TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
【#2】栽培と採取の可能性。
執筆:井上隆太郎
2024年11月18日
こんにちは。苗目井上です。農家です。
私たち苗目、もちろん農業をやるぞという意気込みで移住したので当然ですが、栽培をしています。ハーブとエディブルフラワーを中心に今では米・野菜・麦なども少量多品種で作り年間200種近い出荷をしています。
同時に里山からの採取を行っています。
私は農家になる前、高校を卒業して30年ちかく。。。ずっと植物に関わることをやってきました。訳もわからず初めて働いた生花店(今のような洒落た花やなどなかった時代)、花の専門学校に2年通ったり、園芸商社で働き植物バイヤーをやったり、29歳で独立した後は花を飾り、庭を作り、イベントやパーティ、お店の装飾をメインに、平たく言うと店のない花屋をやりながら、BARをやったり、居酒屋をやったりと、気合いと勢いと借金だけで生きていました。
そんな日々を送る中でどこか、花を飾って廃棄する、短時間のための設営、スクラップアンドビルドの世界に違和感を覚え始め、35を過ぎたあたりからこのままでいいのか?と思うようになったのです。
そう考えた時に自然に近い暮らしがしたい! 農業をしたい! と考えたのですが、もちろん野菜や果物の生産をできるとは思えずに、自分の経験(庭作りやガーデニング、グリーンコーディネイト)を生かした生産をしようと思い立ちます。それでもその生産地をたくさん回ってきた経験(バイヤー時代)からあまりしっくりくるものでもなく、踏み切れずにいたときにエディブルフラワーという言葉を耳にしました。
花を飾っていた僕に、食べられる花、仕入れられる? という一流のシェフからの問い合わせ(イベントでの絡みもあり)。その植物は、聞いたこともない! みたいなものではなく、そこらにある、どこでも買えるものだったんです。ただ、食用としては生産していない(これもバイヤー時代に沢山みたのですが)、農薬や消毒をたくさん使用します(飾り用だから当然ですが)。
これを人が食べられるように、無農薬、無化学肥料で作ったらいいのではないかと閃いたのがきっかけです。
まあ閃いたところで、どうやれば農家になれるのか、農業できるのか、畑は手に入れられるのかわからないことばかりでした。両親共に東京人の私には田舎もない。もちろん土地も畑もない。。。。
この話は長くなるので置いておいて、紆余曲折しながら今の千葉県鴨川市にたどり着きます。
そこからは食べられる花、野菜の花・ハーブの花。育てては失敗し、花が咲いたら食べて、すっかりのめり込んでいきました。
それも、都内でのディスプレイ業をやりながらこだわってやれたのも大きかったと思います。
その後無事に農地所有適格法人 株式会社 苗目を設立しました。
が、その直後2019年房総半島を巨大な台風が襲い、自然の洗礼を受け、農業ダメだ〜。となりかけ、なんとか気持ちを切り替えたら今度はコロナ……。
このハードな期間にたくさんのことを感じ学び、どんどん環境や自然について考えるようになっていきます。
縁があって借りることになった施設での栽培(ハウスの中に野原を作っています)。同じく縁があり受け継いだ里山からの採取。
この<栽培と採取>が私たちの出発点。
栽培に対する罪悪感というか、これは自然なことではないのではないか? という思いもあります。もちろん品種の選定もこだわっています。
私たちにとっての栽培はどちらかというと植物を飼っている感覚、飼育している感覚なのかもしれません。
その結果力強い香りのハーブが育ち、美しい花が咲きます。
栽培はしない採取、里山で見つける木々、花、果実、田んぼの畔で見つける野草。見方を変えると本当にたくさんの食べられる植物があるのです。
全ての植物が種から新芽、若葉・花・種とその時々で違ったものになり、花・葉・実・根など部位によっても全く違う、見方を変えると食材や香りの材料として植物の可能性は無限に広がる。
その可能性や発見にのめり込んでいます。
プロフィール
井上隆太郎
いのうえ・りゅうたろう|〈苗目〉代表。1976年、東京都生まれ。園芸商社バイヤー、パーティやイベントへの生け込み装飾や造園を経て、鴨川へ移住。その後はエディブルフラワーやハーブを無農薬・無化学肥料で栽培する傍ら、里山の再生やカフェ運営、公園の開園などの自然に近いコミュニティ作りに取り組む。
Instagram
https://www.instagram.com/naemekamogawa/
Official Website
https://naeme.farm/
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