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人生を生き抜くヒントがある。北村一輝が選ぶ、”映画のおまかせ”。

TVer

2024年11月11日

photo: Takeshi Abe
styling: Tomomi Suginaga
hair & make: Tomomi Yasui (FACE-T)
text: Neo Iida
location: SENDAGI ROJI

TVerオリジナル番組『おっちゃんキッチン』で、寡黙な食堂の店主役を演じた北村一輝さん。劇中では店を訪れる若者に「本日のおまかせ」を出す“おっちゃん”にならい、北村さんには「映画のおまかせ」を聞いてみた。

映画から溢れるエネルギーで、今を生きる大切さを感じてほしい。

 刑事からワルまで、どんな役どころを演じていても、見る者をぐっと惹きつける北村一輝さん。その素顔は渋くもあり、少年のようでもあって、思わずこんな大人になりたい! と憧れてしまう。北村さんは若い頃、どんな青年だったんだろう。

「無謀でしたよ。今よりもっとガツガツして、周りは気にしていなかったですね。100人のうち99人が前に進んでも、違うと思ったら迷わず逆へ行く。ただし親からは、自分で責任を持つんだよと教わっていましたから、やってみて、ダメなら自分で尻拭いをして進んできました。いわゆる“ケツを拭く”ということですね。そうしないとボロが出ちゃうんですよ」

 その言葉に、実際に一歩ずつ歩いてきた力強さを感じた。でも、10代で上京して役者修業を始めるとなれば、不安でいっぱいな気がするけれど。

「失敗を失敗と思ったことがないんです。傍から見たらミスと思われていても、常に前を向いてる。たとえオーディションに落ちても何か学ぶことはあるし、経験しか残らない。そこでひとつ覚えて次に行けるじゃないですか。この感覚は若いときも今も、ずっと変わってないですね」

 TVerオリジナル番組『おっちゃんキッチン』では、寡黙な食堂の店主を演じた北村さん。若い客の悩みに耳を傾ける役どころだが、北村さん自身は現代の若者をどう見ているか気になった。

「僕らが若い頃よりも情報量が多いから、いろんなことを知っていますよね。それでいて大人だし、どこか冷めているところもある。ドラマのなかでおっちゃんが喋らないのは、若い役者さんにたくさん喋ってほしいなという思いもありました。彼女たちのお芝居をしっかり見せてあげたいなと」

 年を重ねて経験や知識が増え、存在に厚みが生まれるのは自然なこと。でも北村さんにはどこか“気のいい兄ちゃん”的な親しみやすさがある。年齢で人を判断しない、フラットな眼差しを感じる。

「年が下だからどうかとは思わないし、僕がただ長く生きてるだけ。一緒です。若い世代のほうが世の中のことを知っているしね。年を取ると学ぶのをやめてしまいがちですが、むしろ逆で、年齢を重ねれば重ねるほど学び続けていかないといけないんです。社会は若い人たちを中心に回っていくのだから。礼儀がなってないとか、話し方がどうとか、色々言われるのはいつの時代も同じ。気にせず好きなようにやったらいいと思いますよ」

 青春時代を過ごした’80年代のカルチャーが、今も好きだという北村さん。POPEYE読者に“映画のおまかせ”を聞くと、真っ先に挙げてくれたのが『フラッシュダンス』と『フットルース』だった。

「やっぱり若者のバイブルじゃないですか。主人公は夢に向かって何度も挫折して、何かを掴む。最初は14歳の頃に観ましたが、東京に出てきて、役者の仕事を始めた頃も勇気づけられました。その世界のキャラクターになりきって、頑張る自分に酔う時間って大事だったと思うんですよ」

 時代が持つ高揚感も体感してほしいという。

「’80年代って映画の勢いがすごかったんです。スター・ウォーズでSFが盛り上がって、ブルース・リーからジャッキー・チェンの流れもあって、角川映画が大ヒット。どのエンターテインメントも活気があった。それはきっと、平均年齢が若かったからなんですよね。仕事なんかで50歳以上の人口が10%もないアジアの若い国に行くと、街の熱気がすごい。あの頃と似てるなあって。国じゅうが元気で、そのぶん間違いもいっぱいあったけど、上に向かうエネルギーが強かった」

 熱狂の’80年代を楽しんだら、お次は『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』をぜひ。

「これは、タイムトラベル能力のある主人公が、家族や恋人と出合いや別れを繰り返しながら、やがて大切なことに気づく物語。僕自身、昔から『あとどれだけ生きられるんだろう』と考えながら生きてきたところがあるんです。そうやって自分を客観視すると、当たり前に過ごしている時間や、当たり前にそばにいる人々が、どれだけ大切かがわかってくる。その感覚を思い起こさせてくれる映画です。優里さんの『ビリミリオン』という歌にも、残りの寿命を買わせてっていう歌詞が出てくるんですけど、それにも近いものがありますね」

 そしてもう1本選んでくれたのが、インド映画の『きっと、うまくいく』。行方不明になった大学時代の友達を捜す男たちのコメディドラマだ。

「これはね、もう理由なく観たほうがいい。大学生たちのエネルギーに溢れ、ロマンスもあり、社会問題にも触れている。今日お話ししたようなことが全部入ってるし、観終わると元気になる。今を生きる大切さを感じられます。若いうちにぜひ観てほしい一本です。というか他の作品も全部間違いないです。生姜焼きみたいなものですよ」

北村一輝が選ぶ、”映画のおまかせ”。

『きっと、うまくいく』(2009年、ラージクマール・ヒラニ監督)
インドの超難関工科大学ICEを舞台に、型破りで自由な考え方を持つ青年ランチョーと、親友たちの友情や成長を描く物語。大学生の彼らと、10年後に行方不明になったランチョーを捜す彼らの2本軸で描かれる。厳しい教育制度や社会のプレッシャーに立ち向かいながら、本当の成功と幸せとは何かを探求する。笑いと感動に溢れるインド映画の傑作。

『アバウト・タイム 〜愛おしい時間について〜』(2013年、リチャード・カーティス監督)
イギリスのコーンウォールに暮らすティムは、21歳になったとき、父から「一族にはタイムトラベルの能力がある」と告げられ、能力を恋愛のために使おうと決意。弁護士になったティムは出版社勤務のメアリーと出会い、付き合うために過去に戻る。やがて問題が起こるたびに時間旅行を繰り返すティム。愛と時間がテーマの、人生の大切さに気づく名作。

フットルース(1984年、ハーバート・ロス監督)
都会から田舎街ボーモントに引っ越してきた高校生レン(ケヴィン・ベーコン)は、町で禁止されているダンスとロックに魅せられる。息苦しい大人たちの抑圧に反発し、仲間たちと共にダンスパーティを開催すべく、保守的な町に立ち向かう。レンの情熱と勇気が周囲の人々の心を動かし、変化を巻き起こす。ケニー・ロギンスが歌う同タイトルの主題歌も人気に。

フラッシュダンス(1983年、エイドリアン・ライン監督)
舞台はペンシルベニア州ピッツバーグ。昼は製鉄所で働き、夜はナイトクラブでダンサーとして踊る18歳のアレックス(ジェニファー・ビールス)は、プロのダンサーになる夢を抱きながら、恋愛や葛藤を通じて自分の道を見つけていく。ダンス学校のオーディションでアレックスが情熱的なダンスを繰り広げるシーンで流れるアイリーン・キャラの挿入歌が大ヒット。

プロフィール

北村一輝

きたむら・かずき|1969年、大阪府生まれ。上京後、三池崇史や望月六郎らの映画に出演。主な出演作に、『日本黒社会 LEY LINES』『皆月』『沈黙のパレード』、ミュージカル『王様と私』など。2025年に『室町無頼』公開予定。

インフォメーション

人生を生き抜くヒントがある。北村一輝が選ぶ、”映画のおまかせ”。

おっちゃんキッチン

小さな悩みを抱えた若者が、夜な夜な暖簾をくぐる食堂「おっちゃんキッチン」を舞台に、寡黙な店主とのふれあいを描くストーリー。おっちゃんが手際よく仕上げる「本日のおまかせ」を頬張りながら、客は一様に愚痴をこぼし始めるが、ほっとする料理と程よい間合いが重なって、思いがけず悩みの“答え”を見つけていく。おっちゃん役に北村一輝、客役には杏花や吉原怜那(ダウ90000)など毎回異なる若手俳優を迎え、ワンシチュエーションの会話劇を繰り広げる。TVerでは横型動画を、TVer公式SNS(TikTok、YouTube Shorts、LINE VOOM、X)では縦型動画を配信し、それぞれ視点の異なるストーリーを楽しめる。全12話。

Official Website
https://tver.app/3NXOvaW