ファッション
丁寧で不器用な花束。
〈CIOTA〉のMA-1と〈TUKI〉のコーデュロイパンツ
photo: Mitsugu Uehara
styling: Shogo Iwayu
grooming: HORI
flower: Yoshikatsu Yamato
edit: Ayumi Taguchi (kontakt)
2024年12月2日
クリスマスも近いし、特別な日は大切な人に花束を贈りたい。花屋さんに作ってもらうのもいいけれど、せっかくなら自分の庭やベランダで育てた草花を渡してみるのもいいのでは。枝葉や花を何本か見繕い、贈る相手をイメージする。その人らしいお花を近所の花屋さんで1、2輪買ってきたら、自分で育てた草花と相手に似合うお花のバランスを見ながら、最後にリボンで束ねて完成。少し荒削りだけど、自分らしいブーケができた。ゆっくり時間をかけて育てた植物は自分の相棒というか分身のようで、日々の感謝の気持ちをうまく伝える助っ人になってくれる気がする。
1980年代にアメリカ軍がグランドクルーに支給していたジャケットをモチーフにした〈シオタ〉のMA-1。ナイロンにコットンを掛け合わせたツイル生地を使用しており、見た目はマットで手触りはさらさら。ミリタリーアイテム特有の無骨さを都会的にシフトした。中綿には熱伝導性が低いTORAYの超繊細繊維を採用し、一旦取り込んだ熱を逃さない。ダウンに比べて2倍暖かいと言われているので、真冬でも大丈夫。MA-1フライトジャケット¥75,900(シオタ/customerservice@ciota.jp)
喜んでもらえるか不安な気持ちと、相手のことを思って用意したギフトを早く渡したくてはやる気持ちが同居して、いつもより早足であの人の元へ。
花束はいつか捨てなければいけないから切ない。というけれど、ここからは花束を受け取った人のために長く楽しむためのアドバイス。花束は輪ゴムで束ねられたまま花瓶に入れるのではなく、まずはばらしてみてほしい。家にあるマグカップや水を飲むコップ、小さなお皿などを複数用意して、それにあった高さにハサミでカットする。生けた花を部屋のいろんな場所に飾れば、家の中にも庭のような景色が生まれるのだ。
お花がいきいきするために、毎日の水の交換と、少しずつ茎や枝をカットしていくことを忘れずに。短くなったお花は背の低いグラスに入れ替えて、お花の頭の部分だけになったら醤油皿のような浅い器に水を張り浮かべてフィナーレ。葉物は長持ちしやすいから、グリーンをベースに色のアクセントになるお花をときどき気分で加えてみると、全体の印象を変えてくれるのも面白い。
1本1本の草花に丁寧に接すれば、元気な花の姿から、花びらが落ちてしおれていく姿まで、日々変化する植物の様子を最後まで見届けることができる。そうやってじっくり時間をかけていけば、物質的に花を長く鑑賞できるだけでなく、花束に込められた気持ちという目に見えないものが部屋の風景となり、記憶の中に思い出として残ってくれる。
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