TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#2】舞台のお話

執筆:黒木華

2024年11月17日

舞台はお好きですか?

ハロウィンが終われば、もうすぐにクリスマス。
なんなら、もう年末の雰囲気も感じます。
外の空気が段々と冬の空気になり、今年はどれだけ寒くなるのでしょう…。
夏らしいこともできぬまま、あっという間に冬です。
思えば、浴衣を着てお祭りに行ったのはいつかも思い出せないくらい昔の事になってしまいました。
少し寂しい。
浴衣持っているのに。。。

同時に夏の暑さがどうしても耐えられない私にとっては、過ごしやすい季節がやってくる報せでもあります。

さて、今日は舞台のお話です。
私は高校演劇をしていました。
部活で演劇をやっていたのです。

その時の所謂、『高校演劇』というものは、
好きな人しか見ない、やらないものでした。

部活動の場所も、体育館の舞台上、緞帳の中。
しかも、夏は暑く、冬は寒いという。
だけれど、私の通っていた高校の演劇部は、『強い』高校でした。
強い、というのは演劇にも甲子園のようなものがあり、強豪校というものが存在する場所だったのです。
私が入学する前まで全国大会に行くような強豪校でした。
そこで、演劇、というものに出逢います。
そして初めて野田秀樹さんという演出家がいることを知るのです。

初めて観た舞台はその演出家さんの『罪と罰』という作品。
主演の松たか子さん、古田新太さんのお芝居を高校時代に観て衝撃を受けるのです。
生で見る、有名な方達(テレビで見るような役者さんたち)の汗や、声。
表情。
何もフィルターを通さず伝わってくる感情の波。

なんてこったいです。

なので、私はこうして運良く、
そんな舞台に出させていただけるようになった今日も、
舞台観劇が趣味なのです。

舞台は、映画よりもハードルの高い方が多いのではないでしょうか?
チケット代も映画よりお高いですし、何を観に行けば良いかわからない方も多いでしょう。
2、3時間、席を立つ事ができない(これは映画も同じですが)事に不安を感じる方もいるでしょうし。
面白くないと感じるものもある。

私はそれで良いと思うのです。

好きな役者さんが出ているから、、
有名な演出家さんぽいし、、
なんか面白そうだし、、
フライヤーが素敵だし、、

様々な理由があるでしょう。
そんな感じで良いと思うのです。

そんなに舞台もハードルの高いものではないのですよ。
と私は思います。

確かにチケット代は高いけど。
それは私も、思う時があるけれど。
そこは、なんというか、ごめんなさいと思うこともあるけれど。

私はロンドンに舞台を観に行く事が多々あります。
そこでは観劇という事が、日本よりも少し身近です。
その日に観たいお芝居のチケットが取れ(席は悪いかもしれないですが)、
皆少しお洒落をして(これも物によるけれど)、
時には、軽く飲み物をいただいて、舞台を楽しみます。
その後、こうだった、ああだったと更にその舞台を楽しみます。

音楽のライブのように、
舞台も、観に来ていただけると嬉しいなぁと思った話でした。

プロフィール

黒木華

くろき・はる|1990年生まれ、大阪府出身。2010年、NODA・MAP番外公演「表に出ろいっ ! 」でデビュー。映画『小さいお家』(14)で第64回ベルリン国際映画祭銀熊賞を日本人女優最年少で受賞。主な出演作に、映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』(16)、『日日是好日』(18)、『浅田家!』(20)、『先生、私の隣に座っていただけませんか?」(21)、『せかいのおきく』(23)、『八犬伝』(24)、『アイミタガイ』(24)、ドラマ『凪のお暇』(19)、『僕の姉ちゃん』(22)、「下剋上球児」(23)、「光る君へ」(24)などがある。