったときは、職員さんが選書した特集コーナーなど見るべきところはたくさんあるが、何気に好きなのが「リサイクル資料」のラック、つまり「持ち帰りOK」の除籍本のコーナーだ。除籍の理由は本の破損、所蔵カブり、利用頻度の低さ、内容の古さなど色々らしいが、いずれにしてもここに「今、人気の本」はまったくないわけで、何だかちょっとワケアリ的な一風変わったタイトルに出会えることも少なくない。本はせいぜい数十冊だが、その少ない中から選ぶのがまたイイ。ちなみに今日、覗いてピックしたのはコレ。

2024年11月
井出(POPEYE Webシニアエディター)


We are all alone(ボクら二人だけ)

 とてもクールな30歳ほど年上の先輩がいる。その先輩は学生時代から添い遂げている奥様を連れて、いつも二人だけでディスコにやってくる。着席してシャンパンを開けるわけでもなく、ずっとダンスフロアにいて二人で向き合って踊っているのだ。まるで周りに誰もいないように。二人はきっと昔からこうなんだろうなと思わせてくれる。これが40年以上も続いているらしく本当に尊敬している。

 フロアはアヴェレイジ・ホワイト・バンドのレッツ・ゴー・ラウンド・アゲインがフェードアウトし、ボズ・スキャッグスのウィアー・オール・アローンへと繋がった。お決まりのチークタイムである。各フロアにディスコがひしめいた六本木の有名ビル「スクエアビル」の箱に迷い込んだかのようなAORサウンドに浸り各々がクールダウン。僕はビールを買おうとバーカウンターへ身体を向けると、先輩夫婦が視界に入った。

 先輩は奥様と抱き合い、ゆっくりと身体を揺らしていた。社交ダンスのように派手に踊るわけでもなく、身体を寄せ合い立っているだけ。僕はまた、彼らはきっと昔からこうなんだろうなと思った。その地蔵のようなスタイルが僕に、席はおろか踊るスペースさえなかった「スクエアビル」のリアルな景色を見させてくれたのような気がしたからだ。

 すぐさま影響を受けた僕は、この曲で同じように踊らせてくれそうなレディはいないかなと辺りを見回した。そしてふと、まったく先輩の神髄を理解できていなかったことに気が付き、こんなようでは間違いなくアイムア・オール・アローンである、と情けなくなった。

2024年11月
トロ松(編集者/ライター)


休日

 白い皿、何を買おうか検討中。

2024年11月
国分(POPEYE Webクリエイティブディレクター)


BACK TO LIBRARY

 図書館を普段使いする人に続けて遭遇して、なぜ自分は大人になってからめっきり行かなくなったんだろうと思い、手始めに会社から一番近いところを探してみると、見つかった『松竹大谷図書館』。松竹の創業者の一人、大谷竹次郎が演劇や映画に関する図書館の必要性を感じて1956年に設立した施設で、いわゆる公共系とは違い、探している資料をメモに記入し、閲覧室で読むというストイックスタイル。ピシッとした空気がありつつも、スタッフの人たちが妙に気さくで居心地は抜群。「特に探しているものはないのですが、とりあえず来てみました」と伝えると、ならば検索サービスを使ってみてくださいと優しく教えてくれたので、当てずっぽうで「山田太一」というワードを打ち込んでみる。

ちなみにウェブ上で検索もできる。

https://opac315.libraryexpert.net/lib-shochiku-otani/

 未知の資料や作品がたくさん出てきた中で、「歌え若人達」という1963年に山田太一が脚本を担当した作品の台本が気になり、スタッフの方にメモを渡すと、該当資料だけでなく完成台本から準備稿と呼ばれる制作途中の台本までドサっと持ってきてくれた。

 最初のページに「日本の若者の人口は50万人、そのうちのたった4人の、てんでばらばらな青春のお話です」という一文。すでに溢れ出る太一節。ページを捲ると、手書きの修正も残っている。山田太一本人の手書きかな? と完成台本と準備稿を行ったりきたりすると、撮影スタート時にはタイトルが違ったこともわかったりする。予想以上に貴重な資料ではないか。会社の近くにこんな楽しめる場所があったなんて。

つづく。

2024年10月
宮本(POPEYE Webエディトリアルディレクター)


Practice makes perfect

 布への興味が尽きない今日この頃。自由な手縫いはさておき、実物を見ても仕組みがさっぱりわからないのが織物。なので、手っ取り早く理解するべく自分で織ってみました。習うより慣れよ、です。もちろん足で踏む本格的な織り機ではなく、自宅のテーブルでできちゃう簡易的なもので。

 いざやってみると案外やり方は単純明快、ピーンと張った経糸(たていと)のトンネルに柄となる緯糸(よこいと)を交互に通していくだけ。なのですが、経験ある方はご存知のとおり、これがまたひと度間違うと厄介でした。ええい!と無視して進めてしまうとほつれの原因になるだけなく、微妙な隙間が許せないほど格好悪くて。しかも順番に織っていくため、後からそのポイントだけ修正することは出来ず、一旦ほどいてやり直さないといけないのです。少しズレても味として認められる染めや刺繍にはない根気のいる作業で目もチカチカしますが、それでも、端の処理や経糸と緯糸の関係性がわかり、ほんの数日で織物の解像度がグンと上がりました。

 そんな知育玩具を扱っていた『グラフィオ/ビューロスタイル』は、自分がライターとしてはじめてお店取材をした思い出深いお店です。今月10月29日に発売されるムック本「部屋とシティボーイ4」に再掲載していますので、ぜひ読んでみてください!

ちなみに今月はミッドセンチュリー期のアメリカンキルトを3枚確保!

2024年10月
宇都(POPEYE Webライター)


宝つり

学芸大学駅西口をでて商店街をまっすぐ5分ほど歩いたところにある『花善』。

夏の間は店前に「ご自由にどうぞ」の線香花火があるなど、つい立ち止まってしまう仕掛けを季節ごとに用意している生花店です。

先日立ち寄ったときはお菓子がぶら下がった大量のひも! 買い物した後にくじを引かせてくれました。

いくつになってもおまけは嬉しいものです。

パチパチするキャンディが釣れました🎣

2024年10月
町田(POPEYE Webライター)


休日

2024年10月
国分(POPEYE Webクリエイティブディレクター)


盆栽日記。

 イワシデの盆栽がすくすく育っています。以前、連載「東京五十音散策」にて取材をした『品品』さんで購入したものです。人と同じで甘やかしすぎは良くないらしく、水をあげすぎたり、日に当てすぎたりすると萎れてしまい、その塩梅がなかなか難しいです。可愛くてついつい構ってしまうのですが、ほっとくのも大事なんですね。ペットを飼ったこともなかった私にとっては、同居する“小さな命”のことを考える経験がはじめてで、少しだけ心が豊かになったような気がしています。

夏を迎え、青々としてきたイワシデを見るとなかなか癒されます。まだ育て方の正解がわからないので、本やネットで調べつつ成長を待っています。

 実際に取材に出るようになってそんなに経ちませんが、取材がなかったら知らなかったことや味わえなかった経験がたくさんあります。出不精な自分にとって、仕事を通して色んな人のお話を伺えることは学びだらけで本当に楽しいです。そんな貴重な経験を独り占めせずに、なるべく記事で伝えられるようにしたいです。それから、夏休みの絵日記の宿題のようなこの文章もどうにか直していきたいです……!

2024年9月
内田(POPEYE Webライター)


ファッションの秋。

 映画『プラダを着た悪魔』で、メリル・ストリープ演じるNYのモード誌の編集長ミランダが、「春に花柄? なんて斬新なアイデアなの。」と言っていたのを見たときから花柄は春のものではなくなっていたのですが、最近の豪雨と晴れを繰り返す天気の中で、先日友人が雲から眩しい光が射す神々しい時間帯にシャツをさっと脱いでビビッドイエローのTシャツになり、その貫くような眩しさから、それまでのファッションのシーズンテーマに対する考えが少し違ったものに改まりました。今秋のテーマカラーも緑味のベージュです。

2024年9月
中村(POPEYE Webライター)


Club Luminaries

 9月7日(土)と8日(日)に、タイ・バンコクのクラブルミナリーズというお店でDJしています。お近くの方は、ぜひ遊びにきてください。

ในวันเสาร์ที่ 7 กันยายน และวันอาทิตย์ที่ 8 กันยายน ฉันจะเป็นดีเจที่ Club Luminaries
ในกรุงเทพฯ ประเทศไทย หากคุณอยู่ในพื้นที่กรุณามาเยี่ยมชมเรา

2024年9月
トロ松(編集者/ライター)


Back to 2013

 会社の近くに、広さ、混み具合、メニュー構成、店員さんの人あたり、すべてがちょうど良い名喫茶がある。ぬるめの温泉に入っているような心地よさがあって、過ごしているときは感覚がほとんどオフになってしまう。だから、しばらく目の前にある「書」も相田みつをだろうな、くらいの認識だった。が、全然違った。それは、2013年の流行語大賞「倍返し」「じぇじぇじぇ」「今でしょ」「お・も・て・な・し」の4単語だった。

 店の方は愛想が良い物静かな人なので、この「書」が冗談なのか、本当に好きな言葉なのかまったく想像ができない。真相は謎。でも、コーヒーを飲みながら林修先生や滝川クリステルは今何をしているんだろう、とか、普段考えないようなことを考えている自分がいて、気が付くと心も体もリラックスしている。もしかしたら、そこまで計算して置いているのかもしれない……と思わせてくれたりもするので、ここ数年で店に飾られているアート(?)の中ではトップレベルで好きです。

2024年8月
宮本(POPEYE Webエディトリアルディレクター)


Welcome, scraps of coverlet

 今夏、布のハギレが持つ包容力にビビっています。というのも、例えばコースターにしたり、壁面に飾ったり、穴が空いた洋服にあてたり。なんなら、大量に集めてオリジナルの敷物を作ってみてもよくって。好きな人からすると当たり前かもしれませんが、思いつき次第でどうにでもなる、おおらかすぎる一面にやっと気づいたのであります。

 そんなビギナーの自分へ、超幸運にも、下馬にある『kaya select』の店主・下川さんに譲っていただいたのが写真の2枚。アメリカで1800~1900年代初頭に織られていたCoverlet(カバレット)と呼ばれるジャンルのものなのですが、中でもマニアックなやつらしく。模様の強弱といい、色味といいうっとりしちゃいます。さらには、なんだか勝手に「この世界へようこそ」と言わんばかりの下川さんのメッセージを感じ取り、今年は布に囲まれた日々を過ごしたいと思いました。

2024年8月
宇都(POPEYE Webライター)


どんでんがえし

『POPEYE』本誌9月号「セカンドハンド特集」に併せた鼎談でも話したのだけど、インターネットが発達してマーケティングが精緻になる以前、しかも日本の強い経済力を背景に物質文化が花開いた1980年代には、現代ではまずあり得ないエクスペリメンタルなアイテムが次々と商品化されていた。商売度外視、ほとんど思いつきのみのアイデア商品みたいなブツが、実際に市場にガンガン放流されていたのである。

 中でもやはりその急先鋒は〈ソニー〉であろう。現代に至るまで世界中で当たり前に行われる「屋外で歩きながら音楽を聴く」というコンセプトを具現化した「ウォークマン」はもちろん、レコード盤の上をミニチュアのワゴン車が走りながら音を再生する「自走式レコードプレーヤー」を初めて開発するなど、当時のソニーは遊びゴコロ溢れる商品を生み出す超先進的&クリエイティブな企業だった。

 そんな中でも、僕が最も大好きなのが1984年発表の「どんでんがえし(KV-14DR3)」なる名のテレビ。このテレビはその名のとおり、何と「ワンタッチで映像の左右が逆転する」という機能があるのだ。手元にある当時のソニーの商品カタログ(表紙がPJ!)によると、「世界初の、リモコンで画面の左右を反転させる機能を装備。鏡に映すと正常に見えるユニークなテレビ」とのこと。ユニーク過ぎ! 誰が買うねんと思いきや、何と当時、数千台売れたというから驚きである。

 このテレビの「左右反転機能」は一体、主にどんなときに使われたのか。これにはちょっとした答えがあるのだけど、ここでは内緒にしておこう。わかった人は、POPEYE Web編集部までメールください! 何もあげないけど。

2024年8月
井出(POPEYE Webシニアエディター)


残るは1店舗の元チェーン店へ。

 1973年から続くハンバーガーチェーン「サンテオレ」を知っている人はどのくらいいるだろう。一時は100店舗以上あったみたいだし、近所にあった方もいるかもしれない。私は今年の冬に日本大通りの駅構内で見つけたばかりで、それ以来気になっていた。

 5月にふと行こうと思って調べてみたら、まさかの日本大通り店は3月末で閉店。残るは千葉県・東金市の1店舗のみとなった。この機会を逃したら一生行けないかも、と思い2時間以上電車に揺られて『サンテオレ東金店』へ。

 東金駅から徒歩5分の商業施設『サンピア』のフードコート内に目的地はあった。ハンバーガーだけでなく、ホットドッグ、ラーメン、そば、カレー、クレープ、アイスクリームと多岐にわたるラインナップで、これを1,2人の店員さんで回しているのはすごい。人気らしいコロッケバーガーを頼むと「お時間がかかりますがよろしいですか?」と。注文後に作り始めるスタイルがいわゆるファストフードっぽくなくて嬉しい。

『サンピア』の中には初めて出合う雰囲気のいいドーナツ店もあってゆっくりお茶でもしたかったが、1時間に1本しかこない路線に乗らなくてはならなかったので1時間ほどで退散。思いがけない小旅行はいつもと違う景色が見られて楽しかった。遠出してショッピングモールにわざわざ行くのもありかもしれない。

2024年8月
町田(POPEYE Webライター)


TOWN WALK IN SUNNYVALE

 出張でシリコンバレーのサニーベールという街に宿泊中。

 知らない土地に泊まるときはインターネットやタウンガイドで調べる前に歩き回って土地勘を養うようにしている。街の空気を自分なりに捉えられてホッとするし、この行為を繰り返していると、初めての土地でも名店を見つけるのがうまくなってくる(ような気がする)。

 けれど、今回は1時間弱歩いてもまったくなにも感じとることができなかった。ホテルのまわりは道、道、道。コンビニやカフェが一軒も見つからない。気配すらない。

どれだけ歩いても道。

 お手上げ状態でホテルに戻り、街について調べてみると、ヤフー!や航空機・宇宙船の開発製造会社のロッキード・マーティンが本社を置く街らしい。知ったうえで街を歩くと確かに見えてくるシリコンバレー的なロゴ。

Google職員が乗り捨てできる自転車がアチコチに。

 ついでにホテルから車寄せを見下ろすと、あのテスラのサイバートラックが普通に走っていた。

 コレはコレで異世界に迷い込んだようで楽しい。でも、やっぱりサニーベールは散歩には向かない。

2024年6月
宮本(POPEYE Webエディトリアルディレクター)


思い出の味。

 長いこと神奈川・横浜に住んでいたので、例に漏れず行きつけの店というのがありました。

 以前POPEYE Webでも取材したギャラリー『Goozen』の近く、弘明寺にある中華料理『揚州人家』です。五目あんかけ焼きそば、炒飯、回鍋肉、牛肉とにんにくの目の炒めものなど、オーソドックスなメニュー展開ながら、味は濃すぎず(むしろ町中華には珍しく繊細で)、量は少し多め、どれをとっても個人的ベストオブベスト。学生時代の思い出は『揚州人家』と共にあったと言っても過言ではありません。東京に引っ越した後でもこの店の味が忘れられず、どんな中華を食べてもしっくりきません。

 横浜へ行く用事があり弘明寺まで足を伸ばして訪れたときは、お店にいるみんなが自分のことを覚えてくれていて、わざわざ店外まで見送ってくれました。

 そろそろあの味をまた食べたいなと営業時間を調べていたら、今年の2月で閉店していたことが分かりました。なんでも、シェフが本国に帰ってしまったとか。仕方がないけれど、ショック。帰る場所を失ったみたいで寂しいです。

「さよならだけが人生だ/人生足別離」と唐代の詩人・于武陵の詩『勧酒』の一文を訳した井伏鱒二の言葉がふと頭をよぎりました。食事ひとつとっても、親の作った料理の味、子どものころに出会った味、よく通ったお店の味。色んな思い出の味があるけれど、人生は別れの連続。本当に「思い出」だけになってしまうことが、大人になるってことなのかな。うーん。

 劇作家で詩人でもある寺山修司は「さよならだけが人生だ」というフレーズにかなり感化されていたようで、この言葉をテーマにした詩も執筆しています。ただ、寺山の場合は先の詩に続けて「さよならだけが人生ならば、また来る春はなんだろう」と書いていますが。

 そう、きっとまた素晴らしい味に出会えるはず……! 『揚州人家』さん、もし中国でお店を始めたのならPOPEYE Web宛にメールをください。食べに行きます。季節は梅雨真っ只中ですが、春よ来い!

2024年6月
内田(POPEYE Webライター)


自己紹介と、クリームパン。 

 はじめまして。今年からPOPEYE Webで働いている中村です。自己紹介をするならば、私は甘いものが結構好きな方だと思います。さらに言えば、酸味が強めなアメリカーノにぴったりのスイーツが好きです。そろそろアイスのアメリカーノが体に染み渡るいい季節がやってきますね。いつか、見ているだけでよだれが出てしまうような楽しい甘味の連載ができたらな、と思います。

 最近はカスタードのクリームパンをよく食べているので、ここで少し紹介してみようかなと。

 一つ目は京王多摩川駅をリサーチ中に見つけた『フランダース』というお店で見つけたこちらのクリームパン。ケーキも販売しているこちらのパン屋さんのクリームパンは、丸っこくドーナツのような見た目で、中には溢れんばかりの滑らかなカスタードクリームがたっぷりと。甘すぎず、トロッとしたクリームをこぼさないように。私は我慢できず、道端でパクついてしまいましたが、近くには多摩川沿いの公園もあるので、そこでゆっくりいただくのが良さそう。

 二つ目は、長野県の開田高原を訪れたら必ず行くようにしている『タビタのパン』のクリームパン。このクリームパンらしいフォルムがとても可愛らしいですよね。少し硬めのパンに甘さ控えめのクリームが上品に入っていて、素朴な甘味が心地よいパンです。オーナーの女性の方は以前は東京のパン屋さんで働いていたそうで、聞いてみると、富ヶ谷にある『ルヴァン』出身だとか。ずっと行きたいと思いつつもまだ足を運べていなかったので、そちらにも行かなければ……!

『フランダース』のクリームパンは、ずっしりと重たい。

『タビタのパン』のクリームパン。この形は、一説によると発酵中に空気が入らないよう、空気を抜くための穴なんだとか。